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Posted by ブクログ
カナダ西部の太平洋岸に広がる世界最大の熱帯雨林〈グレート・ベア・レインフォレスト〉。バンクーバーの名門校に留学して、その研究の一環としてその熱帯雨林で狼の生態を調べている友人に押し掛けた〈僕〉と穂村のふたり。そんな旅先の中で語られる穂村の意外な過去。「俺、昔、喋る狼に会ったことがあるんだよ」と言う彼の言葉は謎が紐解かれるとともに、思いもよらない結末を迎える。――「狼少年ABC」
雪の日の卒業式、体育館に流れたのは本来流れるはずのなかった曲が体育館に鳴り響いた。仕組んだのは誰だったのか。あれから十五年の月日が経ち、卒業式翌日に校庭に埋めたタイムカプセルが開かれるとともに、同窓会が行われることになった。十五年後の自分たちへとあてたメッセージカードの中から取り出されたカードの一枚には、あの事件の犯人だと宣言するメッセージが書かれていた。十五年の時を経て、静かに記憶の扉が開く――「スプリング・ハズ・カム」
本作は全四篇の中篇で構成される作品集になっています。特に印象深い作品が「スプリング・ハズ・カム」で、『十代の青春』という良くも悪くも人生を形作るうえで重要な時間が、記憶となって根付いて遠のいていけばいくほど、心にしみてくるような作品になっています。静謐に辿った言葉の先に、涙なくしては読めないラストが待っています。全篇、折に触れて読み返したくなる、そんな素敵な作品集です。
Posted by ブクログ
全4話からなる短編集。四季それぞれが背景となっている。少年少女が主人公の青春ミステリ×日常の謎×本格ミステリ。謎があって解かれて終わりではなく、“その後“を読者が補完してじんわりくる読後感が素晴らしい。
◆美しい雪の物語
ハワイの叔父の家に滞在することになった少女は、古い日記を発見。書き手の青年は歌の上手な女性と出会い恋に落ちるが、戦争が始まり従軍のため別れた模様。この日記はいつ書かれたものなのか?二人は再会できたのか?少女はハワイで出会った少年達に意見を求めるが…
え!?読み終えた後の余韻が半端ない。タイトルが良い。新婚旅行で行ったハワイを思い出した。またいつか行きたいな。
◆重力と飛翔
校舎から転落死した映画好きの同級生•小原が残した写真。「雪の上の足跡をたどった先に置かれた赤い傘」この写真はどのような状況下で撮影されたのか?小原の死は事故か自殺か?
うーん。結局誰が○○たかったのか、モヤモヤ。
◆狼少年ABC
狼の調査のためカナダを訪れた大学三年生の3人。
20年近く前の記憶の正体を探る。
狼の議論がよもやこんな結末に着地するとは…長友佑都を思い出した。
◆スプリング•ハズ•カム
高校卒業後15年ぶりに再会した放送委員一同。卒業式の日、放送室をジャックして応援歌を流し、タイムカプセルに犯行声明を仕込んだのは誰なのか?
おー!思わず声が出た。戦慄が走る傑作。
最後まで読んだ後、最初から読むと…
うわー、思いっきり書いてる!伏線の数々。。。参りました。
週刊文春ミステリーベスト10 17位
本格ミステリ・ベスト10 15位
Posted by ブクログ
遠く離れた人を回顧し思いを馳せ、追想とともにそれぞれの謎が解かれるとき、新たな景色、新たな想いが彩り豊かに広がっていく。そんなささやかな温かさに満ちた、四季の彩りとともに紡がれた四つの物語でした。とても心に染み入る、良いお話ばかりでした。
細かに書き連ねてこられた、けれどあえて伏せられつづけてきた物語の描写の「意味」が最後の一行で氷解する「美しい雪の物語」、同様にくるりと終盤に情景が翻る「スプリング・ハズ・カム」、一枚の写真から紐解かれていくいなくなった人の真摯さを知る「重力と飛翔」、そして不可思議な記憶が揺るぎない愛すべき情景へと転化する表題作「狼少年ABC」。
どの作品でもミステリとしての静かな驚きと巧みさを備えつつ、登場人物ひとりひとりへ寄り添った描き方がとても印象的で、総じてやさしいお話たちだったなと感じられました。いろんな意味で遠くへ離れた人からも、温度を持って届く感情があるんだなと感じさせてくれました。待ってて良かった一冊でした。
Posted by ブクログ
幼い頃の記憶「しゃべる狼」の正体とは… 若者たちの苦渋と成長を描くミステリー短編集 #狼少年ABC
■きっと読みたくなるレビュー
とってもセンスのいい日常の謎ミステリー短編集です。
なにより会話がお上手で、それだけで関係性や距離感がよーく伝わってきます。物語の舞台や切り口も凝っていて、それぞれの作品それぞれに色合いがあるんすよねー。またどの作品も若い世代が主人公になっているところが淡くって大好き、学生時代の友人を思い出しちゃいます。
ストーリーとしても綺麗で、読み味もポップ、謎解き小説としてもよくできてる。そのまま『世にも奇妙な物語』に採用されそうなお話ばかり。普段ミステリーを読まない人にもおすすめですね。
■各短編の簡単レビュー
○美しい雪の物語
ハワイに引っ越してきた少女の物語、叔父に案内をされ、島の人々と交流を深めていく。少女が古い日記帳を見つけると、そこには男女の出会いが認められていた。しかし最後のページは…
少女と少年のやり取りの透明感、破壊力ありすぎ。すっかり作品に吸い込まれちゃいますね。おじいさんが優しくて泣きそう。私も年を取ったら、こんなおじいちゃんになりたい。ミステリーとしてもセンスが良いし、細かい演出もヒネリも効いてて文句なしですね。
○重力と飛翔
クラスメイトが学校の屋上から転落して亡くなってしまった。彼は映画好きで、いつもDVDを貸してくれていた。通夜に参加すると、お姉さんから一枚の写真を預かる。友人が最後にとった写真ということなのだが…
青春ど真ん中の物語、この頃の思い出ってかけがえのないものですよね。友人に対する真っ直ぐな想いが美しく、ハッとさせられます。
○狼少年ABC 【おすすめ】
農学部大学生の三人はリゾート地に狼の撮影に来ていた。そこで友人のひとりが古い記憶について語り始める。幼い頃に話をする狼に合ったことがあるというのだが…
三人の会話劇だけで進行する物語、ひとりひとりの性格が良く絵掛けていて、それぞれの顔が目に浮かんでくる。若者らしい会話だけがつづくなーと思いきや、突然提示される謎とき。エモくまとめてるところに作者の優しさがでてるなーと思った。
○スプリング・ハズ・カム 【おすすめ】
高校時代の同窓会、15年前のタイムカプセルをあけることに。手紙を読み上げると、そこには卒業式に起こった放送室ジャック事件の犯人は私だという告白がされていた。
やっぱり会話がお上手、友人たちの仲が良さがよくわかる。仲間内のやりとりって、それだけでセンスが出ると思うんだよね。謎解きも多重推理で緻密だし、そうと思いきや真相にも驚かされる。
■ぜっさん推しポイント
現実に生きていくってのは、大変なことばっかりですよね。特にまだ人生経験が少ない若い世代にとっては、は楽しいことより苦しいことのほうが多いでしょう。私の20代なんて、辛いことがあったら逃げてばっかりでしたね。
本作はそんな若者たちの苦渋、そこから這い出る成長を描いていると思うんです。若い皆さんは、決して保守的にならず、勇気をもってチャレンジして欲しいですね。
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