深沢真太郎の作品一覧
「深沢真太郎」の「あらゆる悩みを自分で解決!因数分解思考――悩みを解決できないという悩みを解決する対話」「営業マンにホントに必要な「数字」の話をします。」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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日本大学大学院修士課程修了。著書に『たった9時間でSPIの基礎が身につく!! 』、『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』などがある。BMコンサルティング設立。
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
これは数学の本というより、「複雑になりがちな人生や仕事を、どうやって整理していくか」という生き方の本だと感じた。
「科学の役割は、目に見える複雑さを、目に見えない単純さに置き換えることである」という言葉が、まず心に残った。仕事でも人間関係でも、世の中は複雑だ。けれど、その複雑さを前にして右往左往するのではなく、見えないところにある“単純な構造”をつかむことができれば、気持ちが落ち着く。数学的思考とは、つまり「ごちゃごちゃした現実を、見通しのよい形に置き換える力」なのだろう。
忙しさに対する問いが出てくる。「その忙しかった頃、あなたは成果を出せたのか?」。これが痛い。忙しいという状態は、頑張っている証拠のように見える。自分にも、周りにも。でも実際には、忙しさを我慢しているだけで、自慢できる成果は出ていないこともある。自分の価値を忙しさで証明しようとすると、いつまでも満たされない。さらに「週50時間を超える労働で生産性が下がり、55時間を超えると伸ばしても成果が増えない」という話も出てきて、時間の使い方を根本から見直したくなった。働くという営みには、そもそも時間的制限がある。だからこそ、全部を抱え込むのではなく、削るべきものを削る必要があるのだと思う。
「私がいなくても世界は回るし、あなたがいなくても世界は回る」という一節。冷たい言葉に聞こえるかもしれない。自分がいないと回らない、と感じる瞬間ほど、人は背負いすぎている。代わりはいくらでもいる。だから「私でなくてもよい仕事やお願いごとに、自分の大切な時間を割かない」。この考え方は、忙しさの正体を見抜くための芯になる気がした。完璧とは足すことではなく引くことだ、というサンテグジュペリの言葉も、同じ方向を指している。
人間関係を“シンプルにしすぎる”くらいでちょうどいい、という視点だ。アドラーの「すべての悩みは対人関係の悩みである」という言葉が出ているが、その先で語られるのは、万人に好かれることを目指さなくていいという話だった。「99人がバカにしても、1人が応援してくれたらそれでいい」。これを読むと、無理に広く浅くつながろうとして疲れていた自分が少し軽くなる。距離の近い人を優先すること。その人の心を大切にすること。貴重な時間=命を使う目的が違う相手には、必要以上に時間を使わなくていい。そういう割り切りが、人生を整えていくのだろう。
「すごい人じゃなくて、素敵な人になって」という言葉。評価や成果を追いかけるほど、人は尖ってしまう。けれど本当に大事なのは、誰かの心を大切にできること、そして自分の時間の使い方に納得できることなのかもしれない。数学者ピタゴラスの「少しの言葉で多くを語りなさい」という言葉も、結局は同じだ。増やすのではなく、絞る。盛るのではなく、削る。そうやって本質だけを残していく。
この本を読んで感じたのは、数学的思考とは賢くなる技術というより、「削る勇気」を持つ技術だということだ。仕事も人生も、足し算で複雑になりやすい。だからこそ、引き算の判断を自分の中に持っておきたい。ゴールは同じでも、たどり着く道は自由。自分の好きなようにゴールを目指せばいい。そう言われた気がした。