【感想・ネタバレ】千夜千冊エディション 源氏と漱石のレビュー

あらすじ

平安の『源氏物語』から明治の近代化を経て『夜明け前』に至るまで、日本文学はどのような伝統を引き継ぎ、いかに近代化してきたか。「源氏」という構想の妙を紐解き、古典と近代を繋ぐ、新しい日本文芸史。
「源氏」と「漱石」をつないでみたいと思ってきた。「もののあはれ」と「可哀想だた惚れたってことよ」である。途中には右京大夫、西行、後鳥羽院、連歌、芭蕉、西鶴、井月たちがいて、主人公をあからさまにしないスタイルを試みてきた。しかし「漱石」以降、近代文学は主人公を用意して、その「創(きず)」を描くことにした。何かの「夜明け前」だったのか。

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Posted by ブクログ

第1章は源氏物語。
・紫式部の家が盛んだった祖父の代、天皇親政の時代がモデルになっている。
・光源氏の本名は語られていない。
・「うた」と「もの」による物語。「もののけ」から「もののあわれ」につながる部分はよく判らない。
・罪と愛がもののあわれ=いろごのみを発動させるという論。
まあ、広大な屋敷の東西南北に4人の女性を同居させるなんて理解し難いよ。

第2章。
「とはずがたり」。前半の華麗な男性遍歴。後半は厳島、土佐、讃岐、鎌倉、浅草まで足を運ぶ歌と仏道の道。確かに源氏物語と女西行という人生。この女性の自分語りを古文で教えたら古典嫌いも減るのでは。
「連歌」。丸谷才一さんのエッセイにも連歌を巻いていたなあ。正直、理解は覚えつかない。
「其角」。芭蕉の弟子として名前しか知らなかった。

第3章。
漱石「草枕」。若い頃に読んで、判ったような判らないような感想を持った。
近代の数寄の遁世、韜晦趣味と語られる。
こうした境地は漢文が齎したものらしい。草枕の中に詩作を葛湯に例えている部分があるという。初めはさらさらにして手応えがないが、粘りが出てきて、仕舞いには葛が先方から箸に付着してくる。
漱石の漢文の本は読んだが、全然わかっていなかった。草枕を読み直そうかな。
「幸田露伴」。ヨーロッパを必要としなかった最後の日本人とセイゴオさんは評する。娘の文さんの「おとうと」では、息子を溺愛する無力な父親にしか見えないんだが。露伴も読んでいない。
島崎藤村「夜明け前」。明治維新の王政復古の宣言を信じ、裏切られた父親を描く。そういう物語であることは知っていた。藤村は姪との不倫をまんま私小説にしたと近年、批判されていたこともあり、手を出す気にならなかったのだが。
篠田一士曰く、20世紀の10代小説のひとつ。読みかどうかは判らないけれど、覚えておこう。

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2023年04月03日

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