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激動する世界の資源エネルギーを俯瞰する「絶好の入門書」 世界を翻弄する資源大国ロシア、脱ロシアに急ぐ欧州、シェール革命のアメリカ、 中国のエネルギー戦略、地球温暖化・再エネ対応…… この1冊で、世界の全体像を理解できる最高の教科書。 早稲田大学で話題の講義を書籍化!
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Posted by ブクログ
序章 激動する世界のエネルギー資源を俯瞰する。 1プーチン政権のエネルギーを通じた世界への影響力の拡大 □ウクライナとの関係 ・1964年ウクライナとの間でドルジバというパイプラインが建設され、以後はウクライナを経由してドイツにロシアの天然ガスが大量に輸送され、さらにドイツから欧州各国に輸出されて...続きを読むいる。このようにロシアとドイツは昔からエネルギー外交を築いていた。 ・1991年にソ連が崩壊し、ロシアとウクライナが別国になると、ロシアの国営ガス会社ガスプロムはパイプラインの管理権をウクライナに要求。然し乍らウクライナがそれを断ったことで、怒ったロシアはウクライナを迂回するベラルーシ、ポーランド、黒海経由のパイプラインを新たに建設した。 ・更には2004年ウクライナにて反ロシア政権が誕生するとロシアはウクライナへガス供給を制限したり、停止するなどして揺さぶりをかけた。 ・2011年にはロシアとドイツを直結するパイプラインであるノルドストリームを開通させ、ウクライナの迂回を実現。これによりドイツにとっては政治問題によりウクライナを経由するパイプラインが断絶するリスクがなくなった。 ・このような共益関係はウクライナ侵攻により、根本的に変わった。 □ヨーロッパとの関係 ・ドイツとロシアの関係はエネルギー外交により厚いため、ウクライナ侵攻後もドイツはウクライナに対する支援は消極的であった。一方で同様にロシアへエネルギー依存していたイタリアは脱ロシアを鮮明に打ち出している。 □中東との関係 ・各国とOPECを組み、以前は世界シェアの過半数を誇っていた。然し乍ら、2015年に40%まで下落すると、新たに10カ国を加えてOPECプラスを形成し現在は60%を占めている。OPECプラスではロシアとサウジアラビアがリーダーを担っており、価格を調整している。 □中国との関係 ・2012年以降中国への原油輸入量が激増している。その為、中国はウクライナ侵攻によるロシアへの制裁は消極的。 ・2022年には中国と年間480億の天淵ガスを供給する締結をし、そのすぐ後に狙っていたかのようにウクライナへ侵攻した。 ・ヨーロッパ諸国がロシアからの石油を金融する中、その他の供給先を求めるロシアと経済成長を支えるエネルギーを安定的に調達意向のある中国とはメリットのある関係。 □エネルギー価格に変動がロシアにもたらす影響 ・化石燃料の一足打法であるロシア経済はエネルギー価格の変動に経済が大きく影響される。 ・2000年代プーチン政権以降は油価は上昇を続け、国営会社育成による輸出量の増加も相まって、ロシアは飛躍的に成長しプーチンや強大な権力を握った。 2ドイツの急転回 ・2011年にロシアと直結するパイプラインであるノルドストリームを開通させていたドイツは西側諸国がロシアとの対応に苦慮する中、ロシア依存度を高めていた。トランプはその姿を見て「ドイツはロシア捕虜だ」とも発言している。 ・然し乍ら、ウクライナ侵攻によりエネルギー戦略の急転回を余儀なくされたドイツは脱原発や脱石炭よりも脱ロシアが至上命題となっている。 ・その一環で予定していた原発の停止を中断し、風力発電を閉鎖し、石炭火力発電の稼働を増やすなど再エネとは真逆の方向に舵を切っている。 3 アメリカのシェール革命 ・掘削技術の発展によりシェールガスの生産量が劇的に増加し、2017年にかつては輸入国であったはアメリカは一転してLNGの輸出国となった。また、LNGだけでなくシェールオイルが取れるようになったことにより石油においても輸出国となった。 ・上記によりアメリカのシェアが拡大した事によりOPECシェア率の引き下げに寄与し、アメリカの安全保証的にもプラとなった。 □中東との関係 ・1945年にアメリカがサウジアラビアの安全保障を引き受ける代わりにサウジアラビアがアメリカに適正な価格で石油を提供する取り決めがなされていた。 ・然し乍ら、最近のサウジは中国/ロシアとの結びつきを強めている。中国とアラブ諸国は欧米が掲げる人権問題に反発している点で同じ立場である。 ・2022年には中国と戦略的パートナーシップに合意し、内政への不干渉や石油、原子力発電などのエネルギー分野での協力を定めた。また、中国の原油輸入の50%はサウジが占めており、人民元建決済を推進している。=ドル離れの加速。 5 中国の自国産業の育成を伴った再エネの推進 ・中国は2009年にアメリカを越し、世界一位の石油消費国となった。 ・一方で、グラスゴー合意を受け、中国は2026年から2030年の5年間で石油消費量を段階的に削減すると発表。以降は急速な勢いで再生可能性エネルギーを導入しており、中国全体の発電量の内、水力が18%、風力が6%、原子力が5%、太陽光が3%となっている。 ・水力、風力、太陽光発電では発電量が世界一であり関連する企業も世界有数である。加えて、発電に必要な装置を作る企業の育成も活発であり、世界ベスト10の多くは中国企業が占める。中国の再エネ支配力はOPECよりもインパクトがある。 6 飛躍的に高まったトルコの地政学位置付け ・トルコはロシアから友好国の扱いを受けており、対ロシアの経済制裁には参加していない。 ・ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ハブとして外国政治基盤がより強固になっている。 ・地政学的な意図づけとしてヨーロッパとアジアを連結する重要な位置。その為、ロシア、カスピ諸国、中東からの天然ガスがパイプラインを通じてトルコを経由しヨーロッパへ流れている。 ・ウクライナ侵攻に伴い、ウクライナ経由のパイプラインおよびドイツとの直結ラインが断絶。そうなった今、ヨーロッパはトルコ経由でカスピ海諸国から天淵ガスを輸入するか、アメリカや中東からLNGを輸入するしかエネルギーを調達できない。 1章 エネルギー戦略の基本的視座 1一国の資源エネルギー戦略を考える ・「資源エネルギーの3E」とはエネルギー安全保障、経済効率性、地球温暖化対策の3つを指す。この3つの内、どれを重視すべきかは国の状況や立場毎に異なる。 2エネルギー戦略の3E ・ドイツはウクライナ侵攻により、エネルギー戦略が揺れ動いている。以前は脱石炭、原発を掲げ、世界の地球温暖化対策のリーダーであった。経済効率性の観点でもロシアから天然ガスを安価に輸入していなかった為、問題はなかった。然し乍ら、ウクライナ進行により天然ガスの輸入が難しくなり、安全保証対策が大きく揺らぐことになった。そこでドイツは戦略を変え、脱石炭、原発よりも脱原発を重要視する必要に迫られている。 ・ここで注意すべきは安全保障と地球温暖化はトレードオフではない点だ。例えば、太陽光発電は風力発電等の再生可能エネルギーを推進すれば、化石燃料の使用が減るかつ、時給率が高まる。 3 エネルギー安全保障 ・エネルギー自給率を高める点は安全保証の観点で非常に重要。ロシア、中東は勿論、アメリカ、カナダも自給率は100%を超えており、純輸出国である。中国は80%、イギリスが75%、フランスが55%とまずまずで、ドイツは35%、イタリアが25%と低く、日本に至っては11%と壊滅的な数値となっている。 ・純輸出国では安全保障を考える必要はなく、輸出余力で他国にどのような影響力を行使すべきかが重要。例えば、アメリカはウクライナ侵攻を機にヨーロッパへ輸出拡大をし、存在感を高めている。 ・一方で日本のような自給率の低い国は安全保障のリスクが多分にある。端的に述べると、戦争により供給が断絶するリスクやシーレーンの安全を脅かされるリスクがある。シーレーンとは国家が有事に備えて確保すべき、海上連絡通路であり、石油や天然ガスはここから輸送される。 ・日本は原油輸入が中東に88%依存している為、中東で紛争があった際は大きな混乱に陥る。オーストラリア、マレーシアで50%、天然ガスはの中東依存は21%と低リスク。 4エネルギーの経済効率性 ・経済効率性は国民生活と事業活動双方に多大な影響を与えることから、政治問題にも成り得る。実際にはマクロン大統領の選挙の際は最大の論点はエネルギー価格だった。 5地球温暖化対策 ・2021年のグラスゴー合意で初めて石炭火力を段階的に削減する方針が決まった。 ・二酸化炭素排出量のランキングは1中国2アメリカ3インド4ロシア5日本6カナダ7ドイツ8ブラジル9韓国。要点としては中国、インドは石炭が多く、フランスは原子力、ドイツ、ブラジル、イギリスは再生可能エネルギーが多い点。 ・その為、中国とアメリカが国際的な取り決めに入るかは重要な意味を持つ。 ・日本は地球温暖化対策として、2050年にはカーボンニュートラル、2030年には2013年対比温室効果ガス排出46%減を目標に掲げている。 ・カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と植林や森林管理などにより均衡させることで、温室効果ガスの排出量を実質的に0にすることを目指す概念。 2ロシア (1) ロシアの基本情報 ・人口の80%はウラル以西のモスクワやサンクトペテルブルクに住んでいる。ウラル以西は冬の気温は零下10度程度だが、以東は零下40度を下回る時期がある為だ。故に、主たる産業もウラル以西に集中している。 (2)世界のエネルギー市場における巨大なロシアの存在 ・ロシアは石油、天然ガス、石炭共に産出量が世界有数の国。石油の産出量はアメリカに次ぐ世界2位で世界の12%を占めている。輸出国としてもサウジに次ぐ2位となっており、13%を占めている。 ・天然ガスの産出量でもアメリカに次ぐ2位で18%、輸出量は22.6%で首位となっている。 ・石油の主要な輸出先は中国で31%を占める。それに次ぐのがオランダ、ドイツでそれぞれ11%となっている。 天然ガス輸出相手国はパイプラインが充実している、ヨーロッパが中心。特にドイツ、イタリアはそれぞれ16%、12%と大きく依存している。中国の割合は現時点では5%と少ないが、今後パイプラインが開設される予定であり、割合は増えていくと予想される。 ・資源別供給量としては、天然ガスが一番多い。 (3)プーチン政権の国営企業を通じた世界への影響力の拡大 ・プーチン政権以降ガスプロム(ガス会社)、ロスネフチ(石油企業)という国企業を強化することで、財務基盤を強化。 ・ガスプロムの成長により、設備の更新や操業技術が飛躍的に向上したことで、産出量の増加に加え、既に算出されている地域でも新たなな埋蔵を確認できるようになった。また、開発コストの低下に伴い、新たな場所でも算出が可能になったことで、プーチン政権発足後は埋蔵量が年々増加している。 ・輸送ルートとしても、既存欧州向けパイプラインを充実させるとともに、ウクライナ迂回ルートや中国へのパイプラインを設立し、より広い市場へアクセスが可能となった。このように産出量が増加し、価格が高騰したことで外貨を飛躍的に稼ぎ財務基盤が安定した。 ・石油は価格は紛争が起こる度に上昇する。その為、ロシアは紛争があるとエネルギー価格が上昇し豊かになる。よってウクライナ侵攻により各国より経済制裁が加えられたが、それ以上の外貨収入がロシアには入ってきている。 4 ロシアとウクライナのガスパイプライン紛争 ・1991年にソ連が崩壊した際にロシアに天然ガスの生産、輸出が、ウクライナにパイプラインの管理権が譲渡された。 ・その後、ロシアがパイプラインの管理権の譲渡を要求したところ、ウクライナがそれを拒否。これに腹を立てたロシアがベラルーシ/ポーランド経由、黒海経由のウクライナを迂回したパイプラインを作った。 ・また、2004年オレンジ革命により親欧米派のユシチェンコ政権になると、天然ガスの兄弟価格での販売を廃止し、5倍の値上げを実施した。 ・2006年には再度管理権譲渡の要求を拒絶されたロシアは天然ガスの供給を一時停止。これによりウクライナ経由での輸送が落ち込み、ヨーロッパ各国に影響が出た。 ・現在ウクライナはロシアからガスを直接輸入ではなく、間接輸入で調達している。(ロシアのガスをヨーロッパ経由で輸入) 6ウクライナを経由しないパイプライン ・2011年にロシアとドイツを直結するノルドストリーム1が開通された。管理権はガスプロム社が保有。 ・しかし、2017年以降キャパオーバーになり、もう一つのパイプライン形成が議論されるようになった。 ・2017年ヨーロッパのエネルギー大手5社がノルドストリーム2の建設に調印。時にドイツのメルケル前首相は脱石炭、原発を掲げ、天然ガスの安定供給が不可欠であった為c、力を入れたプロジェクトだった。 ・2021年には開通したものの、2022年のウクライナ戦争が始まった為、現在は開通はしたが使われていない状況。 7ウクライナ侵攻を受けて、見直されるロシア依存度 ・イタリアはロシア依存度が高い国ではあるが、アフリカともパイプラインが繋がっており、代替手段には恵まれている。一方で、ドイツはそれがないのでロシア依存度をさげる難易度はかなり高い。 第3章 ドイツ 2ドイツのエネルギー情勢の俯瞰 ・ドイツはロシアに天然ガスの55%を依存している。 ・また、LNG輸入ターミナルがない為、天然ガスの全てをパイプラインから輸入。うち、半分は別の国に販売している為、商社的な国と言える。 ・2022ウクライナ侵攻が始まると、ロシア依存から脱却する為、LNG輸入ターミナルの建設を再開した。 3脱炭素に向けた動き ・ドイツに発電量の3/4は再生可能エネルギーで構成されている。 ・このようにドイツは脱炭素に非常に積極的な国であり、脱炭素政策を法制化した。 ・然し乍らウクライナ侵攻に伴い風向きが変わり始めた。ショルツ首相はウクライナへの支援として初めはヘルメットを送っただけだった。これによりドイツの立場は悪化し、自国でも生産可能な石炭を再び使い始めている。とはいえ、脱炭素を法的に定めているので、短期的な施策に過ぎないと予測されている。 ・脱原発にも積極的であり、東日本大震災時には2022年までの脱原発を決定した。現在は17基あるうちの14基が既に停止されており、残りの3基が2022年停止予定となっていたが、ウクライナ侵攻を踏まえ、保留となっている。(2023年残りの3基も停止) 4再生可能エネルギ推進政策 ・再生可能エネルギーによる発電量のうち、風力が半分を占め太陽光が1/4。残りはバイオマスと水力になっている。 ・ドイツ北部の洋上は恵まれた風量がある。しかしそれを考慮しても風力発電の割合は多い。なぜなのか。 ・答えはFIT(固定価格買取制度)である。80年代のドイツ企業は電力会社と買取価格の交渉が必要だった為、なかなか風力発電に取り組んでくれない課題があった。その問題を解決する為、電力会社に決まった値段で決まった期間強制的に買取をさせるFITが制定され、プロジェクトを推進しやすくなった。これにより90年から2012年の間に風力発電は570倍の規模まで成長した。その結果、発電量は原子力/天然ガスを超え石炭を除けば一位となっている。 ・しかしながら、この制度では電力会社の負担増かつ、価格転換され物価が上がる仕組みであった為、2017年には廃止となった。 ・風力発電にも課題はある。余った電力に対応できない為貯蓄が難しいのだ。その為、ヨーロッパ中に張り巡らされた送電網を用いて各国に電気を輸出している。 5脱ロシア政策 ・ショルツ首相はロシア依存度低下の為、エネルギー政策を大きく転換する方針を示した。そうなると、脱炭素政策をどれほどスローダウンさせるかが考える必要がある。 ・石油は2022年末までにゼロ、石炭は2022年秋までにゼロとし、天然ガスについてはLNG輸入を増やすことで天然ガスとの大幅代替を打ち出した。また、オランダ、ノルウェーからの天然ガスをさらに増やすという。 第4章アメリカ 1 世界におけるアメリカの位置付け ・石油/天然ガス双方の生産及び消費量が1位。また、原子力発電でも世界1位となっているなどエネルギー大国と言える。こうした状況になったのはつい最近の出来事。 ・近年は石油の輸入相手国も大きく変化している。ペルシャ湾岸地域からの輸入が減少し、隣国カナダからの輸入が増えている。つまり、アメリカは脱OPEC/中東に成功している。 2アメリカのオイルメジャーと株主の地球温暖化対策圧力 ・アメリカの石油と天然ガス生産を担っている大きな会社はエクソンモービルである。源流はロックフェラーが作ったスタンダードオイル社で、世界各地で石油/天然ガスの探鉱、生産、輸送、販売を行っている。 ・2番手はシェブロン社。 ・上記記載の通り、2社の源流はスタンダードオイル社。ロックフェラーは輸送手段を掌握しており、アメリカ全体の1/3のシェアを誇っていた。 ・あまりにも力を持ち過ぎた結果、米国で初め独占禁止法であるシャーマン法が適用され、1911年には34の新会社に分割された ・アメリカの石油メジャーの発展にはオスマン帝国 の崩壊が関係している。第一次世界大戦後にイラク/イラン/サウジ/アルジェリア/リビア/チュニジア/エジプト/トルコを領土にしていたオスマン帝国が崩壊。当時石油の需要が増加していた為、エクソン/モービル等スタンダードオイルを全身とする5社とイギリス系の会社2社が石油の採掘を主導していた。これらは総称してセブンシスターズと呼ばれ、世界の石油価格の決定権をこの7社がカルテルによって管理していた。 ・1960年まではセブンシスターズの支配が続いたが、それを打破すべくOPECが誕生。1970年にはオイルショックを引き起こし、主導系はOPECが握るようになった。 3シェール革命 ・少し前までは中東/ベネズエラに石油/天然ガスの輸入を大きく依存していたが、2008年以降、シェール革命によりアメリカは輸出超国となった。 ・シェール革命により、中東への依存度が下がりパナマ運河やマラッカ海峡、ホルムズ海峡を通る必要がなくなり、チョークポイントリスクがなくなった。(重要な航路が収束している地点のこと) ・パナマ運河に関しては添付ファイル参照。 4世界一の原子力発電 ・アメリカは現在、94の原発があり世界最大の原発国となっている。 ・1979年にはスリーマイル島事故があったが、依然として割合は大きい。 6大統領ごとに変わる地球温暖化政策 ・大統領ごとに地球温暖化政策が大きく異なる。 ・オバマ政権は地球温暖化政策に熱心であり、①世界最大の二酸化炭素排出国である中国から協力を取り付け、パリ協定の締結②カナダとメキシコを結ぶパイプライン建設計画の却下③再生可能エネルギーの推進(シェール革命により失敗)等を実施した。 ・一方で、第一次トランプ政権では①労働者の利益を優先しパリ協定からの離脱② カナダとメキシコを結ぶパイプライン建設計画の承認③シェール革命の推進を実施。 ・続いてバイデン政権では①パリ協定への復帰② カナダとメキシコを結ぶパイプライン建設計画の却下③カーボンニュートラルの推進を実施。 7ベネズエラ制裁 ・ベネズエラは世界全体に石油埋蔵量の18%を有する国。人権問題を多く抱えている為、対応に四苦八苦してきた。オバマ政権は人権意識が強く、政府要人の口座を凍結、続いたトランプもシェール革命で輸入が不要になり、ベネズエラへの制裁を強化した。 ・しかしウクライナ侵攻に伴いEUが禁輸を実施。ロシア以外の国から限られた石油を輸入する必要に迫られ、石油価格が世界的に高騰。その結果、ガソリン価格やディーゼル価格が連動して高騰し、国民の不満が増幅。故に、バイデン政権下ではベネズエラへの制裁を緩和し、石油の供給量を増加。ヨーロッパがベネズエラの石油を購入できるよう調整をはかっている。 第5章 中国 1世界における中国の位置付け ・中国は世界一のエネルギー消費国。内訳としては石炭が58%、石油が19%、天然ガスが8%と化石燃料だけで85%を占める。 ・中国は天然ガスの輸入量が世界一であり、パイプラインの天然ガス、LNG両方の手段で輸入している。日本はLNGのみ、ドイツはパイプラインのみ(現在はLNG推進中)の中、両方の手段を用いている点に特徴がある。 ・ただ輸入量が多いだけでなく、自国での石油/天然ガスの生産も確りと行っている。例えば、石炭の生産量は圧倒的世界一位であり、石油も世界六位の生産量を誇る。 ・中国の代表的な石油会社は添付ファイル参照。 2再生可能エネルギー ・再生可能エネルギーの内訳は火力68%、水力18%、風力6%、原子力5%、太陽光3%。 ・原子力発電については現在50基あり、さらに16基建設中。建設中の基数は世界一位である。これら原発は小型炉に向かうとされており、世界をリードしている。 ・水力発電も世界ダントツ首位である。三峡ダム(サンキョウダム)は中国最大規模の水力発電ダム。大きな水量を持つ長江の河川を利用している。また、メコン川上流も開発しており、メコン川の川下になる国々は水量を中国にコントロールされている。 ・もちろん、風力/太陽光発電も世界ダントツ首位。 3 風力・太陽光関連設備の製造大国 ・中国は国内のエネルギー需要が何年も続けて世界一であり、この需要を満たすために、再エネ発電設備を増やしてきた。再エネにシフトするにあたり、関連する設備を作るメーカーや運営会社の育成にも注力している。 ・水力発電所の70%、風力発電所の50%太陽光設備の80%を中国企業が担っている。また、世界の再生可能エネルギーによる発電量の内、1/3が中国のものでり、発電設備容量でも世界圧倒的トップとなっている。 4電気自動車の製造大国 ・中国は省エネの技術ロードマップ2.0を発表しており、2025/2030/2035までの目標値が設定されている。(2024年時点ではEV普及率は38%) ・新エネ車市場拡大政策として飴と鞭を使い分けており、購入補助や免税といった金銭インセンティブを与える一方で、メーカーや輸入業者に対して燃料車、輸入台数に応じて、新エネルギー車の生産義務を課している。 5地球温暖化対策 ・CO2排出量は二位のアメリカに2倍差をつけ圧倒的首位。そのため、中国がCO2排出量をどれだけ削減するかは世界全体にとって非常に重要な問題。 ・グラスゴー合意では当初「石炭火力の廃止」という方針であったが、石炭依存度が高い中国、インドが到底受け入れられないとして「石炭消費量の段階的削減」へ変更となった。 ・習近平主席は2020年の国連総会において、環境問題への長期構想を掲げており、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、2060年までにはカーボンニュートラルを達成させるとしている。 ・また、同年の国際環境サミットでは①GDPあたりのCO2排出量を2005年比65%減②一時エネルギー消費に占める非化石エネルギーの割合を25%に③森林埋蔵量を2005年比60億m2増加④風力発電/火力発電の総設置容量を12億KWにする目標を掲げた。 ・植林にも意欲的であり、現在は植林可能な地域ではほぼ植林が完了し、森林率は25%。加えて、グリーンファイナンスも強化しており、2021年に脱炭素排出権取引市場を創設、クリーンポンドの発行額は世界第二位となっている。 6 エネルギー安定確保への努力 ・チョークポイントリスクが高まっており、今後中国は世界の海域の安全保障に関与する可能性有。 ・原油輸入国の一位はロシアで二位hサウジアラビア。ウクライナ侵攻によりロシアへ禁輸する国が増える中、中国の輸入量は増えている。 7中国の天然ガスと石炭 ・天然ガスはトルクメニスタンから66%をカザフスタンから14%をパイプラインを通じて輸入。 ・LNGはオーストラリアが46%、カタールが14%となっているが中国とオーストラリアは中国がソロモン諸島に軍事拠点を作ろうとしていることに対してオーストラリアが難色を示して関係が悪化したことで関係が悪化し、割合が減少し続けている。 第6章 EU 1EUのエネルギー戦略 ・2022年、EUはロシア産原油の輸入禁止を決定。ハンガリーの要望でパイプラインの輸入は例外となったが、ドイツとポーランドは輸入を禁止とした。 ・その結果、EUはロシアからの90%の石油を禁輸し、アメリカ、カナダを含めたG7全体でロシア産石油輸出量の60%が禁輸対象となった。 ・LNG受入基地の建設はロシア以外の中東やアメリカからの輸出が可能になる為、天然ガスの脱ロシア化に有効。 ・ドイツ以外のヨーロッパ諸国は受入基地を保有。保持していなかったドイツは慌てて建設作業をしているが、建設期間を長く確保できない為、時短でできる洋上LNG基地を建設している。 ・LNGにはスポット契約と長期契約の2種類がある。以前はスポット契約は石油取引が中心であり殆どなかったが、LNG生産の増加に伴いスポット市場が形成されている。 ・長期契約は供給者と大口の需要者の間で締結される。(例えば、カタールと中電予め、価格決定方式が定められており、スポット価格との連動割合を弱め、価格の激変緩和を図っている。 ・2022年ウクライナ侵攻後の高騰するエネルギー価格への対応策が発表された。そこでは①各国が天然ガスを競争して買うことによる値上がり防止策として、EUでのガス需要集約。②ロシアから天然ガス供給低下時などの混乱時に、加盟国間でガス供給を融通する結束メカニズムを定めた。 ・欧州では国を跨いで電力網は繋がっており、欧州各国は発電電力量の1割を他国と取引。 ・EU内では原子力発電を中心とするフランスのCO2排出量が圧倒的に少ない。 ・一方でドイツは環境先進国のイメージがあるが、国内で使用する電石炭火力発電の殆どを使用するのに対し、風力発電による電気は自国消費では賄いきれずに他国へ輸出している為、CO2排出は欧州最大となっている。 2 イギリス ・以前はエネルギー自給率が100%を超えていたが、北海油田の石油算出量が減退したことに伴い、75%まで低下。ロシアへの依存度は8%程度であり低い。 ・北海油田からは複数のパイプラインが伸びている。 ・欧州の原油価格の指標は北海油田の1つブレント油田の「ブレント原油」が基準。一方でアメリカはウエスト・テキサス・インターメディエート(WTI)が指標。 ・再生可能エネルギーは原子力発電が大きな割合を占めているが、2020年に風力が抜いた。原子力発電は2030年までに8基、原発比率を25パーセントに高めることを目標としている。 ・ノルウェーと海底送電線が繋がっており、両国間で需給に応じて積極的に送電している。 ・ジョンソン大統領は2035年までに電力の全てをグリーンエネルギーで賄い、2030年までにガソリン車とディーゼル車の販売禁止、鉄道の電力化による排出削減目標の達成を掲げている。 3フランス ・一時エネルギー構成比は原子力が36%、石油31%、天然ガス17%と原子力発電の割合が大きい。 ・2022年現在、58基の原子力発電所があるが全ての原発を電力公社のEDFが運営している。 ・注意点は原子力発電がロシアの影響を受けていることだ。原発の原料であるウランの30%をカザフスタンから26%をウズベキスタンから調達しており、ロシアの裏庭である中央アジア地域からの調達が主。その為、フランスもロシアとの関係性は拗らせたくない。 ・今後も原発を通じたエネルギー戦略を考えており、2050年までには追加で5基の稼働を目指している。 4イタリア ・エネルギー構成比は石油36%、天然ガス42%。再生可能エネルギーの割合は18%であるが、原子力がゼロであることに特徴がある。ロシア依存度は石油11%、天然ガス42%と高い。 ・イタリアは古来より資源が乏しく、早くから原発の開発に着手した。60年代には3基保有しており、73年のオイルショック時に原発を拡充させようとしたが、チェルノブイリ事件の後に国民投票により、推進しなくなった。以降は運転中/建設中に原発はゼロ。 •2008年にはベルルスコーニ政権は原発を再開させる法案を可決させたが、2011年に福島第1原発事件が起きると、再度国民投票が実施され頓挫した。 ・ウクライナ侵攻では脱ロシア戦略として、空調温度25度未満を禁止した。 ・イタリアは幸運なことにチュニジアやアルジェリアなどのアフリカ諸国とパイプラインが繋がっている為、天然ガスの輸入面ではドイツに優位性を持つ。 ・その為進行後はアフリカ諸国とガス供給源多様化に向けて交渉を続けている。 5スペイン ・再生可能エネルギーのうち、風力発電が原発と同程度の33%を占める。風力発電への依存は気候変動リスクにさらされる。実際に2021年夏には強風に悩まされ、風力発電は軒並み不調となった。一時卸売価格が4倍程度まで上昇した。 ・また化石燃料資源にも乏しく、1970年には原発の開発が進められたが、イタリアと同じくチェルノブイリ後に新規開発が停止された。一方で現政府は既設の原発は維持していく方針を示している。 ・アルジェリア/モロッコとのパイプラインを通じて石油を輸入。また、LNG受入基地を6ヶ所保有しており、アメリカから多くの天然ガスを輸入している。このようにロシアへの依存度は低い国である。 6 オランダ ・国土の1/4が干拓地(カンタクチ)で海面下にあるオランダにとって、地球温暖化に伴う海面上昇は深刻な問題である。 ・その為、地球温暖化対策には積極的であり、高速道路の速度を100キロに制限したり、温室効果ガスを大量に排出する建設プロジェクトを中心するなどしている。 ・オランダは天然資源に恵まれ、石油、天然ガスを生産している。中でも天然ガスはヨーロッパ最大の生産量を誇り、フローニンゲンガス田は歴史的に国内ガス生産の主要な供給源だった。 ・然し乍ら、2018年にフローニンゲンガス田でのガス採掘により地震が発生。これを受けて政府はガス生産を終了することを表明し、国内ガス供給/輸出は大幅に激減した。 ・その為2013年から2018年にかけて、ガス生産量は55%減少し、輸入依存度は72%へ増加してしまった。 ・ウクライナ侵攻を受け、フローニンゲンガス生産の再開が検討されているが、まだ至っていない。 7フィンランドとスウェーデン ・両国はロシアに隣接しており、気を使っていた為、NATOには加入せずロシアに中立的であったが、ウクライナ侵攻を踏まえNATOに加盟した。 ・それに対抗してロシアはフィンランドへの電力供給を突如廃止した。 ・一方で両国のロシア依存度はさほど高くなかった為、影響は大きくはなかった。 ・エネルギー自給率はスウェーデンが71%、フィンランドが55%と一定の備えがある。 ・内訳ではスウェーデンは再生可能エネルギーが46%、原子力発電が27%、フィンランドは再生可能エネルギーが39%、原子力発電が20%と2つで殆どを占めている。 ・この二国からわかるのは、原子力発電や再生可能エネルギーの割合を増やすことで、化石燃料の割合が減り、ロシア依存度が下がることだ。再生可能エネルギーの推進は安全保障/国防の為にも重要な役割を果たす。 8 重要性を増すトルコ ・トルコはヨーロッパとアジアを連結する重要な位置にあり、パイプラインが集中している。 ・トルコはNATOに加盟しているが、古くからロシアの友好国であり、ウクライナ侵攻の際は対ロシアの経済制裁には参加しない独特の立場をとっている。 ・また、2022年にロシアとトルコの外務大臣が会合し、ガスプロムやオリガルヒなど43の企業がヨーロッパの拠点をトルコに移転する協議がなされた。 ・ウクライナ侵攻後は機能していないパイプラインが増加する中、ロシアからヨーロッパへトルコ経由で天然ガスを輸出するトルコストリーム/ブルーストリームの輸送量が急激に増えている。 ・カスピ海諸国はトルコのパイプラインがない時代にはロシアを経由する必要があり、通航料を搾取されていたが、ソ連崩壊によりトルコ経由で輸送するようになった。 ・最後にトルコは脱ロシア、脱石炭においても重要。例えば、イタリアはロシアへの依存度が高く天然ガスの31%をロシアから輸入しているが、幸運にもトルコとのパイプラインが繋がっている為、脱ロシアへの切り替えが進んでいる。 ・ロシアはウクライナルート、ドイツ直結ルートが使えなくなり、今はトルコ経由でないとヨーロッパに輸出できない。加えて、アゼルバイジャン等のカスピ海諸国からするとロシアを通さずヨーロッパへ輸出する場合、トルコを経由する必要がある。イラン/痛くもトルコを通らずにいられない。このようにトルコの存在意義は非常に大きくなってきている。 第7章 インド 1 世界におけるインドの位置付け ・ロシアに対する禁輸はインド/中国の2つの大国が輸入を継続したことで、実効性が大きく後退した。 ・インドは現在急速に経済成長をしている一方で、それに見合うエネルギー自給ができておらず、自給率は年々下落している。 ・インドの石油輸入相手国は地理的な影響で中東が多く、一部ロシア/アメリカからも輸入している。天然ガスも同様に中東からの輸入が主。 ・インドは送電ロス問題に直面している。送電ロスとは発電所で発電された電気が需要家に供給されるまでの間に失われる電⼒量を言う。ロス率は30%と日本の4.7%や中国の7%と比較するとかなりの量をロストしている。 ・要因としては技術的な問題もあるが、最大の要因は使用電力メーターを改ざんする不正が横行していることが挙げられる。2015年以降は総合電力開発計画を実施し、スマートメーターへの切り替えや配電システムのIT化を進めている。 ・加えて、農民への低料金での優遇政策も要因の1つ。 2再生可能エネルギー ・石炭が45%、石油が25%、バイオマスが20%、天然ガスが6%、再エネが3%であり、化石燃料が75%も占めている。再エネは増加傾向にあるが、まだまだ全体の3%。 ・太陽光発電はインドの中では少ないが世界全体では中国、アメリカ、日本に次いで、生産量の7%を占めている。一方で、中国の安価な太陽光発電設備に依存している。その為設置費用は日本の1/3であり、入札単価も破格。 ・ところが、2020年以降国境問題に端を発し中国と関係があっか。そこでモディ政権は中国依存脱却の為、太陽光発電設備の国産化に向けた対策を推進している。 ・風力発電は世界全体の5%を占め、中国/アメリカドイツに次ぐ4位。現時点では陸上風力が主であり、洋上風力は殆どない。 ・水力発電は世界全体の4%を占め、6位。 ・原子力発電所はさほど多くはないが、現在6基を建設中。 第8章 1 東南アジア諸国連合 ・ASEANは1967年にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5か国で始まり、その後ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加わり10カ国に拡大した。 ・ASEANは人口が6億人と多いのに対し、GDP総額が低く、伸び代が大きい国とされる ・また、ASEAN内で関税が撤廃され、東南アジア全体の国際競争力が向上した。 ・ASEANは経済規模は3倍、人口は25%増加すると予想されており、それに伴ってエネルギー需要を2035年までに80%以上増加させる必要がある。 ・実際に2000年と2017年を比べるとエネルギー需要は石炭が4倍、天然ガスが2倍、石油、自然エネルギーも1.5倍となっている。 ・インドネシアは石炭生産量が世界3位、輸出量は世界1位となっている。自国の発電量の半分以上を石炭で賄っている。 ・ミャンマーはパイプラインにより天然ガスを中国に輸出している。マレーシアは日本にLNGを輸出している。 2韓国 ・韓国は化石燃料への依存度が高いにも関わらず自国での埋蔵量は少ない為、輸入に頼っている。 ・石油37%、石炭27%、天然ガス18%、原子力15%、バイオ2%、風力/太陽光1%となっている。 ・石油はサウジ27%、アメリカ14%、クウェート14%、LNGはカタール27%、オーストラリア19%、アメリカ14%、マレーシア12%、石炭はオーストラリア35%、インドネシア21%、ロシア20%。 ・2018年原発政策を転換し、2030年には原始力発電の割合を30%まで増加させる目標を掲げた。 3オーストラリア ・オーストラリアは資源大国であり石炭輸出は世界2位、天然ガスの輸出は世界5位である。 ・日本とオーストラリアは資源貿易面で密接な関係があり、日本の石炭輸入の6割、LNG輸入の4割をオーストラリアが占めている。 ・オーストラリア視点では石炭が1位日本2位中国3位韓国、LNGは1位中国2位日本となっている。 ・2021年に新型コロナの発生源を巡りオーストラリアが独立した調査を行うことで中国との関係が悪化。 石炭/LNG共に減少傾向にある。 ・バースは東南アジア近くにあり、ここを中心にASEANとの結びつきを強めている。 4ブラジル ・1973年/1979のオイルショック時は石油の90%を輸入に頼っており、1989年代以降はハイパーインフレを起こした。 ・オイルショック以降に石油開発に注力した結果、2006年には自給を達成し、現在は世界9位の石油輸出国となった。 ・石油拡大の背景にはペトロプラスという国営石油会社の存在がある。当社は新セブンスターズの1つであり、深海/超深海での探鉱/開発技術を持つ。 ・足許FPSOという新技術を開発中であり、これが実現すると非OPECメンバーの中で石油輸出量が世界二位になると予想されている。 ・ブラジルは古くから再生可能エネルギーの割合が大きい。現在は再エネによる発電量は中国/アメリカに次いで二位であり、特に水力/バイオマスに支えられている。 第9章 1中東の基礎知識 ・石油輸出量の1位がサウジ/3位がイラク/5位がUAE/6位がイラン/9位がクウェート ・天然ガスにおいては生産量は3位イラン/5位カタール/8位サウジとなっているが、中東はパイプラインが隣国と繋がっていないので、輸出量ではカタールが3位に位置しているのみである。 ・日本は原油の輸入を88%と依存しており、チョークポイントリスクを抱えている。 ・かつては中東産油国は石油メジャーから不利な条件で搾取されていた。当時は自国で独自に開発する技術や人材が不足していた為、利権契約という一定の金額を払えばメジャーは生産するだけ利益を得られるメカニズムとなっていた。 ・上記の状況下で1945年にメジャーに対する産油諸国の意思を統一し、石油政策を調整する国際機構として結成されたのが、アラブ連盟。 ・1960年にメジャーがアラブ連盟の了承なしに公示価格引き下げを行った為、サウジ/ベネズエラ/イラン/イラク/クウェートがバグダッドに集まり、OPECが設立された。1970年代にはサウジがOPECの主導権を握り、石油に価格決定権をメジャーから奪って2度のオイルショックを引き起こした。 ・オイルショック以降、産油国は油田/石油パイプライン/製油設備の国有化を進めメジャーの影響力をさらに排除した。 ・設立当時は圧倒的シェアだったが、2019年には41%に下がったことでOPECプラスが設立され、新たにロシア含めた10ヵ国が加わり、60%のシェアを獲得するに至った。 2イラン ・イランは石油及び天然ガスの埋蔵量が世界有数にも関わらず、度重なる制裁によって、開発/生産が遅れ輸出も伸び悩んでいる国。 ・イランとカタールの国境線にはガス田があり、そのガス田のおかげで両国は世界有数の埋蔵量を誇っている。もしイランへの制裁がなくなり、ガス田の開発が可能になればイランも世界有数のLNG輸出国になる可能性を秘めている。 ・制裁の経緯はクリントン政権時イランが大量破壊兵器の獲得や国際テロ組織を支援しているということで、イラン・リビア法を制定しイラン石油精製に関わる企業に制裁を加えるようになった。 ・2005年には核兵器開発疑惑が上がり、国連安保理で制裁が決定し、核技術の移転禁止/金融資産凍結が執行された。 ・ホルムズ海峡は世界の石油消費量の2割が通っている。イランはこれまで度々イギリス/アメリカ/サウジの敵国に対して、ホルムズ海峡の封鎖の脅しをかけている。 ・イランは鉄道/道路のインフラ整備に力を入れており、カスピ海とペルシャ湾を結ぶ高速道路を開通させた。これによりロシアとイランが連携し、ロシアは欧州を経由しない新たな輸送ルートを獲得した。 ・ウクライナ侵攻後は更に連携を深めている。 3イラク ・オタクの石油埋蔵量は世界3位。1990年のクウェート侵攻後、イラクに課せられた制裁により1996年まで石油の輸出が禁止されていた。これにより一時石油の生産量は85%減少した。これら制裁は2003年フセインが排除されるまで続いた。 ・イラク戦争は2003年大量破壊兵器保持による義務違反を理由にアメリカ/イギリス/オーストラリア/ポーランドがイラクへ侵攻した軍事介入。2011年に完全撤退。 4カタール ・カタールは人口288万人/国土は日本の3%と非常に小さな国。一人あたりのGDPは世界一位。 ・カタールはイランと過度に接近したり、ムスリム同胞団などのテロ集団を支援したことにより、サウジ/UAE/バーレーン/エジプトとの国交から2017年に国交の断絶を制限された。(2021年には回復) ・天然ガス輸出量は全てLNGであるが世界3位を誇る。LNGの歴史は浅く1990年代に生産を開始した。当初のLNG生産は中部電力向けの開発であり、日本への輸出はウェイトを占めていたが、直近では欧州向けが増えている ・カタールを世界最大の天然ガス輸出国にした要因はペルシャ湾に位置するノースフィールド。ここは1971年にイギリスにより発見されイランとの国境線にあるイラン側はサウスパースと呼ぶ。 5 サウジアラビア ・サウジアラビアは石油輸入量の世界一位であるが、LNGの輸出はしていない。 ・国営企業であり世界の石油生産量の10%を一社で担うアラムコ社時価総額では世界有数で新セブンシスターズの中心である。 ・1945年年アメリカがサウジの安全保証を引き受ける代わりに、アメリカに適正価格で石油を提供する取り決めがなされているが、最近はロシアと中国と接近している。 ・2022年には中国と石油/原子力発電など包括的な戦略的パートナーシップを結んだ。中国は原油輸入の50%を中東に依存しているが、人民元建決済をする姿勢を強調。世界最大の産油国と消費国の連携は極めて重要で、仮に人民元建が実現されれば、ドル離れが加速する。 6UAE ・日本の原油輸入の二位/LNG輸入の六位を占める。 ・カタール航空/エミレーツ航空/エティハド航空は全てUAEの航空会社。 7イスラエル ・建国以来エネルギー輸入国として他国に63%依存。 ・近年ではガス田が発見され徐々に自国生産が増えている。 ・アメリカとは非常に良好な関係。 第10章 日本 2世界における日本の位置付け ・石油38%/石炭27%/天然ガス22%水力4%/原子力2%。 ・日本は各国と比べ、石炭の消費量が多く、再生可能エネルギーがやや少ない国。 ・時に石炭使用量は先進国の中でダントツに多い。 ・また、チョークポイントリスクも非常に高く。アメリカからのLNG輸入時はパナマ運河を中東から石油を輸入する際はホルムズ海峡やマラッカ海峡を経由している。 ・自給率も11%とダントツの最下位。 ・地理上日本は島国である為、安定供給が見込まれるエネルギー供給相手国が近くにいない。 3石油について ・原油輸入先は中東が88.3%/ロシアが4%。 ・自主開発比率とは日本が他国で開発に参加して原油/天然ガスを採り、それらの輸入量を示す。これは安定的に確保できるエネルギーと位置付けて問題なし。 ・自主開発比率は企業の努力により上がってきており40%を超える状況になっている。 ・日本は1973年以来、石油の備蓄量を増やしており、合計241日分の備蓄がある。 ・これまで備蓄の放出はしてこなかったが、2021年アメリカと歩調を合わせて初めて放出した。要因としては、欧米が風力不足で発電が滞ったこと、ノルドストリーム2の仕様が見合わされたこと、コロナ禍の回復で需要が増えたことが挙げられる。価格上昇を防ぐための策だ。 ・また、2022年にもウクライナ侵攻に伴い、放出した。 4LNGについて ・オーストラリア37%、/マレーシア12%/カタール12%/ロシア8%/アメリカ4% ・アメリカ/ロシアのLNG開発には日本の企業が数多く参画。 ・時にロシアとはサハリン2を共同開発していたが、ウクライナ支援の制裁としてロシアはサハリン2の株主の三菱商事/三井物産に対して無料譲渡を命令する大統領令を出した。現在は従来通り、権益を維持している。 ・日本は世界的に見てもLNG大国と言える。東電と中電の共同出資により設立されたJERAがLNG輸入を主導しており、全国津々浦々にLNG輸入基地がある。 ・1990年にはLNG輸入の7割を占めており、現在は中国に抜かれLNG輸入の2割にシェア。輸出国はオーストラリアとカタールの2強。 ・今後ウクライナ侵攻に伴いドイツを始めとした、欧州各国がLNG輸入量を増やすとされている。そうなると今後は欧州の輸入増加が価格に充てる影響が日本にも及ぶ可能性がある。 5石炭 ・石炭輸入の7割オーストラリア/1割インドネシア。 ・この二国は政治的にも友好国かつチョークポイントリスクも少ない為、安全保障上の心配はない。 ・日本は石油使用量が極端に高いG7の中では非常に厳しい立場にいる。 6原発 ・2010年には原発が54基あり、世界三位であった。 ・然し乍ら、2011年に福島事件後は、一旦全ての原発の稼働を停止させた。 ・ドイツ/イタリアはこの事故を受けて原発の稼働停止に向けて歩みを進めている。 ・現時点で10基の原発が稼働している。 7再エネ ・太陽光発電は世界三位。成長の背景にはドイツと同じく固定価格買取制度のFITが挙げられる。 ・現在は売電価格に一定のプレミアを乗せられるFIP制度が導入されている。 ・日本は洋上風力のポテンシャルが高い。
Audibleにて2週間ほどかけて読破。 ファクトベースで世界・日本のエネルギー戦略の現状・背景が丁寧に敷衍されており、非常に意義深い本。今後、エネルギーや環境以外の分野についてのニュースを目にする時にも、その背景にありうる資源・エネルギーの観点を意識するようになるだろう。
エネルギー地政学の歴史、現在、将来を網羅的、かつ分かりやすく説明している。教科書。カーボンニュートラルに向けた各国の戦略と課題。大学生・高校生くらいで出会っていたかった本。大人でも読み応えある。
めちゃくちゃ勉強になりました!!!!! (ちなみにエネルギーについて素人です) 著者は官僚出身、内閣官房参与まで務めた人。 各国のエネルギー事情と歴史について、詳しいけれど分かりやすく、かつ熱量が伝わる書き振りで書いている。 おかげで世界のエネルギー事情や歴史について、理解が深まり、知識と情報も増や...続きを読むすことができた。 エネルギーについて、勉強を始めたい、知見を高めたい人は必読と思います。 良書です!
資源エネルギーの観点での世界情勢俯瞰。歴史・政治・経済的背景と地政学など非常に多くの要素が絡み合って、今日の世界のエネルギー生産・輸送・消費市場が出来上がっていることをなんとなく理解できた。各国とロシアの関係。ドイツ、トルコなど特徴的な位置付け。そして日本。興味深い。
世界の石油と天然ガスの産出国1位はアメリカ!!!! 輸出国の1位はサウジアラビア、天然ガスはロシア 1964年 ドルジバパイプライン(ロシア→ウクライナ→スロバキア→チェコ→ドイツ) 2011年 ノルドストリーム(ロシアから直接ドイツ) 2019年 シベリアの力(東シベリアから中国へ天然ガス)...続きを読む アメリカのシェールガス革命 掘削コストの削減により生産コストが下がり、1バレル40ドルから70ドルだった採算ラインが1バレル30ドルでも採算が取れるようになった。 アメリカは天然ガス、シェールオイルによって石油についても輸出国に転じている トルコもエネルギー戦略上重要 ナブッコパイプライン=ロシア、イラン、イラク、UAEからの天然ガスがイタリア、ルーマニア、オーストラリアなどのヨーロッパ諸国に送ることができる 今現在ウクライナはヨーロッパから天然ガスを輸入している ナブッコパイプラインなどのトルコ回廊によって、ヨーロッパ諸国は天然ガスの輸入におけるロシア依存度を下げることになる。 日本の電源構成→天然ガス39%、石炭31%、太陽光7.9パーセント、水力7.8%、石油6.4%、原子力3.9%、残りバイオ、風力、地熱 石油の輸入先は中東が80%以上 LNGはオーストラリア37% 石炭オーストラリア70%以上
世界各国のエネルギー事情を丁寧に解説している。高校地理の授業を思い出しながら読んだが、化石燃料や再生可能エネルギーの生産事情が大きく変化していて驚かされた。 特に、この20年間でロシアが巨大なエネルギー大国になっていたことは衝撃だった。ひたすら国内の資源開発を行ったプーチン大統領の成果でもある。巨額...続きを読むの戦争資金になったわけだ。 また、エネルギー資源について考えると、産油国のように「採れる場所」に注目しがち。次に、欧米諸国のような「消費地」のイメージである。今回はこれらの内容よりも、エネルギーの運搬経路という新たな視点を学ぶことができた。例えばパイプラインのハブみたいな場所や、チョークポイントである海峡の事情についてである。 さらには、東電福島事故を契機とした各国の原子力事情の変化、さらにはウクライナ戦争を契機とした広範囲に渡るエネルギー政策の見直しなど、グローバルな視野でエネルギー問題と微妙な国家間バランスを体感した。
ウクライナからこちら変わった話がすでに入っているのがありがたい。この先のことはともかく、歴史と今のことがまとまってわかるのはすごい。
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