あらすじ
「まず読者の皆様にお伝えしたいのは、世間で評判になっている映画だけを見るのではなく、自分にふさわしいものを自分で見つけてほしいということです。とにかく、ごく普通に映画を見ていただきたい。蓮實個人の視点など学ばれるにはおよびません」――サイレントから、ドキュメンタリー、ヌーヴェル・ヴァーグ、現代ハリウッドと日本まで。120余年の映画史を俯瞰する、シネフィル教授による最初で最後の新書講義。
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筆者初の新書だけに読みやすい。そして筆者が同時代の映画と常に対峙していることが素晴らしい。この本を読み、出てくる映画も観てみて、なんとなく「驚きと安心とが巧みに塩梅されているものが映画」という感覚が理解できるようになってきた。
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蓮實さんの、映画をめぐるとりとめもないよもやま話、という趣き。特別に理論的だったり体系的だったりするところは一切なく、もうほんとに随想。いろいろ思い違いもあったりするみたいだけど、まぁでも世のほとんどの人に、蓮實さんのこういうリラックスした放談など聞く機会はないわけだし、意見の当否はまた別として先達の話をゆるゆる聞けるのは面白い。先輩の話を聞く、というつもりで読むといいと思う。
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冒頭で、映画を見る際重要なのが、自分が異質なものに晒されたと感じることだという。自分の好きなものを自由に見ればいいが、優れた映画はハッとする瞬間が必ずあるため、それを逃してはならない。このことをふまえて、著者は本書で邦画、洋画問わず、たとえ巨匠であったとしても、忖度なしに作品を褒めたり貶したりする。最後に改めて映画とは一体なにかと語る。
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蓮實重彦のストレートな物言いがとにかく面白い
ただ、それは自分が蓮實重彦と映画の見方や好みが似ており挙げられる作品や監督を知っているからで、映画をあまり知らない人が読んで面白いと思うかは分からない
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手放しで褒めるものと、こき下ろすものの差がハッキリしてた。どっちの評価でも、名前が挙げられていたものはみたいな。「ロメールはわたくしの殺人リストの上位におります」ってわろた。
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著者の好みをオブラートに包むことなく、ストレートに表現し、見るべき監督、見るべきショット、見るべきカメラマン、を提示している。とはいえ、まずは好き嫌いせず多くの映画を見るべきだと解く本。
まだまだ未見の作品が山のようにある。最近の日本映画で、本書に登場した作品で見てみたいと思ったものを列記しておく。
溺れるナイフ
よこがお
淵に立つ
旅のおわり、世界のはじまり
嵐電
きみの鳥はうたえる
ホットギミック
寝ても覚めても
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今まで著者の書籍は手に取ったことがあるものの、私にとってあまりに難解で、通して読むことができなかった。
本書は著者自身初の新書で、比較的読みやすい部類に入ると思われる。
俳優やスタッフの名前(特にフランスが多い)で知らない者も多く、著者の知識の深さ・広さには驚かされた。
映画のあらすじには関心が無いようで、むしろカメラワークへの言及が多く、そうしたところを映画では見るのか、と勉強になった。
ドキュメンタリー映画を撮る小森はるか氏という名前も初めて目にし、今後の映画選びの参考にすることもできた。
とはいえ、時には有名な映画監督、俳優らを徹底的にこき下ろすこともしている。それだけはあまり好きにはなれなかった。
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いつもは難解で読みづらいけど、口頭筆記の新書で読みやすかった。知らなかった映画作家を知ることができるし、辛辣に批判されてるのがすごいなぁと思う。失われたプリントを捜索してこそ、映画批評家だという気概はすごい。ここで紹介されてる映画を少しづつ見ていきたい。
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蓮實重彦ってめちゃくちゃアカデミックの権化みたいに思っていたけど、
インタビューを元に文章が構成されているせいか、読みやすかった。
MCUから山戸監督までバッサバッサと斬っていく。
かと思えば、三宅唱監督や濱口監督はベタ褒めで、ストレートな映画ファンじゃんって思った。
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はっきり基準があって斬っているのはいい。さすが筋金入り。いいと思っていないのに世間的な評価の高い監督らには実に辛辣。
1ヶ所脱字を見つけてしまった。
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(01)
新書というからには、映画の「現在」(*02)を扱っている。ハリウッドのデヴィッド・ロウリーやケリー・ライヒャルトといった作家を挙げ、邦画では、濱口竜介や三宅唱、小森はるか、小田香といった面々を推している。しかし、こうした現代の注目作家を並べた上で、映画史として振り返る素振りをもって、映画の誕生から起こってきたこととそれについての見解を、上映時間、サイズ、トーキー、ショット、運動、ドキュメンタリーとフィクション、キャメラマンや美術といった分類で述べ立てている(*03)。ヌーベルバーグの頃に、フランスに留学中であった著者は、その映画体験を語り、批評誌「カイエ・デュ・シネマ」への批評も加えつつ、その後の映画人たちとの交流も回想されている。
(02)
「現在」を歴史的にとらえた時、近代の複写技術としての映画であったとしても、「昔の映画」などということはなく、今、見ている瞬間のその映画に現在があることを指摘し、その映されている事実に驚き、時には安心することを推奨している。著者が盛んに溝口健二の「残菊物語」を見るように諭し、今現在、「ジョン・フォード論」を執筆中であることは、そのような映画の現在性という文脈において強烈な矜恃とも受け止めることができる。
(03)
著者自らが後期高齢者にあることを告げ、放談とも言えるような、作品や作家のぶった斬りを施している。素晴らしい、優れている、駄目などの判断がキッパリしており、読み心地はいい。自らの評価や判断と一致しない意見を述べる者(例えば「カイエ」のアンドレ・バザン)を殺人リストに加えるという徹底ぶりも面白い。
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蓮實重彦氏の映画の見方に関する新書、もしくは蓮實重彦氏の好き嫌いを知る新書だ。
とりあえず、蓮實重彦氏が濱口竜介監督のことを気に入っていることはよく分かった。本書を読んで、結局、映画なんて、楽しく観ればそれでいいじゃない、という気分だ。
星は3つとするが、まぁ、とりあえず3つという感じだ。
Posted by ブクログ
ネットで映画関連本を探している中で目に留まったもの。カメラワーク、ショットに強烈なこだわりがあり、映画の判断基準はまずはそこ、ってのはよく分かった。ただ、それを即ち自分に当てはめるにはハードルが高く、言及される作品の殆どが未知だし、あまり視聴欲を掻き立てられる作品も見つからなかった。よほど自分の視点が変わるようなことでもなければ、本書を参考に映画を選ぶ、ってことはなさそう。
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映画の見方の本。著者は映画評論家。
映画評論も色々あるが、この本では映画の作り手、プロデューサーや監督カメラマンについて、著者の考え方を記す。 前半は日本映画について述べているが、自分は最近の日本映画をほとんど見ていないので話が全くわからなかった。読み進めても、見てない映画、知らない映画監督の話ばかり。この本の内容を理解するには、古今東西の映画を何でも見ている事が前提で、よほどの映画マニアでないと 難しいように思う。また著者は好き嫌いもはっきりしていて、自分がいい映画だなと思っていたものが、残酷なくらいけなされていたりする。自分の好みを押し付ける講義というのは、講義になるのか。参考になる話やエピソードもあって面白い部分はあったけれど、見るレッスンというタイトルが何なのか、最後までよく分からなかった。
Posted by ブクログ
こういうのがダサいのはわかってるんだけど、濱口竜介と三宅唱がめちゃくちゃ褒められてて、蜷川美花や山戸結希の悪口が書かれてるのを見て気持ちよくなってしまった。