あらすじ
若だんなの許嫁が、ついに決まる!? 幼なじみの栄吉の恋に、長崎屋の危機……騒動を経て次第に将来を意識しはじめる若だんな。そんな中、仁吉と佐助は、若だんなの嫁取りを心配した祖母のおぎん様から重大な決断を迫られる。千年以上生きる妖に比べ、人の寿命は短い。ずっと一緒にいるために皆が出した結論は。謎解きもたっぷり、一太郎と妖たちの新たな未来が開けるシリーズ第13弾。(対談・みもり)
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Posted by ブクログ
誰か誰か誰か、己の側に居て。どこへも行かないで。頭を撫でて。
祈るようにそう願っても、時は人をあっという間に連れて行ってしまう。
守狐がよく出てきて嬉しい。
赤子の若だんながふさふさの尻尾を掴みたがって揃ってせっせと尻尾を振って気を引いていた描写がかわいすぎた。
遂に決まった許嫁も、もともと於りんちゃんになることを知ってたのだけれど理由は知らず疑問に思っていたので読み終わったときにとても納得した。
仁吉と佐助の決断は意外にあっさり読めた。
えどさがしの『若だんなに違いない人』は鈴彦姫の鈴を持っていたということなのだろうか。
でも兄やたちが離れないでいてくれてやはり嬉しい。
そして最後の山童の「何で?」には胸が苦しくなった。
「何で自分にはないの?」という羨望や悲しみ、悔しさ、嫉妬など色んな気持ちが湧いてくるのは妖も一緒なのかと思った。
全員を助けることはできない。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズの12弾目と思われる。
相変わらず大妖の孫長崎屋の一太郎の周りにはあやかしとちょっとした事件が転がっていた。
個人的には長生きした天狗の寿命を延ばすため高僧を釣りだし肝を喰らおうと謀る寛朝の明日の中で企みを折るため猫又たちが企みを歌い踊った猫じゃ猫じゃのシーンが可愛らしくて気に入った。
人間とあやかしの寿命の違いから早めに一太郎から離れるか選択を迫られた兄や2人がとった選択も快かった。
Posted by ブクログ
「寛朝の明日」で、場久の夢を使っての謎解き。安楽椅子探偵ではなく、お布団探偵となる一太郎。なんでもありですね。
文庫版ならではの、おまけの対談も面白かったです。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズ初の外伝『えどさがし』を挟み、第13作が文庫化された。単行本は第15作まで刊行されており、まだまだ続くと思われる。
「栄吉の来年」。一太郎の親友にして菓子屋三春屋の長男・栄吉に見合い話が持ち上がる。ところが、事情を探ってみると…。シリーズの王道的内容だが、いつの世も色恋ってやつは。最大の発見は、あの妖を怒らせてはならないってことか。
「寛朝の明日」。妖封じで名高い広徳寺の寛朝が、小田原まで出張することに。同行したいけどできない一太郎と、現地を繋ぐ手段とは。すげえ、江戸時代なのに通信手段がSFっぽいぞ。江戸にいながら、現地に指示を送るとは。しかし、事態は収拾したものの、一太郎にの負荷は実際に行くより大きそうだ…。
「おたえの、とこしえ」。長崎屋の主・藤兵衛が不在のため、妻のおたえが来客と対峙する。自分が知る限り、初めてのパターンである。相手の要求とは…。病弱な一太郎自ら大坂に行くのも驚きだが、これまた通信手段がすごい。妖の力を借りたとはいえ、実に先駆的だ。堂島米会所にとってはいい迷惑だが…。
個人的に一押し「仁吉と佐助の千年」。人間とは違う時間軸を生きる、彼ら妖。いつまでも、このままの暮らしがいいのか? 選択を迫られる2人。一方、2人が不在の頃、一太郎は見合い騒動に巻き込まれ…。妥協というか先送りというか、とにかく当分は続くということだが、意外に大きな変化かもしれない。
「妖達の来月」。一太郎の離れに入り浸る妖たちの、新しい居場所ができた。ところが、引越し早々に泥棒騒ぎが…。似たような境遇の妖を、前にも読んだ気がする。人間に混じって楽しく暮らせる妖ばかりではない。最後にしんみりとする一編。
しつこいようだが、僕はシリーズの熱心なファンではないけど、シリーズの幕引きについては気にしていた。外伝『えどさがし』の、明治を舞台にした表題作。そして今作は、各編タイトルにすべて時間を表す言葉が入っており、中でも「仁吉と佐助の千年」は、畠中恵さんご自身が、幕引きを意識し始めたのかと勘繰った。
シリーズ刊行15周年を迎えたそうだが、作中の世界での経過時間はどのくらいなのだろう。一太郎の周囲でも、それなりの変化は起きている。一太郎自身、忸怩たる思いもあるのではないか。当面は文庫で追いかけよう。