あらすじ
若だんなの父、藤兵衛が倒れた! 長崎屋の大黒柱の危機に、妖(あやかし)たちも大慌て。一太郎は、父の命を救うため、薬種屋たちのいさかいに飛び込み、蜃気楼のなかに迷い込み、恐ろしい狂骨の怨念につきまとわれながら、ついには神が住む常世(とこよ)の国を目指すことになるのだが――。八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せる若だんなは父を助けることができるのか!? 不思議と怪奇に彩られた、スリル満点のシリーズ第16弾。(解説・大矢博子)
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Posted by ブクログ
いつも寝付いてる若旦那が、店先に立つ場面があって満足(笑)
聞いたことがある事柄、人物、神が
キャラクターとなって生き生きと活躍しているのを見るのは、大変嬉しい!
お馴染みキャラの新たな一面も見れて超嬉しい1冊!
Posted by ブクログ
2021/5/11
安定の。いつもひらがなタイトルなのに一つ「長崎屋の主が死んだ」っていうのがあって驚愕。
見え見えのフリやのにまんまとビビらされた。
今回はお父さんが倒れて若だんな頑張った。
ちょっとずつ頼もしくなってるのかも。
嬉しいような寂しいような。
Posted by ブクログ
毎年きっちり同じ時期に、新刊と文庫が出るしゃばけシリーズ。第16作になりましたか。今回は、一太郎の父にして長崎屋の大黒柱、藤兵衛が倒れてしまった! 全5編は、父のために一太郎が奔走する、連作長編でもある。
発端である「とるとだす」。上野の広徳寺に多くの薬種屋が集められ、一太郎も父に同行していた。父がそんな無茶をしてしまった理由が、一太郎には痛いほどわかる。それだけに、責任も感じるのであった。江戸時代も現代も大して変わらないねえ。
「しんのいみ」。一太郎の思いが強すぎたばかりに、気づくとこんな場所にいた。お約束と言えなくもないが、藤兵衛以前に一太郎が危ない。男がすがる気持ちを責めることができるか? それにしても、ここまで危険を冒して、「一段」ですか。
「ばけねこつき」。また一太郎の縁談ネタと思いきや、騒動の裏にある男の悲哀とは。働いて働いて…現代社会でもこういう事例はあるのではないか。残念ながら首を突っ込んだ甲斐はなかったが、めでたしめでたしでいいのか?
「長崎屋の主が死んだ」っておいおいおいおい、死んではいないのでご安心を。かわいい妖だけではない。なぜか長崎屋に恨みがあるらしいが…。逆恨みで片づけるには、あまりに悲しい事情。華やかさの裏にある、江戸の闇の一面。
「ふろうふし」。回復してきた藤兵衛の容態が、再び悪化。一太郎は特効薬を求めて神仙の住まう国へ飛んだはずが…。長生きしたいとは思うが、不老不死とは幸せなのか? 妖には妖の寂しさがある。シリーズの本質を突いた1編かもしれない。
最初から最後の薬を使えばよかったのではと思わなくもないが、この5編に描かれた以外にも、噂や評判を聞けば駆け付けたのだろうと推察される。藤兵衛の回復までどのくらい時間を要したのか。気が気ではなかっただろう。
やはり、一太郎の頑張りに注目すべきだろう。いつも通り、頭も働かせるが、自ら動く。床に伏せっている描写は少ない気がするが、畠中さんは敢えて少なくしたのか。父を助けたい必死の思いが、一太郎の気力体力を持続させたのかもしれない。
Posted by ブクログ
長崎屋の大旦那が、いろいろな薬を飲まされた挙句、倒れてしまった⁉️
おとっつぁんのために頑張る若旦那。
でも、それは確かにいつかくる日。
時の流れに若旦那の成長と妖かしたちとの違いを改めて感じ(T ^ T)
Posted by ブクログ
藤兵衛が倒れたことで連なる物語。
長崎屋の〜はびっくりするタイトルで、内容はひどく悲しく淋しい。
ばけねこつきも手から零れ落ちる砂のように脆い話だったが、その後の彼の人生が全く別のものになっていて安心した。
未来に待つ別れをそっと滲ませて、それでも一緒にはいけないからいつか巡る江戸を待ち侘びる。