あらすじ
きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり……。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第2弾、ますます快調。(解説・藤田香織)
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Posted by ブクログ
腹違いの兄、松之助さんのエピソードや、イケメン仁吉さんの失恋エピソードなど、周りのキャラクターの物語も加わってさらに厚みが出て、好みの作品に。
文庫の外伝を含めて、シリーズ作品がたくさん読めることがとてもありがたく、楽しみ。
私の脳内で、若だんなにラウールさん、仁吉さんは岩本照さん、佐助は宮舘涼太さんで読んでます。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズ第2弾。以下の6話からなる短編集。
「ぬしさまへ」「栄吉の菓子」「空のビードロ」「四布の布団」「仁吉の思い人」「虹を見し事」。
どの話もそれぞれに面白かった。
若だんな・一太郎の腹違いの兄・松之助さん、桶屋東屋の奉公から長崎屋に奉公することができて良かった。
仁吉は千年もある一人の妖を思い続けてるのですが、その思い人の吉野どの(お吉)が一太郎の祖母のおぎんだったとは。祖父母の恋路がロマンチックです。
そして、栄吉さん、菓子作り頑張って!
Posted by ブクログ
短編集。6話入ってました。各話の最初に一太郎がどういう人物なのか背景が書いてあるので、1巻読んでなくても大丈夫なつくりになってました。
「空のビードロ」が義兄、松之助が長崎屋に来るまでのエピソード、1巻しゃばけの裏側、松之助サイドの話が書いてありました。
魔が差して井戸に毒を入れようとしてましたが、拾ったビロードを見て我に返るところが好きでした。
お店が家事になっても、働き口がなくても不貞腐れないで生きようとするところはこちらが励まされました。
仁吉の思い人は想像通りの人でした。
虹を見し事は、一太郎が妖怪が見えなくなって寂しそうでした。昔から一緒にいたものがいないのは寂しいでしょうね…。
私たちは一般人はそんな感じです。妖怪といっしょにお風呂入ったりしません。羨ましい…。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズのサイドストーリー短編集。
前作のしゃばけが1つのファンタジー作品として完結してもいいくらいに完成されていたけれど、その登場人物を順番にフィーチャーして掘り下げた話を読むことで、より人柄や関係性が見えて世界が広がった感じがした。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズは短編も面白いんだなあと思った。
この2作目で、一太郎と妖たちの事件解決譚、ドタバタ劇で売っていくではなく、一太郎をはじめとする人や妖の関係性や思いや情に焦点を当てていくんだと、そこを大切にする話なんだとわかったことが嬉しかった。
それを一番感じたのは、松之助にフィーチャーした「空のビードロ」と一太郎の胸の内がわかる「虹を見し事」。前者は、江戸時代、家族と呼べるような人もいなく、当然福祉制度などもなく、自分で身を立てていかなければならない中で生きていくことは、どれだけつらく寂しいことなんだろう…感じた。
大河ドラマなどでは思い至ることがない、市井の人々に思いを馳せることができて新鮮な気持ちだった。
『ぬしさまへ』を読んで著者をますます信頼できるようになった。
Posted by ブクログ
「しゃばけシリーズ」第2弾。病弱だけど聡明な一太郎が、ちょっと人とは感覚のズレた憎めない妖(あやかし)たちと謎解きをしていく話。第1弾とは違い、「ぬしさまへ」を含めた5つの短編集。
正直言うと、おれが疲れた体で読んでいたせいか、初めの「ぬしさまへ」のストーリーがあんまり入って来なかったし、3つ目の「空のビードロ」の話は、おれが本当に大嫌いな、動物虐待(犬や猫がむごい形で殺される)の描写があって、ちょっとイマイチかなあと思ってしまったが、「仁吉の思い人」の話で、ずっと出てきていたキャラクターの人間臭い内面の話が、謎解きそのものよりも面白いと思ったし、最後の「虹を見し事」は、謎解きも面白い上に、一太郎の人間的な成長、純粋さというものを感じることができ、そしてちょっと悲しい雰囲気というもののせいで、全体が印象深い本となった。キャラクターに深みが増す、という感じ。それにしても、本当に鳴家(やなり)という小鬼がかわいすぎる。グレムリンみたい。特に「栄吉の菓子」の話に出てくる鳴家は犯罪的にかわいい。キャラクターについてもっと知りたいということに加えて、この鳴家の描写を読みたくて、このシリーズを読み続けたいと思う。でも本当に「虹を見し事」みたいに、このシリーズに鳴家が出てこなくなっちゃったら、悲しいなあ、と思いながら。(21/06/22)