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【ヨココミ】女犯坊第2部大奥篇
40年以上前に肉弾劇画作家・ふくしま政美の描いた伝説の作品「女犯坊」が電子書籍の新スタイル【ヨココミ】で復活!! 第二部はあの“大奥”が舞台! 絶倫の精力を持つ怪僧「竜水」が大僧正の地位を手に入れ、外界から閉ざされた女たちの城・大奥への手がかりをつかむために…… 毎週金曜日に続編が登場! ※【ヨココミ】とはスマホやタブレットで読むことを前提とした“電子書籍のあるべき姿”に漫画・劇画を再構成し、横持ち(ランドスケープモード)でワイドに見やすくしたものです。 -
フラッシュ・バックを使うな
撮って、と彼女の現在が言う 作品の隅々にまで、シドニーのさわやかな風が吹いている。 そして、片岡作品の顕著な主題の一つである「再会」がここでもあざやかに表れる。 18歳から28歳へ。東京からシドニーへ。 10年の時を乗り越え、始まることのないまま途切れていた線が再びつながる。 写真とは撮られたものばかりでなく、これから撮るものも写真であるはずだと、この作品は高らかに告げている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼らがまだ幸福だった頃
生きることは、見ることのレッスンだ 徹底して「見る」ということを主題にした長篇である。 刻々と変化する時間と風景の中で何をどう見るのか。見て記憶するのか。 見ることを精密にするためにこの小説で導入されるのが写真。 男は写真を撮ることを通じて「見る=思う」ことを学ぶ。 そして女はいつも見られる存在でありつつ、「なににもならないままでいる」ことを続ける。 場所が変化する。ホテル、という中立の場所がある。 オートバイもある。それらはすべて「見る」ことのための好ましい環境だ。 「見る」「見られる」ことができている時間が幸福の時間である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
無理をする楽しさ
だめ、だめ、その日もだめ これもまた「再会」の物語である。 片岡義男の小説世界にあっては1台に2人が同乗することももちろんあるが、 1台に女が、別の1台に男が乗り、前後して道を走るシーンの美しさが際立つ。 2台が1台になるのはどちらかの自動車ではなくホテルのベッド、という成り行きになっていく。 問題は「再会」のその次だ。 次に会う機会をわざと延ばしてみるのもいいかもしれない。 例えば次がまた新たな「再会」になるくらい遠くまで。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
メドレーで六曲
終わり良ければすべて良し、そして次へ 掌編、と言って差し支えないごく短い6編を読者はするすると追いかけていってサラリと読み終えてしまう短編小説だ。 いずれも軽やかでチャーミングな、終わる、ということの重さを払拭したラストシーンを持っている。それが6つ。 なるほど、『ラストシーンの出来ばえ』という短編集に収録されるにふさわしい内容だ。 同じく『ラストシーンの出来ばえ』に収録された別の短編「私のなかの三つの夏」の登場人物と同じ姓の男が出てくるのはさて、偶然か必然か。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
あなたは男で私が女
あなたは男で私が女、あの人が女で、女がもう1人 このタイトルから類推されるのは例えば女と男のラブストーリーだろう。 その予測は間違いではない。が、本流でもない。 高原のテニスコート、という巧みな装置を得て、物語は動いていく。 コートでのゲームは対称をなす混合ダブルスではなくそこに男は1人しかいない。 すると、どうなるのか。 男は女にはなれない、という事実がそこに、差し出されるのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ろくでもない男
港と風と、女が2人 タイトルは「ろくでもない男」だが、これはむしろ女の物語だ。 男に従属するのではなく、しかし男に連れられて渡っていくことを自分なりに受け止めている、そういう女のストーリー。 語尾に「だぜ」をつける男の安さが愛らしい。 それをその都度たしなめる女。 ラストシーンではそんな女が2人になり、風の中で笑いがはじける。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ビールをくれ
夏だから、というだけでなくて、ノドが渇く場面だ。ビールをくれ この若さでなぜそんな部屋数の多い家に住めるのか。 そんな現実的な疑問は物語を快適に読むための好奇心に変えたほうがいい。 たくさんの部屋。いくつも角を曲がる廊下。 そして、どこから見ても死角になっているバルコニー。 楽しくもご都合主義に満ちた舞台は、整った。 季節は夏。まずはビールで乾杯。 そして乾杯のあとの、男1人と女2人だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼のオートバイ、彼女の島2
映画を書く、という仕方で行なわれる作品解説もまた、1個の独立した作品である 『彼のオートバイ、彼女の島』の続編ではない。 先行するその小説が映画化されるとしたらどうなるか、ということをテキストでやってみる、しかも同じ作家の手によって、という試みである。 場面描写が続く、ということだけでは済まず、そこにカメラと、そのフレームの意識、さらにはフレームが切り取る画面の意識が強固に表れるのが片岡義男らしい。 いわばこの作品は、作家自身によるカメラを媒介にした作品解説であり、批評なのだ。 そしてそれは同時に、生まれ変わった独立した作品でもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
私たち三人
「私たち三人」と「私たち」二人が言う 比喩ではなく、文字通りの挟み撃ちである。 なにしろホテルのバーカウンターだ。 撃たれる立場の人間を真ん中に置き、全部で三人ならそういうことになる。 しかし面白いのは、右側からも左側からも攻撃はない、ということだ。 なのに真ん中は中座する。だから三人は二人になる。 まだまだ続きがありそうだ。 「私たち三人」と言い放つのは右と左の二人だ。 さて、真ん中はどうするだろうか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
私の風がそこに吹く
部屋とはなんだろうか? そして、部屋の中で風を受けることとは? この短編の主人公は、1人の女性と、もう一つは部屋だ。 部屋に帰りたくない、という思いがあればホテルに泊まるし、部屋探しをしている女性がいれば、同居したりもする。 部屋とはいったい何なのか。 住む人と部屋の関係とは何なのか。 同居生活がなじんできた頃、狙いすましたように魅力的な物件にめぐり合う。 そこで彼女自身に他ならない風を受けたら、あとは誰にも止めることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
下流老人のウソ (Wedgeセレクション No.54)
下流老人に老後破錠。老後リスク本はシニアの心に刺さり、不安が経済を冷やしている。ブームは政策を動かし、3万円の給付も決まったが、実はこの老後の貧困、統計分析としては不正確だ。 【WedgeセレクションNo.54】 目次 ■INTRODUCTION 高齢者の貧困は改善 下流老人ブームで歪む政策 文・Wedge編集部 大江紀洋 ■PART1 アベノミクスを阻む「年金制度の壁」は一刻も早く撤廃すべき 文・熊野英生(第一生命経済研究所 首席エコノミスト) ■INTERVIEW シニアの消費喚起の抜本策は最低保障年金と相続増税 飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授) ■PART2 シニアの強みを引き出せ! 70歳代活かす企業は「仕組みを変える」 文・Wedge編集部 ■COLUMN 改善するシニアの労働市場 人気の事務職は狭き門 文・Wedge編集部 ■PART3 働くことこそ老いを遠ざける 若さ保つシニアの三者三様 文・林えり子 ※この電子書籍は、月刊『Wedge』2016年2月号に掲載された記事を一部編集したものです。記事中の事実関係、データ、肩書き等は掲載当時のものです。 -
ライバル~特別な男
「お前のなら汗でも●液でも平気」誰に対しても超・上から目線な戸村が、ライバルであるはずの俺に向かって熱っぽい瞳で…。高校テニス界の2大スター、藤那と戸村。ひたむきにテニスに打ち込む藤那は、天才的な才能があるのに薄っぺらくしかテニスに向き合わない戸村が憎くてたまらない。神聖なコートの中でも、不遜な態度で傲慢な瞳の戸村を見る度、彼に勝つことだけを思い、藤那は毎日練習をやってきた。ところがそんな2人が、同じ大学、同じテニス部に!! さらに「ダブルスを組め」と部長の絶対命令。出来れば距離を取りたい相手のはずなのに、なぜか戸村は「呼吸をあわせて一緒に汗をかこうぜ」と、シャワー室で俺の背中をなぞり、勃起したアレを俺のモノに擦りつけてきて―…。 -
最愛のダーク・ブルー
誰もいないブルー このごく短い小説は、冒頭とエンディングがブルーで埋め尽くされている。 2つはまるで種類の違うブルーだが、その深さ、途方もなさにおいて共通している。 そして2つのブルーのあいだに、ただ2人だけの登場人物がいる。 他人同士だが、彼女と彼は親しげに言葉を交わす。 2人のあいだには静けさがある。 それは、彼の許から多くの人が去っていったあとの静けさだ。 残された彼は苦心して1つのブルーを生み出し、そして今また、出発しようとしている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ふたとおりの終点
終点を語る4人の男女、未だ終点に至らず。 同じ大学に在籍していた男女4人がステーション・ワゴンで西へ向かう。 やはり同じ大学にいた友人の結婚披露宴に出席するためだ。 社会に出て数年。もはや学生ではないが職場ではまだ中枢まで至らず、宙ぶらりんの時期である。 しかも独身。男2人にとって結婚は自分の問題ではなく1つの話題として話のネタになるばかり。 さっさと手を動かしているのは女のほうだ。 目的地にはまだ着かない。 ふだんはまるで縁のない地方都市の朝の光の中で、よるべない存在として、4人はステーション・ワゴンの中に浮いている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
胸に吸いこむ潮風
彼女がちょっかいを出す18歳の夏の終わり 片岡義男の小説の登場人物たちは、18歳という若さにあっても、巧みにステーション・ワゴンを操作する。 法的にも許される年齢なのだから当然だ、とでも言うように。 そしてそのステーション・ワゴンは都合によってあっさり譲渡される。 しかし女と男の関係は・・・・・・ 三角関係、というのではなくて、女が男2人にちょっかいを出す、という仕方で暮れていく18歳の夏がある。友人同士である男たちは翻弄される、のとは少し違う仕方で、しかし彼女の言うがままになる。 そういう18歳の、夏の終わりの3人の物語。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
紅茶にお砂糖
彼女が紅茶で男が砂糖。底に沈んでかきまわされよう 再会。これもまた片岡作品の主題の一つである。 同じ人間が、時間と場所と立場を変えると、同じ人間ではなくなる部分と、それでもやはり同じ人間であり続ける部分の絶妙のブレンドとなりストーリーは進展していく。 再会することが自由ならば、再会に至るまでの時間に、空想を膨らませることも自由だ。 再び会った瞬間、1つに溶け合うことさえも。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
オートバイに乗る人
人事は荒れても、秋はきょう、この日から始まる ひどい仕打ちであることは間違いないにしても、それをこんなふうにやってのけることにはやはり小説としての爽快感があると言うべきだろうか。 どちらからともなく仕掛け、あいまいに合意し、到達しようとしたところで男はさっと身を翻す。 オートバイに乗る男は身軽だ。 相手の中にある自信、傲慢を打ち砕くこと。 そのあとに乗るオートバイ、そこで感じる秋の最初の一日の快適さ。 本当にひどい男であっても、その快適さは真実だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼女から学んだこと
彼女のサイレント・ポートレート 会話や口にされる言葉がまったくないまま小説はしばらく進行していく。 彼女、と呼ばれる女性がどんなふうに水にダイヴするのか、どんな水着でどう歩くのか、本を読む時はどうか、オートバイに乗ったらどうなるか、どのようにコーヒーを飲むか、そうしたポルトレの数々で、ストーリーがあるようなないような曖昧さの中で進んでいく。 「彼女」は1人なのか、複数なのか。 そして48章にいたって、転回が始まる。これはどんな小説か。 「彼女から学ぶ」のは誰なのか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
別れて以後の妻
突然にやってきたノンフィクション 片岡作品にとって重要な「再会」をモチーフにした作品群の一つ。 季節がいつのなのか、場所はどこか、再会の状況はどんな具合か、それら一つひとつの条件が、場面を輝きのあるものにする。 顔よりもまず、後ろ姿。 男が凡庸なリアクションを繰り返すことでかえって女性の魅力があきらかになる語り口。 男は自分が体験した驚きを自分で書き、やがて自分が最初の読者になるはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
きみを忘れるための彼女
典型的に愚かな男はうつくしさを知っている 自分とはスピードが合わない。 自分はいつも遅れてしまう。 その「遅れ」の自覚から取った行動がとりかえしのつかない結末につながる。 それは2人の女性を不快にする結果にもなったが事態をハッキリと前に進めることにも寄与した。 今、男が持っているのはその「遅れ」と愚かさだ。 そのせいで彼は女性を失ったが、そのせいで彼は彼女と彼女のうつくしさを知った。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ハートのなかのさまざまな場所
彼女はグレープフルーツ 片岡作品の男女関係においては嫉妬、という感情は陰を潜めている。 皆無ではないが、むしろ嫉妬によって損なわれる何かを大切に扱うことに重きを置いている、というべきか。 真っ二つに割ったグレープフルーツのように2人の男が彼女を共有する、というユートピアがかくして実現する。 それが女性を弄ぶ、といった事態を招かないのは女性のハートに場所がたくさんあるからだ。 グレープフルーツの中に、たくさんの房が含まれているように。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一日の仕事が終わる
仕事とは彼女の長い一日のことだ 大人同士の関係ならば、互いに仕事を持ち、そのことを尊重し合う、というのが通常の状態だろう。 そして仕事が終われば、夫婦であれ、恋人同士であれ、仕事の時とは違うふるまいをするのもまた普通である。 しかし、そのスイッチがうまく行かない、いや、スイッチを換えたくない状態というものが時折やってくる。 そんな時は金曜日であれば京都に行ってしまう。 一人になること。そして思いがけないハプニングも含めて自分の状態にある種のケリをつけること。 こうして彼女の長い一日がようやく終わる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
明治新選組
明治5年初冬、浅草蔵前の裏長屋の一室に、男が居を定めた。箱館五陵郭で降伏し、新島に終身刑で送られていたものの、思わぬ赦免状で江戸に移った相馬主計(かずえ)。相馬は常陸笠間藩を脱藩して新選組隊士になり、鳥羽伏見戦争後、各地を転戦。土方歳三の戦死後は新選組隊長を名のっていた。先に逝った者たちを想いつつ日々を過ごそうとした主計には、数奇なめぐりあわせが待っていた――。第10回日本エンタテインメント小説大賞を受賞した表題作のほか「近江屋に来た男」「後鳥羽院の密使」「斬馬剣新六郎」「一つ岩柳陰の太刀」「尾張忍び駕籠」を収録。歴史の闇に埋もれた志ある男たちの姿を描き出す気鋭の傑作歴史小説集。 -
昔々、ある夏の日に
2つの約束は、真夏の空の下で果たされる。 17歳、盛夏。青春の真っ只中の時間に、ボビーと呼ばれる少年は2つの約束を果たすためオートバイに乗って西へ向かう。 1つはオートバイを売却するため。 もう1つはそこからの帰路、同級生の女の子に会うためだ。 2つの約束のために、2つのよくできた略地図が役に立ち、約束は首尾よく果たされる。 しかし、まぶしいほどの夏の光の中に1つの闇があったことをボビーは少女に話さない。 2人の頭上には、ホースから無限にあふれてくる水と真っ青な夏の空が広がっているばかりだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
右の頬に触れる指さき
その涙、その指 女性と男性は常に1対1の対等の関係にある。 しかしながらそれはAとB、CとDといった固定されたものでなく、AはBと親密、AはCとも親密、そのうえBとCもまた面談し、親しく交際するのだからそうすることがすなわち個人でありその人がまさにその人であることなのだ、と多くの片岡作品同様、この短篇もそう告げている。 その関係の交錯に不意に挿入される涙、カメラが捉えるか捉えないか微妙なその指、それを読むのが小説を読む、ということかもしれない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
忘れてあげない
記憶の中にも、ジャンプ! 短篇集『ボビーをつかまえろ』に収録された作品。 同年齢の異性の誕生日に豪勢な花束を持って現れ、しかも2シーターでドライヴまで敢行する。 こんなことが17歳で可能か? というユートピア性とこんなことは17歳という年齢以外ではムリだろう、という奇妙な説得力が、作品世界を支配する。 そして極めつけのラストシーン。 さてこのあとはどうなるのか? と懸念したくなる「現実」は小説の知ったことではない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
誰もがいま淋しい
夏から秋へ。その時、誰もが淋しい。 作者自身が「あとがき」に述べているようにこの作品はそれぞれ別々に書かれた6つの短編をひとつの流れにつなげ、その集合が全体を構成するように作られている。 ショートストーリーを6つつなげているのだからあるタイミングで登場人物はスイッチし、全体を通しての主人公のような人物は存在しない。 にもかかわらず確かに「1つ」を感じさせるのは5月から秋のはじまりに向かう季節の推移の自然さと各ショートストーリーの人物たちが宿している「愛」のようなものに対する独自の距離感とそこから派生する「淋しさ」があるからだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
花一輪
不自然と呼ぶ理由は何もない いくつもの片岡作品がそうであるように女性1人に男性2人、というパターンの短篇である。 三角関係と言ってもいいが、しかし男性同士は友人であり嫉妬のない三角関係だ。 彼らはそれを楽しむ。世の常識への反抗でもないし、特別、欲望に溺れるわけでもなく。 とはいえ、一晩の酩酊くらいはあるだろう。 酔った姿がまた、美しき花一輪だ。 「鑑賞」しながら男たちはコーヒーを飲む。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
寝顔やさしく
一緒に眠るよりも良いこと 思えば、寝顔ほど無防備なものもまたとないのかもしれない。 東京駅にいて、眠たくてたまらない、となれば普通は一刻も早く勝手知ったるわが家へ急行するはずだが、それよりももっと別の場所で眠りたい、となればその場所の主との関係の親密さは明らかだ。 ぐっすりと眠ったあとには、贈りものが待っている。 他にはない、最上のおだやかさがそこには待っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
シャツのボタンが段ちがい
偶然は偶然であり、サインではない 27歳の男性。たっぷりの未来があるようでもあるしそれなりの過去の堆積もある年齢だ。 いくらでも眠ることのできる体力もある。 結婚は、してもいいし、しなくてもいい。 女性もいる。1人ではない。とっかえひっかえ、というのでもない。 ある時、連続してある現象に目を止めた。 シャツのボタンが段違い。それが連続して起きたことに意味を見出すことは可能だろうか? それは必要なことだろうか? 目の前に現れた、連続した、シャツのボタンの段違い。 ただ彼はぶっきらぼうにそれを指摘するだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼女が持つにふさわしい
合意に達した女性たちは、そろって彼を見送る 片岡作品に繰り返し現れるモチーフがある。 例えば、結婚を一度経験した後、自分は結婚という選択を取るべきではなかった、と確認する女性。 彼女らは例外なく、相手の男性に対する愛情を失うことなくキッパリと再び一人になってみせる。 この短篇もそのようなバリエーションの一つだが、そこにあと一つ、新しい要素が加わる。 一つは「性」の超越。もう一つは「交代」。 そんな理屈通りに行くもんか、と思う読者のとまどいをやすやすと超えて物語の人物たちは動く。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
心のままに
時は過ぎ去るに任せよ、いつでも自分自身であれ 家族がある。親と子がいる。 愛情で結びついてはいるが、縛ってはいない。 だからいつしか自然に解けるよりも自ら解き放つほうがいい、と考えてもおかしくはない。 親を、環境を選べない子供たちも、大人になっていく。 一人ひとりがもっと自由に生きることを始める時、新たな出会いがあり、新たな家族の再編があり、かつて家族が他人に代わったように今度は他人が家族になることもある。 サーフィンが、カヌーが、8ミリフィルムが、音楽が、それぞれ色彩豊かなラインを生み出しタペストリーが生み出されていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
彼を愛してなにを得たか
季節がひとめぐりしたから。理由はただそれだけ 徐々に関係がまずくなるとか、短くない断絶を経て決定的にダメになるとか、そういうことではなく、なに一つ問題ないように見える瞬間に終わることもある。 例えば、春、夏、秋、冬、そしてまた春と季節がちょうどひとめぐりした、という理由で。 言い出した側が強く、言われた側が惨めだ、というわけでは必ずしもない。 夜の日本海を眺めながら夜通しクーペを走らせる、その美しい、そして悲しい時間を経験して彼女はその連続のままに、一人だけの朝を迎える。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
イジワル社長の品格~地味OLは蜜の味~
「お前と結婚すると決めた」平凡なOLの日奈子には付き合っている彼氏がいるが、結婚の話はいつもHではぐらかされてばかり…。そんなとき、会社にやってきた新社長が、日奈子に声をかけた。イケメンで仕事の成功者…誰もが羨むような彼が、なんで私なんかに…!? 驚いていると「賢くて、ミダラな身体をもてあましている女がぴったりだ」と、そのままデスクの上でピチャピチャあそこを舐められて、ヌルヌル突かれて…!! うそ、こんなに気持ちイイの、はじめて…!! そして絶頂の果てにプロポーズまでされちゃった! ただし「これは契約結婚だ」!? 嘘と疑惑と極上セックスの結婚生活が始まる! -
男友だち
恋人でも、夫でもない。彼は、男友だち 片岡作品に登場する女性たちの多くは社会通念ではなく、自分自身の中にモラルを持つことで徹底している。 例えば結婚。結婚しないことを貫くこと、あるいは結婚することを選択したうえで他の男性と没交渉にならないことを選ぶのも彼女たちの流儀である。 それは制度や通念への反抗ではなく、自分で決めたい、ということにつきている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
標的
小説にだけ可能なこと 常軌を逸した、と形容しても差し支えないと思われるここに描き出された光景は、なぜそれが行なわれるのかについては、一切の説明がない。 ここにあるのは、1人の女性の完璧にしなやかな肢体と一丁のライフル銃だ。 筋肉の名前を一つひとつ挙げていくことと、ライフルを構成するパーツについて述べられることはここでは完全に同じ価値を持つ。 そして、人間の知覚や映像表現ではけっしてなしえない1秒の数十分の1という微細な時間のアクションが小説においてのみ可能であることが、よく理解できるだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
粉雪のつらく降るわけ
誰も知らないから自分で言う。「おまえ、どうするんだよ」 未来へと目を向けてある決断を下しても、それは現在が見ている風景でしかないからやがてその時がやってきた時点でかつて未来だった幻想から悪戯される、ということはあるだろう。 卒業と結婚を同時にやろう、という青年の性急さと、かつて手を切ったものに再びからめとられる弱さは、矛盾しない。 同時にそれらを抱えたまま彼は人の世の洗礼を受けることになる。 それを優柔不断と呼ぶのは簡単だがそのことよりも今、まさに直面していることの悲しみのほうに粉雪が寄り添っている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
エクストラ・ドライ
2人で飲み、次に1人で飲む。 エクストラ・ドライのジンは、かなりキツい。 それがこの、何も起こらないといえば起こらない、おだやかなはじまりの、派手ではないが祝福に満ちたごく短い短篇のタイトルに選ばれているのはなぜか。 男女のうち、視点は女性の側にある。 ヒントは、ラストの1人飲みのシーンにあるのかもしれない。 いや、それはほんとうになんでもない、なにものをも象徴しない、ただのエクストラ・ドライでありただの1人飲みかもしれないのだけれど。 さてあなたはどう読みますか? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
どこかにあるはずの素敵な島
ひとつの、充実した結婚のかたち 不思議なタイトルである。 というのも、この小説の中では実際に、結婚した男女が毎年休暇を過ごす南の島が出てきてそれは架空の島などではないからだ。 しかし、その島の名前も場所も一切明らかにはされないから読者にとってはたしかに「どこかにあるはずの素敵な」島に違いない。 片岡義男の多くの小説がそうであるように我々の日常にあるようなリアリズムや従来の小説がそこをテコにして物語を動かす破綻、のようなものはここには一切、現れない。 あるのは1つの、あざやかな夫婦のかたちだけだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
僕と寝よう
尾骶骨とそのまわり一帯 再会は片岡義男の小説にあっては重要な起点となる。 再会、という設定だけでそこに少なくとも2人以上いて、過去と現在があることが物語の確固とした背景となる。 現在は過去とは違うけれども、過去が影を落とさない現在もまた存在しない。 男はそれを利用する。ユーモラスに、そして直裁に。 女性に向けて尾骶骨、と言い放つ男のスタンスと、いったんはぐらかすかに見えてビタッと受け止める女が最高に絵になる短篇だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ダブル ミント
窓から見える灰色の空 完全に対等な、男女の関係がある。 共に過ごす時間は快適で、偽りがなく無理なところが少しもない。 そうした対等の関係が1日のあいだに連続して起こり、女性の側がすべて同一人物であったとしてそこで起こっていることはいったい何か。 何でもない、というのがおそらくこの小説の回答であり、1対1の関係がただ1個ではない、ということがそこにあるだけだ。 窓から空を見る、という行為であたかも自分をニュートラル・ポジションに戻しているかのような主人公の所作に魅了される。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
ふたり景色
ふたり景色と、ふたりで見る景色 再会、という片岡作品にあって重要な、そして数限りないバリエーションの一つ。 当人たちにもなぜそうするのかわからないまま、しかし、そうでなければいけない、と考える別れがあり、ところがそれはある時間が経過したところでいつのまにか引力へと変化する。 なつかしい、という感情ばかりではないはずだ。 時が移るようにふたりの景色は変化し、ふたりが一緒に見る景色もまた、変化していく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
さっきまで優しかった人
さっきまで優しかった人たち 唖然とする展開、といってもいいかもしれない。 しかも2度。この短さの中で2度、唖然とできる。 舞台設定が、サスペンスの効果を高めている。 ここで「本気だ」と言われているセリフは言葉通りに受け止めるべきであり、それを怖ろしいと思うかあるいは微笑ましいと思うことだって、読者の自由である。 もしかするとこれは新手のSMプレイかもしれない。 そう読むのもまた自由である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
雪が降るから
言い訳ではないけれど とりたてて高揚しているわけではないだろう。 しかし、ただクールなままでもつまらない。 なにしろ外は大雪である。 激しく降る雪が都市の景色を変えてしまうように、女と男がいれば、それも4人いれば、可能性を追求してみればいい。 アルベール・カミュの『異邦人』が「太陽のせい」なら、片岡義男の男女は「雪が降るせい」なのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
さようならの言いかた
そして彼女はやりとげた 若い男女がいる。恋人同士ではない。 大切な人を亡くした同士だ。 男にとっては親友。女にとっては恋人。 深い悲しみの中にありながら女性は彼女なりの仕方で追悼を、そして別れを試みる。 それは恋人だった男性を彼女のやり方で理解しようとすることであり、その場所に行ってみることであり、それをやりきったら二度とやらないことでもある。 そのやり方にそっと、親友が寄り添う。 見事なその別れを、彼女は完璧に美しくやりとげる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
B面の最初の曲
自分自身になる途中 最初のアルバムを作ろうとしている女性がひとり。 A面に収録する曲はすでにできあがり、今はやや趣を変えるべく、B面の最初の曲に取り掛かっている。 そしてその間、ごく短い休暇が与えられ、彼女は会いたいだけの人に全部会う。 その、彼女が人に会う、そのやり方がいささか通念を逸脱していても、そのことはまるで問題にならない。 自分以外の何者かになるのではなく、もっとより自分自身になるための彼女の流儀にすぎないのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
イアリングをつけるとしたら
つけるときよりもはずすとき 編集者と書き手の情事。 ここでは編集者が男性であり、書き手はまだ書くことの経験が十分ではない。 小説とは、いかにして書かれるものなのか。 会話の中から、そして動作を伴う、あるモノからそれは生まれる。例えばイアリング。 男には得られない視点からイアリングを見て、そのことを構築できればすなわちそれが彼女の小説だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一生に一度かしら
あっけらかんと百万円 たいへんに魅力的な女性がいて、彼女と寝たい、それが実現するなら百万円払ってもいい、と男が口にする。 話だけなら冗談か下衆な話題として済んでしまうが実際にそれが実現され、女性もあっさりとそれを飲んでしまうともはや外野がどうのこうの言う問題ではない。 「一生に一度かしら」などと笑いながら、百万円を支払い得ない男たちの視線の先をグラビアの彼女が涼しくすべっていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
一等星の見える窓
ようやく一等星の見える時刻 今日こそは会いたい女性がいる。 いつもならしない残業もこなし、時間をつぶそうとするもなかなか電話は通じない。 持て余した時間のあいだに幾人もの女性が登場しては去っていく、そのよるべなさも片岡作品にはおなじみの展開だろう。 やや深い時間になって、ようやくキャッチ。 そこまで時間が経過したのだから、夜空の遅い初夏でも、彼女の体の向こう側に一等星が見える。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
きみはただ淋しいだけ
今はもう10年前ではない この短篇小説を読み終え、あらためてタイトルを見ると、いかにも的確で、同時に残酷に思えてくる。 10年前の輝きを、その当時の風景を目の当たりにしていくらでも語ることができるのは、現在にその輝きが失われているからだ。 かつて選んだ男が去り、選ばなかった男が新たにやってきた、という単純な話ではない。 あの輝きはもはや、確実に消えてしまったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
追伸・愛してます
後ろ姿に、追伸の1球 少年少女向けの文庫レーベル・コバルトシリーズに収録された一篇。 ここでは、思春期特有の繊細さとストレートさ、よくわからないものに向かっていく頼りなさが、草野球という、このうえなくうつくしい舞台を経由して遺憾なく発揮されている。 ボールを投げる。投げられたボールを打ち返す。 その運動に身を委ね、さらにボールを拾い集める、という内省の時間を持ったあとで、彼と彼女は新しい世界に踏み出していく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
いつか聴いた歌
2人の女性に託された歌 不幸な亡くなり方をした父親から唯一の財産として娘は歌を贈られた。 長じてカントリー歌手になった娘は父の曲に自ら詞をつけて歌うようになる。 ところがその歌を、どうやらもう1人、歌っている女性がいるらしい。 自分しか知らないはずの歌なのに。 このミステリーの前に現れるのが愛すべき21歳の私立探偵アーロン・マッケルウェイだ。 もう1人の女性はいったい誰なのか。 全篇、電話による会話だけで進んでいく哀切な物語。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
メイン・テーマ
テーマを決めて、生きることを選ぶ 『メイン・テーマ』という映画があった。 薬師丸ひろ子主演。森田芳光監督。1984年公開作品。 ここにお届けする「メイン・テーマ1」を元に、森田芳光氏がシナリオを書いて制作されたものだ。 自分という人間はこれからどう生きるのか。 そのことを、片岡義男は「あとがき」で「時間の使い方」と説明している。 時間をどう使うのかが、その人のメイン・テーマ、というわけだ。 なお、「あとがき」には恐るべき構想が記されているが、2015年11月現在、それはまだ実現していない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
叶精作 作品集2(分冊版 2/4)Seisaku Kano Artworks & illustrations Selection - Japanese Sexy
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 叶精作のイラスト集第2弾『Seisaku Kano Artworks & Illustrations 2 「 This is for real 2nd」』の第2章を収録。 緊縛をテーマにした日本女性のイラストを中心に構成。有名な北斎の絵の精密な模写も収録。 ============================== Japanese Sexy The structured around an illustration of Japanese women on the theme of bondage . Precise replication of the picture of the famous Ukiyoe Artist of Hokusai also included. -
Dr.蓮村のアーユルヴェーダ練習帖 「しあわせ体質」きほんのき
からだの内側から美しく健康になれるとして、モデルや女優の間でも実践する人が多いアーユルヴェーダには、こころやからだの健康のみならず、人生そのものをしあわせに導いてくれる知恵がつまっています。本書では、その知恵をできるだけわかりやすい形でシェアできるようにしました。自宅にいながら毎日を生き生きと輝いて過ごす手助けをする一冊です。 もくじ 1.アーユルヴェーダ式「こころ」と「からだ」のチェック あなたのこころの成長度がわかる「サットヴァ・チェック」/あなたの「本来の体質」がわかる「プラクリティ・チェック」/からだにたまった毒素の量がわかる「アーマ・チェック」/あなたの輝き度がわかる「オージャス・チェック」 ほか 2.毎日を生き生き過ごす アーユルヴェーダ 24の習慣 朝、コップ1杯の白湯を飲もう!/瞑想をしよう!/朝、あたたかいスープを飲もう!/昼食には、穀物と油ものをしっかり食べよう!/昼食を食べながら白湯を飲もう!/残りものは食べないようにしよう!/調理にはギーをつかおう!/昼食後に15分ほど散歩をしよう!/夕方のおやつには生のハチミツを食べよう!/夕方に白ごま油のうがいをしよう! ほか 3.ケース別 アーユルヴェーダのアドバイス 外食が多くても健康になるには?/結婚していない自分が不安/上司とうまくやっていくには?/早起きを続けるためのコツって?/便秘がなかなか治りません/原因不明の吹き出物に悩んでいます ほか ※本作品は、2014年から2015年にメールマガジンサービス「ちょくマガ」にて配信された内容を再編集し、書き下ろしを加えてまとめたものです -
叶精作 作品集2(分冊版 4/4)Seisaku Kano Artworks & illustrations Selection - Re-make
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 叶精作のイラスト集第2弾『Seisaku Kano Artworks & Illustrations 2 「 This is for real 2nd」』の第4章を収録。 叶精作がIllusutratorやPhotoshopを導入したことで生まれ変わった作品をリメイク前後で紹介。 ============================ Re-make The remake featured in before and after the work was reborn by Seisaku Kano introduced the Photoshop and Illustrator. -
叶精作 作品集2(分冊版 3/4)Seisaku Kano Artworks & illustrations Selection - Nymph & Doll
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 叶精作のイラスト集第2弾『Seisaku Kano Artworks & Illustrations 2 「 This is for real 2nd」』の第3章を収録。 コケテッシュで小悪魔的魅力を持つ少女の絵も叶精作の絵の魅力の一つ。球体関節のDollをまるで写真のように描いた珠玉のイラストもメイキング入りで収録。 =============================== Nymph & Doll Picture of a girl with a goblin attractive Seisaku Kano also one of the charms of the picture of Seisaku Kano. Illustration of gem depicting as shown in the photograph like a Doll Ball jointed also recorded in making entering . -
橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【開運アドバイスダイアリー編】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【魚座】
【電子版限定】恋、仕事…あなたの「運命」が動く日はいつ? 驚異の的中率!! 女優やモデルも熟読。大反響の年間占い、独占書き下ろし!! 2016年版の中から、それぞれの星座別「運命日占い」だけを収録しました。2016年版は新年の計画に活かせる1月スタート。※全星座版の「Part1 全星座共通『運命日』カレンダー」、「366日開運アドバイスダイアリー」は含まれておりません。 -
橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【水瓶座】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【山羊座】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【蟹座】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【双子座】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【牡牛座】
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橘さくらの「運命日」占い 決定版2016【牡羊座】
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ねことも増刊~ウチのにゃんこのドタバタ日常劇!~
箱入りにゃんこムーちゃん、ご主人様の寝るにゃんこ布団へ潜り込む前にする謎のお座りタイムって!? 人間嫌いのグゥちゃん、病院での久しぶりのご主人様との対面の第一声は「シャーッ!」!? 全身凶器にゃんこヨモちゃん、トゲトゲ体毛を布団に仕込んでご主人様にチクチク攻撃!? タヌメンのミロ、足短い&お尻がデカい&歩くとスチャラカ…深まるタヌキ疑惑!? 他にもしっぽをライオンカットにされてご主人様に八つ当たりするにゃんこや、激しいスキンシップでラブラブ…かと思いきやご主人様に謎のかぶれを発生させるにゃんこだったり…トラブル&ハプニング満載だけど、キュート&ラブリーもてんこ盛りな「日常」に思わず引き込まれちゃいます♪ -
ムーンライト・セレナーデ
憎みきれないろくでなし 片岡義男のいくつかの小説が踏襲する独特のパターンというものがある。 ダメになった、嫌いになったわけでもないのに別れること。 女と男が、1台のクルマではなく、 それぞれのクルマに乗って2台で長い距離を移動すること。 この短編はその両方を満たしている。 男は、ナイトクラブのピアノ弾き。驚くほど上手いが、向上心がない。 めっぽうモテる。本当の意味で自分の足で立てる男でもある。 でも、女はくやしいだろう。男は自分で「ろくでなし」と言うのだから、 遠慮は要らない、読者も「ろくでなし」と断罪してほしい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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