国内ミステリー - 東京創元社 - ミステリ・フロンティア作品一覧

  • 中山民俗学探偵譚
    -
    昭和21年、栃木県足利郡にてひっそりと暮らす中山太郎の元を、下野新聞の記者が訪れる。探偵小説執筆の参考に、かつて柳田国男に師事し異端の民俗学者として知られる中山の、同時代を過ごした偉人達との交流について話を聞きたいという。明治、大正から昭和初期にかけて、柳田のほか、種田山頭火、宮武外骨、南方熊楠、そして平井太郎らと過ごした日々は、謎に満ちていた――。話を脱線させつつも、中山太郎は奇妙な出来事の数々をゆるりと語っていく。『三人書房』で鮮烈なデビューを飾った著者による、滋味溢れる連作ミステリ。/【目次】「オシラサマ」東北へ向かう汽車の中で柳田国男は奇妙な男と出会う。/「外法頭」宮武外骨と中山は二人で《明治文化探偵会》を立ち上げる。/「百物語」森鷗外も出席したという百物語の会場で高価な首飾りが消失する。/「秘薬」高橋お伝処刑の際に起きた椿事の背景を、若き日の江戸川乱歩が解き明かす。/「生人形」忘れられた生人形師の作品にまつわる不思議な現象。/「忘れない熊楠」南方熊楠が遺した謎の言葉の意味を下野新聞の記者とともに紐解く。
  • まるで名探偵のような 雑居ビルの事件ノート
    3.7
    高校生の小南通(こなみとおる)は、雨宿りに入った雑居ビルの喫茶店で“名探偵”に出会った──。探偵事務所、占いの館、古書店など、ビルに店を構える店子が喫茶店に持ち込む奇妙な謎の数々。日常に退屈していた小南は謎解きに挑むが、正解に辿り着くのは決まって喫茶店店主の娘、三津橋芹(みつはしせり)だった。会社員の身辺を調べ回る偽探偵の目的、失踪した大学生の行方を日記だけを手がかりに捜す、古書に記された江戸時代の秘剣密室殺人の真相など、トリッキーな難問に挑む高校生コンビの推理と、店子たちのほろ苦い人生模様を描く連作短編集。/【目次】第一話 「名刺は語らない」/第二話 「日記の読み方」/第三話 「不死の一分」/第四話 「パック寿司とハムレット」/第五話 「名探偵の死角」
  • あれは子どものための歌
    3.7
    八年ぶりに因縁のある旅人と再会した料理人の話、飢饉に苦しむ国を救った商人の話、不思議なナイフで自らの“影”を切り離した男の話。一見関係が無さそうな三つのエピソードが並行して語られ、終盤でひとつになるとき、驚愕の真相が浮かび上がる! 大胆な仕掛けと巧みに張り巡らされた伏線で、本格ミステリの謎解きを紡いだ、第七回ミステリーズ!新人賞佳作「商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)」。どんな賭けにも負けない力を得た少女、あらゆる傷を跡形なく消し去る名医……。この世の理に背く力に人生を狂わされる者たちの五つの物語と、その背後で進行する、国の存亡に関わる陰謀。架空の異国を舞台に、本格ミステリの興趣を巧みに織り込んだ、異色のミステリ連作集。/【収録作】商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)/あれは子どものための歌/対岸の火事/ふたたび、初めての恋/諸刃の剣
  • 案山子の村の殺人
    3.9
    案山子だらけの宵待村で、案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し、ついに殺人事件が勃発する。現場はいわゆる“雪の密室”の様相を呈していた──。俊英が二度に亙る〈読者への挑戦〉を掲げて謎解きの愉しみを満喫させる、正統的本格推理。合作推理作家の大学生コンビが謎に挑むシリーズ第1弾!
  • 431秒後の殺人
    3.7
    写真を撮る楽しみを教えてくれた、松原京介の不可解な死。離婚話で揉めていた彼の妻は、関与が疑われたものの、死亡時刻にはタクシーに乗っていた。どこをどう見ても、不運な事故としか考えられない状況だったが──恩人の死をその妻の仕業と確信した駆け出しカメラマンの安見直行は、祖母の助言によって六角法衣店を訪れる。店の主は代々京の辻や橋に立ち、道のさざめきから神託を受け、失せ物を見つけ出すことができるというのだ。直行は恩人の死亡事故を他殺と証明する証拠を探して欲しいと依頼するが、若くて無愛想な店主・六角聡明からは、けんもほろろに断られてしまう。だが、直行の撮った一枚の写真がきっかけで、六角は事件の証拠探しに協力を約束する。現代のガジェットによって構成された不可能犯罪を、緻密な論証で見事に解き明かす表題作ほか全五編を収録。第十六回ミステリーズ!新人賞受賞者による出色のデビュー連作集。/【目次】第一話 431秒後の殺人●これは計算尽くで偶然の可能性を限りなく必然に近くなるまで高めた――殺人事件だよ。/第二話 睨み目の穴蔵の殺人●最近、お客さんから「襖の武将の目が動いた、絵の中から睨まれた」なんて言われるんです。/第三話 眠れる映画館の殺人●幽霊でもない限り、無理やん? だって誰にも首を絞めたりする時間なんかなかったやんか。/第四話 照明されない白刃の殺人●オレ達がそいつの後を追って角を曲がるまでに、次の瞬間にはもう通りから姿が消えていたんだ。/第五話 立ち消える死者の殺人●この部屋に入院した人はな、夜中に攫われて二度と戻ってこられへんねんて。/著者あとがき
  • コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎
    3.6
    昨日行った居酒屋が消えた? 引き出しのお金が四万七千円も増えていた? 誰も死んでいないのに姉が四方八方に喪中はがきを送りつけていた? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェでゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、いつも謎を解き明かすのは店長の茶畑さんなのだった。もっと気軽に謎解きを楽しみたいと思っていた皆さんへ贈る、ユーモラスなパズル・ストーリー七編。期待の新鋭、本格的デビュー。/【収録作】コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎/コージーボーイズ、あるいはありえざるアレルギーの謎/コージーボーイズ、あるいはコーギー犬とトリカブトの謎/コージーボーイズ、あるいはロボットはなぜ壊される/コージーボーイズ、あるいは謎の喪中はがき/コージーボーイズ、あるいは見知らぬ十万円の謎/コージーボーイズ、あるいは郷土史症候群/あとがき
  • 三人書房
    3.4
    大正八年東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と不可解な事件の数々を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第十八回ミステリーズ!新人賞受賞作「三人書房」を含む連作集。乱歩デビュー作「二銭銅貨」発表から百年の年に贈る、滋味深いミステリ。/【目次】三人書房/北の詩人からの手紙/謎の娘師(むすめし)/秘仏堂幻影/光太郎の〈首〉/※本電子書籍は、『三人書房』(ミステリ・フロンティア 2023年7月初版発行)を電子書籍化したものです。
  • タイトルはそこにある
    3.6
    謎の人物が主催する、行方不明の女性の誕生会。そこで浮かび上がる醜い人間関係――第一話「主役のいない誕生会」。クリスマスイブの夜、ホテルで繰り広げられる過去の暴露大会――第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」。互いに何かを隠しつつ進む、二人の男の愛憎渦巻く会話劇――第三話「おしゃべりな男たち」。あなたは必ずやり直せる。さあ立って。自首する前に、ご家族に会いに行きましょう――第四話「雪月花の女たち」。大女優の舞台出演を実現させるため、大御所脚本家が遺した最後のクイズに五人の男女が挑む――第五話「タイトルはそこにある」。編集者が次々繰り出す難題に、鬼才はどう応えたか? ベストセラーとなった『公開処刑人 森のくまさん』の著者が贈る、全編書き下ろしの作品集。巻末には本書の成立過程を記したあとがきを収録する。
  • ただし、無音に限り
    3.6
    疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか? すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が――俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
  • ブラッド・アンド・チョコレート
    3.2
    日々をだらだらと過ごす、19歳のフリーターのぼく。ある日ぼくは、フリージャーナリストである、従兄のダイ兄ちゃんに呼び出される。《知性の窓》という怪しげな能力研究団体の取材に、協力してほしいというのだ。なぜなら、主宰者の娘であり、「生きた奇跡」として団体のシンボルに祭り上げられているのは、ぼくの幼馴染である未来だったからだ。後日、ぼくたちは人里離れた山奥にある、団体の研究所への潜入に成功。いわくありげな研究員や数々の自称能力者たちと出会い、未来とも再会する。しかし、研究所内の密室で、首を切断された死体が発見され……。横溝正史ミステリ大賞作家が描く、鋭利な青春本格ミステリ。
  • 揺籃の都
    4.2
    治承四年(一一八〇年)。平清盛は、高倉上皇や平家一門の反対を押し切って、京から福原への遷都を強行する。清盛の息子たち、宗盛・知盛・重衡は父親に富士川の戦いでの大敗を報告し、都を京へ戻すよう説得しようと清盛邸を訪れるが、その夜、邸で怪事件が続発する。清盛の寝所から平家を守護する刀が消え、「化鳥を目撃した」という物の怪騒ぎが起き、翌日には平家にとって不吉な夢を見たと喧伝していた青侍が、ばらばらに切断された屍で発見されたのだ。邸に泊まっていた清盛の異母弟・平頼盛は、甥たちから源頼朝との内通を疑われながらも、事件解決に乗り出すが……。第四回細谷正充賞を受賞した話題作『蝶として死す』に続く、長編歴史ミステリ!
  • ぼくらは回収しない
    3.7
    数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、才気溢れた彼女が死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女と理解し合えないまま二度と会えなくなったことに思い至った寮生たちは、独自に事件を調べ始める――。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な独立作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー

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