Posted by ブクログ
2010年04月13日
桜井亜美=濃厚。
というイメージがあったのですが、最新のこの小説はとっても良かったです。
仕事ひとすじの女の人が家族のあたたかさ、誰かと一緒にいることのあたたかさ、愛に目覚めてゆくお話。
リョウのお日様みたいなキャラがうらやましかった。
こんなひとっているのかな?
いるんだろうなって思う。
こ...続きを読むんな風に生きれたらいいのに。
☆気になったぶぶん
「ミカルをワーカホリックのループに閉じ込めているのは、きっと会社でも他人でもなくてミカル自身なんだよ。いつのまにか、ループの中が家族みたいに一番、気楽で居心地よくなって、足を踏み出せないんじゃない?」
「仕事の中のループの中で走り続けてれば、孤独は忘れてられる。でもそこから離れて女の子になったら、弱い自分とイヤでも向き合わされるでしょ。そういう時間、絶対に必要なんだよ。自分なんか何者でもないんだっていう孤独や無力な感覚が、素直な気持ちで大切な誰かとひきあわせてくれるから」
その瞬間、胸に細いけど尖ったアイスピックが、まっすぐ刺さったような気がした。シホに悪意なんてないことはわかっている。でも慣れない日本語を聞き逃すまいと、じっと顔をみているセインを「苦手」と言えるシホの無邪気さが、その瞬間、怖かった。
→こういう、何気ない仕草や言葉がこわくなる瞬間ってよくある。
人によって傷つきポイントがあったりするのと関係があると思う。
「たまの休みで寝てたいのに、今夜パーティやるから手伝えとか言われてキレそうになったこともあるよ。でもやっぱり彼女のうれしそうな笑顔を見てると、まっ、いいかって思っちゃうんだよね。家族ってそんなもんじゃないかな。面倒でうっとうしくて、不自由なこともたくさんあるけど、喜ぶ顔が最高の見返りかも」
「愛とかそんなすごいことじゃないよ。誰でも一番近くにいてくれる人がいい気分なら、自分もうれしいだろ?それだけ」
「ミカルはきっといい家庭を作る。人ってほんとは自分が思ってる自分とは、ずいぶん違うものなんじゃないかな」