大岡信のレビュー一覧

  • 折々のうた
    とりあえず一家に一冊置いておきましょう。たまに読み返してみれば、その時々で琴線に触れる詩歌が見つかるのではないでしょうか。
  • うたげと孤心
     大岡信の文学史的評論である。祝祭性や集団性と、その対極にあるかのような個人的創作とが日本文学の中では調和していたことを述べる。さまざまな具体例を引用し、論評を加えつつもその切り口は自ら詩を作る創作者としての立場が貫かれている。文学を研究の対象とする学者とはかなり扱い方が違うと感じた。
     文学が個人...続きを読む
  • 新 折々のうた 9
    「大岡信『折々のうた』選 俳句(二)」(岩波新書)を手にすることができました。
    そのあとがきを読んでいると刮目すべきことに出会いました。

    この編集者長谷川櫂氏によりますと
    俳句の編年史では「古典主義俳句」と「近代大衆俳句」の2つに大別され、
    古典主義俳句は第1期松尾芭蕉時代と第2期与謝蕪村時代にわ...続きを読む
  • 日本の詩歌 その骨組みと素肌
    社会の状況と関連させつつ議論しているので、分かりやすい講義録になっている。女性注目した3章と5章(女性歌人と中世歌謡)がとくに印象に残った。
  • 日本の詩歌 その骨組みと素肌
    重税への怒りを詠う

    平安時代の学者で政治家、菅原道真といえば、学問の神様として名高い。毎年正月になると、道真をまつる福岡県の太宰府天満宮は初詣の受験生でにぎわう。学者として異例の出世を遂げたが中傷のため太宰府に左遷され、失意のうちに死んだことから、死後、祟りをなしたという伝説もある。

    しかし菅原...続きを読む
  • 松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙
    芭蕉、蕪村、一茶、余りに有名かつ定番の俳人であるが、本格的に比較して鑑賞したのは恥ずかしながら初めてであった。
    中でも、蕪村は他の2名と比べて写実的、と云われていると思うのだが、どうしてどうして非常に心理描写を巧みに取り入れた作品が多く、あらためて感銘を受けた次第である。俳諧というものは、素人の私が...続きを読む
  • 新 折々のうた 8
    #石川啄木 #短歌 春の雪銀座の裏の三階の煉瓦造にやはらかに降る #返歌 春の雪鉄路に積もりまびくのが運行安全基本事項す #解説歌 本数を間引けば混雑増長し安全確保困難さ増す 運行の間隔三分神業で都会の過密再考の機会
  • 新 折々のうた2
    #四賀光子 #短歌 腰押されのぼる坂道ふと思ふ一人行かねばならぬ坂あり #返歌 押す人がいなくなったら坂道は降るばかりで登ることなし #説明歌 凛とした人と一緒に坂登り帰り道は降るばかりで
  • 新 折々のうた 6
    #野村清 #短歌 にんげんに出来ぬことなり野良猫はいつかどこかで人知れず死ぬ #返歌 野良猫の交通事故が増えている死亡事故の一番の街 #しゃっぽ
  • 新 折々のうた 4
    #斎藤茂吉 #短歌 最上川雪を浮かべるきびしさを来りてみたりきさらぎなれば #返歌 佐布里池梅見月の行事あり梅染めクロス春の寄せ植え
  • 星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句
    大岡信が、少年少女たちにすすめるために選んだ、本当に大事にしたくなる言葉たち。
    短歌、俳句、詩。
    この本に収録されている者たちは、時代を超えて本当に大事にしたくなるものばかりです。
    大人でも十分満足します。
  • 新 折々のうた1
    折々のうたが11巻になり、
    この新折々のうたが1からまた始まることになったとのこと。

    朝日新聞の1面に折々のうたを掲載し、加筆して新書にしたとのこと。

    最後に作者略歴があるのもよい。
  • 星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句
    世の中には俳句や和歌を趣味とする大人も多いけれど、あいにくそのての雅な趣味を持たずに大人になってしまった KiKi。  でも、久々にこの本で数多の和歌や俳句を読んでみると、今さらながら「日本語の美しさ」と「日本人の美意識」、「季節感」といったものに驚かされます。  この本に収録されている194編の作...続きを読む
  • おとぎ草子
    この中で KiKi にとって人生お初だった物語は「福富長者物語」のみだったのですが、それ以外の物語も少しずつ、KiKi がかつて読んだことがあって「知っていたはずのお話」との違いがありました。  どの物語よりもその差が大きかったのは「一寸法師」でした。  つらつらと思い起こしてみると「一寸法師」とい...続きを読む
  • あなたに語る日本文学史
    学者でない詩人としての作者の一つの見方だと思うがとても興味深く楽しめた。家持、貫之。伊勢物語と大和物語。建礼門院右京大夫と後深草院二条。俊成、西行、定家、そして後鳥羽院。歌謡は自分にとって一番の学びだったかも。和漢朗詠集、閑吟集など、改めて読んでみたいと思った。芭蕉を知るには連句まで見ないといけなさ...続きを読む
  • 詩人・菅原道真 うつしの美学
    詩人・大岡信さんのまとめる文章なので、他の研究者とは違って、言葉が心地よく、すらすらと読めた。道真と貫之の繋がりに興味があったため、その視点のある大岡氏の説明もよかった。一点、もっと欲を言えば「うつし」の部分に焦点をあてて、漢詩と和歌を追求してほしかった。彼の説く新撰万葉集はどんなものか、読んでみた...続きを読む
  • 星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句
    万葉集をはじめとして、近代俳句・短歌までの大岡信による選集。
    今、俳句がブームですよね。自分もいつかとは思っているのですが・・・なかなか実現しません。
    日本語の美しさを実感しています。
    やばい!のひとことで何でも片付けてしまう風潮はなんだかねえ・・(あ、なんだかねえも同じか。)
    中高生に読んでもらい...続きを読む
  • 紀貫之
    「紀貫之」について、定番は、この本と、藤岡忠美さんの「紀貫之」(講談社学術文庫でしょうね。ぼくは、藤岡さんの本に思い入れがありますが。
  • 日本の詩歌 その骨組みと素肌
    自身も優れた詩人である著者の
    漢詩、和歌、中世歌謡を論じた日本詩歌論。

    海外講演のために、日本的な感覚(現代日本人には理解にかなり努力が必要)を、論理的な文章にまとめているのがさすが。  

    日本文化論としても興味深い記述が多数。
  • 日本の詩歌 その骨組みと素肌
    この知識量にまずは圧倒された、圧倒されたと同時に、でも自分の詩の深め方とは全く方向が違うのだなということも同時に思った、自分なりの深め方でやっていくしかない。

    あとは、今蓄積している日本の詩歌の伝統(主客未分と叙景)と、芭蕉、山頭火、民喜などを井筒、上田閑照、ハイデガーなどの哲学的論考とつなげてみ...続きを読む