【感想・ネタバレ】千夜千冊エディション 観念と革命 西の世界観IIのレビュー

あらすじ

観念・革命、生・存在、そして不条理......。マルクスとハイネ、レーニンとトロツキー、フッサールとハイデガー、サルトルとカミュを対比的に展示。近現代の西洋の基本概念を作った哲学者たちのエスプリに迫る。

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Posted by ブクログ

「神と理性」に引き続き。
前半は兎も角、ドイツ。
冒頭はゲーテ。遠い昔の高校時代に「若きウェルテルの悩み」は読んだ。ドイツ歌曲やゲーテの詩の引用や箴言を見ることはあるけど、詩人のゲーテしか知らなかったんだな。
(引用)
(「ファウスト」は)ファウストがメフィストフェレスに魂を売ったという話ではない。壮大な生命観の賛歌をめざした話である。(略)メフィストフェレスは悪魔というより、つねに「悪を欲することによってかえって善をなしている人格」なのである。

そして、ここに少女への憧憬が絡んでくる。ロリコンとは違うものとある。
ベルリオーズの幻想交響曲みたいなもんだと思ってたので、意外。
ゲーテはドイツの知の巨人であったことも本書の中で示される。

ヘーゲルについて、セイゴウさんは重要概念「絶対知」が表現できていないと指摘する。
浅はかな感想を云えば、弁証法なんて出鱈目な論理で普遍に至るという考えが理解できない。その先の規定された特殊、統一としての個別なんて更に無理過ぎ。
61歳で死去。法哲学の先に「絶対知」は目指せたのだろうか。

ショーペンハウアー、ニーチェ、フッサール、ベルクソン、ハイデガー、サルトル。
セイゴウさんの切り分け方が素晴らしい。
ショーペンハウアーは何となく近寄り難く思ってたけど、「ミットライト・ペシミズム」(共苦)として説かれる悲観の凄さ。成程なあ。
現象学はやっぱり判らないが、発想の原点は得心できた。
ベルクソン、ハイデガーが存在や意識をギリギリと問い詰めていく手法についての筆の冴え。

綺羅星の書評とこの編集が大きな精神史となっていることにも感銘した。

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2020年02月11日

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