【感想・ネタバレ】街道をゆく 6のレビュー

あらすじ

沖縄県では、本島よりもずっと南西に浮かぶ八重山諸島などを「先島(さきしま)」と呼ぶ。那覇にあって太平洋戦争の傷跡から「沖縄問題」を沈思し、離島を渡り歩き、アジア文化伝来の道を確かめる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

司馬さんの本は小説しか読んだことがなかったんですが、紀行本がこれほど面白いとは思いませんでした。内容自体もですが、ちょいちょいこちらの鳩尾を的確に衝いてくる表現が出てくる。須田さんの糞便のくだりは爆笑してしまいました(4Pも割く話なのかと…笑)。
ところでこれは40年以上前に書かれた本ですが、本土の不動産屋の進出について言及されていて、現状の沖縄にいたる開発がこのとき既に始まっていたことがわかります。「沖縄」って何だろう。

―彼女は急に眠ったような埴輪みたいな表情に化って、「それはね」と勿体をつけ、「ハテルマ、ハテルマと言うてゆくのよう」と、いった。何度繰りかえし質ねても、その呪文のようなことをいうのみで、質問者としてはらちが明かなかったが、しかし一面、古代の中にいるようで、神韻縹渺とした世に漂うような気分になった。ハテルマ、ハテルマととなえているうちに言霊の力でハテルマへゆけるというのであろうか。(200P)

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

八重山諸島旅行の調べ物をしていたときにとあるブログで紹介されていて出会った本。ずっと読みたいと思いつつなかなか手を出せなかった司馬遼太郎作品、小説よりも先にこんな形で出会えるとは。

司馬遼太郎はさすがの豊富な知識の持ち主で、見つけたもの一つ一つに対して歴史的背景、風土、文化から掘り下げられていて、単純に勉強になったし、
ただ旅行雑誌から知識として入れようとしても入ってこない情報も、紀行文だとすんなり入ってくることに気付くことができた。

旅先でも「この場所で司馬遼太郎はあの知識をもとにこう考えたんだな」と思えるのが楽しかった。

(因みに本シリーズは歴史紀行エッセイと呼ばれるらしい)

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やっぱりその土地その土地で現地の人に話を聞くことでよりその旅に深みが出るんだなぁ。
そして、司馬遼太郎が出会う人のめぐり合わせがまたすごい。"持ってる”ってやつなのか。

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自分はカイジ浜という星砂の浜に対して、「星型の砂って実は生物の死骸なんだよ」なんていう何とも薄い知識の披露で満足していたのに、

『実際には砂でなく、こういう種類のヒトデの残骸らしいのだが、硬さといい色といい、まったく砂になりきって地球の一部を構成しているということが、古代インドの輪廻の思想をおもわず感じてしまうような雄大さと可憐さがある。』(p,133)

なんて文章を見せつけられて絶望。知識だけではなく、感受性と想像力、そしてそれを文字にする力があってようやくここまでこられるんだな。

今後旅に出るときは必ずこのシリーズを読んでから出掛けようと思う。

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2025年02月12日

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