毎日新聞社のレビュー一覧
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最終巻は、沖縄戦から日本の降伏調印まで。
陸軍参謀は、士官学校・陸大で研鑽を積んだエリートであったはずなのに、誰がどう考えても勝ち目のない本土決戦に、「勝つチャンスはある」などと主張し、戦争を継続させようとしたのか理解に苦しむ。エリートとは所詮そんなものなのかもしれない。
今日の官僚による不祥事を見るにつけ聞くにつけ、あらためてこの国のエリートと呼ばれる人間たちに、国の行く末を任せておいて、本当に大丈夫なのかと思ってしまう。
全巻通読したが、まるで物語を読むかのように引き込まれて読んだ。太平洋戦史となると、どうしても何らかのバイアスがかかる日本人には、こういう通史は書けないのかもしれない。 -
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第4巻は、東條内閣の総辞職からルーズベルト大統領の死まで。
レイテの海戦で事実上日本海軍が戦闘能力を消失した時点で、無条件降伏を含めた和平交渉を進めていれば、硫黄島や沖縄戦、また東京大空襲や広島・長崎への原爆投下による死傷者は生まれなかったことを考えると、戦争終結を考えはしても、それをどのように実行に移すかという動きが表面化しなかったのは、まことに痛恨の至りという他に言葉がない。
もちろんそれは、過ぎ去った歴史を後の世から振り返っての後知恵というものであろうが、感情論や過去の成功体験に流されると大局を見失うことがあるという歴史の教訓だけはしっかりと胸に刻んでおきたい。 -
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真珠湾攻撃か始まる日本の序盤の猛攻から一点ミッドウエイで戦局が大きく転回するまで。真珠湾攻撃は、ルーズベルトも実は知っておりあれはアメリカの陰謀だったのだ云々みたいな説があったりするが、実際にはあれは本当に奇襲だった。敢えて言えばアメリカ側は日本が何かするくらいは予想していたが、それが真珠湾に来るとは全く想定しておらず、無防備極まりなかったのだ。確かに無線は傍受されておりアメリカ側の女性電信士が日本が何か企んでいることを察知していたのだが無理解な上司によって握りつぶされていた。そういったアメリカ側の事情とともに、日本の政権内部でも真珠湾攻撃を巡っては東郷外相を始め多くが絶対反対であったこととか
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ガダルカナル、サイパン陥落と、徐々に追い込まれる日本。第4巻では、東条英機失脚から本土空襲、沖縄本島決戦までの動向を見る。日本軍のいくたの失態で、特に有名なのがインパール作戦である。これほど悲惨で無慈悲な結果を招いた戦いはないだろう。この作戦の参謀を担当した片倉衷は、川の大きさや山の高低など、地形から作戦の実行は不可能だと判断した。しかし、牟田口廉也は、片倉の忠言を聞き入れず、独断で実行した。当然、途中で無理が生じた。特に、食糧難に陥ったため、兵隊たちは、道端の草、カタツムリ、蛇、トカゲなど、食べられそうなものは手当たり次第食した。
一方で、硫黄島は、アメリカ側に大打撃を与えた戦いであった -
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第3巻では、ガダルカナル島からサイパン島陥落までの流れを追う。日本にとって、ガダルカナルとは、最南端の領地であり、一方、アメリカにとっては、太平洋の主導権を握るうえで、重要な地点である。そのような関係から、両者は必死になって争った。とはいえ、ガダルカナル島は、シロアリやマラリアの発生と、とても人間が快適に過ごせる環境ではない。その為、日米がここをめぐって衝突した際、補給線の確保が重要であったのかは想像できる。ところが、日本軍はこれまでの戦いと同様に、兵站を怠り、精神論で乗り切ろうした。先ほど述べたように、ガダルカナル島は、そもそも人間が長期間いられる場所ではなかったため、当然、飢餓に苦しん
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第2巻では、真珠湾奇襲からミッドウェー海戦までの歴史を見ていく。日本軍による真珠湾奇襲をきっかけに、アメリカは本格的に戦争に参戦する。これにより、世界情勢は大きく変貌する。ソ連は極東に軍を整備していたが、その一方で、ドイツの侵攻を阻止しなければならなかった。仮にこの時点で、スターリンが対日宣戦布告あるいは日本を挑発したとしても、一般大衆の支持を集めるのは難しい。そのため、極東の軍隊を引き上げなければならなかった。
一方、日本ではマレー半島に侵攻して、イギリスの植民地であるシンガポールの陥落に成功した。これは、日本史上、陸戦で最大の勝利となる。これは有色、白色人種ともに衝撃的であった。また、 -
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日本がいかにして太平洋戦争へ向かい、敗戦へと至るのか、その過程をアメリカの視点で描いたのが本書である。全5巻で構成されており、本書第1巻では、二・二六事件から始まる。最終巻の解説で言及されているが、著者ジョン・トーランドが満州事変ではなく、二・二六事件に目を向けたのが本書の特異点である。太平洋戦争の発端を遡ると、満州事変と国際連盟脱退が原因だと見なされがちである。しかし、著者は二・二六事件で、皇道派の勢いが衰えて、代わりに統制派の勢いが増したことに注目した。これは、日本が満州を手に入れるだけでは不十分で、ソ連の攻撃を想定すると、中国そのものを支配すべき、という考えを持つ派閥である。ここに着眼点
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アメリカ人の著者による太平洋戦争を描いた5巻のうちの1巻で、この2巻は太平洋戦争開幕からミッドウェー開戦までを描いたものである。
1巻同様に著者の取材力には脱帽である。
ただ、私に太平洋戦争の知識が少ないため、正直話を頭の中で整理できなかった。
戦闘そのものの話がメインで、主な登場人物は軍人となるのだが、日本の軍人はまだしもアメリカ側の軍人が誰なのかがよくわからなかった。
もう少し勉強しなくてはという思いに駆られた。
しかし、日本、アメリカ双方の観点からこれほどよく太平洋戦争を描き出した本はおそらくないだろうという感想は1巻と同様である。
名著だと思う。 -
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ネタバレ二・二六事件から始まる本書は読みごたえがあります。その中でも圧巻はアメリカ国務長官コーデル・ハルと野村吉三郎との日米交渉過程が克明に語られているところです。そして作者は「相互の誤解、言葉の違い、翻訳の誤りなどといったものが、日本的な日和見主義、下剋上、非合理性、名誉心、プライド、恐怖、そしてアメリカの人種偏見、東洋に対する不信と無知、硬直化した態度、独善、面目、国家的な自負と不安などといったものによって増幅され、戦う必要のない戦争が、いままさに開始されようとしていた。」と結論付けました。こんにちの日中間の緊張は、作者の結論付けた状況に似ているのだろうか。それとも両国とも実際以上に国民に対して危
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ネタバレ新聞記者の人が実践している45個の技術と、記者トレでどんなカリキュラムをしているかがわかる本。
記事を書くのは、人に話を聞く→それを書くのではなくて、日々訓練して身につけるものがあるのがわかった。
例えば、記事を書いていないときでも、普段からアンテナを張って情報を得ること。
「あ、これが安くなってる」とか日常の感覚を大事にしたり、「このお店混んでる、なんでだろう」と好奇心を持ってすぐ調べる癖をつけたりすること。
取材をするときも、ただ聞くのではなく、
・事前に取材相手や、聞きたいことをしらべておく
・相手の話の中でキーワードを探す。
・アウトプットを意識しながら聞く。
などの工夫をして、