蓮實重彦のレビュー一覧

  • 日本映画のために

    sun

    購入済み

    必読の書

    早速購入させていただいた本書は、日本映画の過去と現在を鋭く見つめる批評の傑作です。
    長年、映画批評家として活躍した蓮實が、小津安二郎、溝口健二から是枝裕和、濱口竜介まで、日本映画の美学と文化的意義を深く掘り下げていきます。
    映画を単なる娯楽ではなく、思想と芸術の交差点として捉える蓮實の視点を集大成した一冊となっています。
    本書は三部構成で、戦前・戦後の日本映画史、個々の作品論、現代映画の課題を論じています。
    特に、小津の『東京物語』の低位置カメラや溝口の『雨月物語』の映像美を、形式と感情の融合として分析する論考は、蓮實の批評の奥深さを示しています。
    また、濱口竜介の『ドライブ・マイ・カー』を称

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    2025年10月20日
  • ハリウッド映画史講義 ──翳りの歴史のために

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    この著者にしてはかなり明快な文章で驚いた。時々この人らしい韜晦はあるものの、記述も論旨も相当にクリアで読みやすく興味深い。今まで単純にアメリカ資本の映画を「ハリウッド映画」と思っていたけど、そうではない、ということ。いろんな映画が例として出てくるが、「映画史」という観点では必ずしも見ていないと理解できないわけではない。昔に比べれば見る手段がありそう(youtubeとかDVDとか)なので後でまとめて観ることにしてまずは通読してしまった方がわかりやすいと思う。

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    2025年09月25日
  • ショットとは何か 歴史編

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    「ショットとは何か」「ショットとは何か 実践編」ときて、この歴史編。小難しい言い回しにも慣れて一番読みやすく感じた。観てない映画が多かったが、終盤の侯孝賢、ケリー・ライカートは好きな監督なので特に興味深く読んだ。濱口竜介「悪は存在しない」の項は今後絶対観るので読み飛ばした。

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    2024年11月30日
  • 伯爵夫人(新潮文庫)

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    開戦前夜の帝都、東京。高校生の二朗は〈伯爵夫人〉にホテルに誘われ性の手ほどきを受ける。突然べらんめえ調に豹変し卑猥な言葉を連呼する夫人。官能場面に唐突にはさまれる過去の回想や戦場場面。虚実入り混じる人を喰ったような物語は現代文学へのアンチテーゼか?

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    2024年10月18日
  • 夏目漱石論

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    衝撃の評論。
    何度読んでもその衝撃は消え去らない。
    何度も手に取り、そのたびに一気読みしてしまう、青春の一冊。

    誰もが、蓮實重彦の生み出した魅惑の評論スタイルの模倣を試みるが、見事に失敗する。
    唯一、蓮實の教え子である松浦寿輝のみが、そのスタイルを継承し、磨きをかけたと言える。
    松浦のみが皇位継承ができたのは、彼が詩人であり、評論家であり、フランス文学者で、蓮實並にずば抜けた頭脳を持っているからだ。
    ただ、文体を真似し、スタイルを真似するだけでは、悲しい猿真似に終わってしまう。
    蓮實重彦の精神的そのものを継承しなければ、本質的な意味で、文体もスタイルも継承し得ないのだ。

    過去の漱石論を鮮や

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    2024年10月02日
  • ショットとは何か 実践編

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    とにかくあらゆる映画のその細部へのこだわり抜いた視点と考察にひたすら唸るしかなかった。常々ぼんやりと映画を観てしまう自分を恥じてしまうほどに。
    観ていない映画もあったが、“偶然”を描く天才エリック・ロメールはほぼ観ているので読み入った。
    『アネット』のマリオン・コティヤールについて書かれていることはずいぶんと辛辣で、今後彼女が出ている映画を観たらその評価に影響されそう。

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    2024年09月21日
  • ショットとは何か

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    自分にはまだ早い本だった。でも確実に大事なことが詰まっているという気配を感じた。筆者の語り口が面白く、映画の大体のストーリーの説明がとても分かりやすい。
    ここで紹介されたたくさんの映画を見ることがとても楽しみ。

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    2024年02月11日
  • ジョン・フォード論

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    蓮實重彦によるジョン・フォード論。いつも通りの蓮實重彦節でジョン・フォードの主要作品を中心に、馬、投げるとこと、囚われによる自由、白いエプロンなどなどについて語りつつ、ジョン・フォードの映画の魅力を語る。当然ながら映画の魅力とはストーリーに還元されるものではなく、その映像、映像の連なりなどにあるわけで、それがいつもの蓮實節で語られる。小津論のときもそうだったけれど、映画をみる喜びとは本書で語られているような体験であって、蓮實重彦は小津やフォードの映画をみる喜びをその独特な表現で語ってくれていて、本書を読んだ読者はフォードの映画をみたくてたまらなくなることは必定だと思う。

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    2024年01月19日
  • 監督 小津安二郎〔増補決定版〕

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    読みやすさ ★★★★
    面白さ ★★★★
    ためになった度 ★★★★★

    自分にとって、折りに触れて再読する本。難解と言われることもある蓮實の著作の中でも、相当わかりやすい部類に入る。何より、蓮實の小津に対するリスペクトがすごい。小津ファンに限らず、すべての映画ファンに読んでほしい一冊。

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    2023年08月29日
  • 監督 小津安二郎〔増補決定版〕

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     小津の研究本は数多出ている。フランスでも人気だという。ローアングルなども言われ尽くしている。だからこそ実際に映画を見るのが一番。「東京物語」が傑作なのは周知だか、自分はカラー作品になってからの小津が好き。くすんだ赤をワンポイントにした画面がいい。また、今となっては貴重な昭和の衣装、街並み、会話が逆に新鮮。
     好きな作品は遺作となった「秋刀魚の味」。結果として最後にふさわしい無駄のない集大成な作品となっている。好きなシーンは「彼岸花」の十国峠でのやりとり。家族旅行で一番幸せな時。その次のシーンでは娘の結婚話が出て、幸せな家族の崩壊が始まる。

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    2023年04月23日
  • ハリウッド映画史講義 ──翳りの歴史のために

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    1920年代からのアメリカ史と映画史の話。絢爛豪華なハリウッドのイメージを解体して、非米活動委員会、スタジオ買収、監督の亡命などを翳りとして書く。おもしろい。映画からTVへ、そしてまたTVからネットへ、それらがサブスク映画へ、という現代を蓮實はどう書くんだろう。最新のものも読みたい。

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    2021年08月17日
  • 監督 小津安二郎〔増補決定版〕

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    本当に時間がかかったが、ようやくこの大書を読破した。明らかにこの本を読む前と比べて映画の見方が変わった、というかふくらんだ。これまでのように説話論的な機能のみを求めて画面に注意を向けていると、見えていないものがあまりに多くなってしまいかねない、そんなリスクをはじめて認識した。
    「記念写真をとってしまったゆえに、その家庭は崩壊せざるをえない」・・・記念撮影は、小津の映画の説話論的な構造にあって、別れという主題体系と深く結びついている、との指摘が特に強力。無論、自分はそんな見方をしたことがなかったから、インパクト大。
    このような論旨が盛りだくさんで、本当に重く読み応えのある本でした。

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    2021年06月07日
  • 見るレッスン~映画史特別講義~

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    筆者初の新書だけに読みやすい。そして筆者が同時代の映画と常に対峙していることが素晴らしい。この本を読み、出てくる映画も観てみて、なんとなく「驚きと安心とが巧みに塩梅されているものが映画」という感覚が理解できるようになってきた。

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    2021年02月23日
  • 見るレッスン~映画史特別講義~

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    蓮實さんの、映画をめぐるとりとめもないよもやま話、という趣き。特別に理論的だったり体系的だったりするところは一切なく、もうほんとに随想。いろいろ思い違いもあったりするみたいだけど、まぁでも世のほとんどの人に、蓮實さんのこういうリラックスした放談など聞く機会はないわけだし、意見の当否はまた別として先達の話をゆるゆる聞けるのは面白い。先輩の話を聞く、というつもりで読むといいと思う。

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    2021年02月04日
  • 伯爵夫人(新潮文庫)

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    あまりにも幻想的かつ非現実的で滑稽。終始甘美かつ卑猥で淫らな戦闘の奇譚。
    伯爵夫人の口から語られることの真偽は如何にせよ、翻弄と籠絡と幻惑の一夜はするりと展開する。時が過ぎれば夢幻の如くその奇譚は薄れゆき、経験と記憶と現実が同化していく。

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    2019年06月12日
  • 伯爵夫人(新潮文庫)

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    衝撃的な小説でした!
    今まで読んだことがない世界観と、文章のリズムが独特で、小説の世界にのめり込んでしまいます。
    が、作者の異色過ぎる世界観には到底理解が追いつかず、ぜひ再読したいと思います。

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    2019年03月27日
  • ハリウッド映画史講義 ──翳りの歴史のために

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    蓮實重彦入門として良いかはわからないけど、文章は読みやすいほうだと思う。これからシネマヴェーラでこの本を土台にした特集もやるようだし、読んでおいて損はないです。

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    2018年08月20日
  • 監督 小津安二郎〔増補決定版〕

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    映画を観るための新しい視点を提供してくれる、未だに強度の保った映画批評本。蓮實さんの本の中でも読みやすい。

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    2018年07月09日
  • 表層批評宣言

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    高校生のときに読んで、何と手厳しい本かと思いました。40を過ぎて読み直してみると著者が書くようにエンタテインメントとして楽しく読めました。文体は真似したくなるほど魅力的です。

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    2016年05月07日
  • 表層批評宣言

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    書かれている内容よりも、ただ紙面を流れていくハスミ節に圧倒されよう。といいながら、読むたびにハスミンであった昔の自分を恥ずかしながら思い出す、ある意味、青春の一冊。

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    2009年10月04日