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Posted by ブクログ
日本がいかにして太平洋戦争へ向かい、敗戦へと至るのか、その過程をアメリカの視点で描いたのが本書である。全5巻で構成されており、本書第1巻では、二・二六事件から始まる。最終巻の解説で言及されているが、著者ジョン・トーランドが満州事変ではなく、二・二六事件に目を向けたのが本書の特異点である。太平洋戦争の発端を遡ると、満州事変と国際連盟脱退が原因だと見なされがちである。しかし、著者は二・二六事件で、皇道派の勢いが衰えて、代わりに統制派の勢いが増したことに注目した。これは、日本が満州を手に入れるだけでは不十分で、ソ連の攻撃を想定すると、中国そのものを支配すべき、という考えを持つ派閥である。ここに着眼点を置くのは類を見ないだろう。
また、二・二六事件の勃発から皇道派鎮圧までの流れは、緊迫感があり、政府首脳が命からがらで逃れたのかが読んで想像できる。なかでも、岡田啓介首相の逃走と、後に首相として、終戦工作に携わる鈴木貫太郎の部分は読みごたえがある。ちなみに、事件が起きた当日、東京の通勤者たちは、その日何が起きたか分からず、警官がバスや市電を止めて、皇居前や官庁街を迂回してる様子を見て、初めて異変が起きてることに気づいたらしい。
Posted by ブクログ
二・二六事件から始まる本書は読みごたえがあります。その中でも圧巻はアメリカ国務長官コーデル・ハルと野村吉三郎との日米交渉過程が克明に語られているところです。そして作者は「相互の誤解、言葉の違い、翻訳の誤りなどといったものが、日本的な日和見主義、下剋上、非合理性、名誉心、プライド、恐怖、そしてアメリカの人種偏見、東洋に対する不信と無知、硬直化した態度、独善、面目、国家的な自負と不安などといったものによって増幅され、戦う必要のない戦争が、いままさに開始されようとしていた。」と結論付けました。こんにちの日中間の緊張は、作者の結論付けた状況に似ているのだろうか。それとも両国とも実際以上に国民に対して危機感を煽っているのだろうか。
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