【感想・ネタバレ】3月のライオン 8巻のレビュー

あらすじ

新人王となった零は多くの期待を受け宗谷名人との記念対局に臨むが、宗谷の重大な秘密を知り…。一方、島田八段は棋匠戦で初タイトルをかけ柳原棋匠と死闘を演じる。お互いのすべてを出し尽くした勝負の行方は…? 「託される想い」その重さを読者の方に問いかけます。

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これは、様々な人間が「何か」を取り戻していく、優しい物語。そして、戦いの物語。(公式サイトより引用)
主人公の桐山零は、将棋界史上5人目となる中学生でプロ入りした若手棋士。幼くして家族を亡くしてから深い孤独を抱えていた彼が、三月町に住む川本家の三姉妹と出会った。健気であたたかい三姉妹との交流を重ねるうちに、人の優しさを改めて知り、人間的に成長していく、というヒューマンドラマである。

棋士たちが背負う想いがぶつかり合う熱いバトルがメインのお話だが、三姉妹との出会いとほのぼのしたかけ合いが、バランスよく描かれている。将棋漫画でありながら、人と関わる大切さを教えてくれる、儚さと強さを秘めた作品である。
いろいろ疲れていた心にじわじわと染み入る特効薬はいかがですか。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

将棋の真剣勝負の描写が美しくもひりひりする。
敗着の駒から手を離す時指の表面を引きはがすような感覚があった
のような表現が本当に秀逸だ。

感想戦で手を見る零ちゃんに、そういうものだよ、と言う宗谷名人。
何も言わないのにわかりあえている2人。
静かで明るくて何もこわくない所にいた というのが
真剣勝負で敵同士だけれどこれ以上無い理解者同士でもあることがよく分かる。

台風という日常から少しはみ出した最中の出来事でもあり
対戦した相手、しかも自分より格上の人と行動をともにするまるで夢を見ているようなエピソードがとても好きだ。

僕のあとを静かに神様がついて来る
現実感が無かった。でも不思議な高揚感があった
という表現が素晴らしい。
宗谷名人が零ちゃんの分まで会計を済ませてもう先にチェックアウトしていて
ホテルを探す時もそうだけれど、そういうところはちゃんと大人な振る舞いで。
そうしたことと相まって
青い空が嘘みたいで昨日までの嵐が夢の中のように遠く
現実感がなくなっていく感覚がある。

島田さんが零ちゃんに、
「楽しかったろ?宗谷との対局。また会いたくなるだろ?盤の前で」
と言ってくれるのが良かった。
自分も棋士だからこそ言える言葉だと思う。

読者としてはもちろん島田さんを応援しているけれど
柳原さんに降り積もる襷の数々 の描写で柳原さんの背負うものを知り、単純に島田さんに買って欲しいと
思えなくなってしまう。

頑張っている人に降格したら引退するのかとか
いつまでA級にいられると思いますかとか
質問を投げかけることがもう無礼だと思うのだが
メディアというのはどの業界でもこんなものだろうし
悪気もないのだろう。

柳原さんがふと負けるかもしれないと思った時に
わからんがこれは俺が絶対に手離しちゃいけねぇもんだ
オレが担いで届けるものだ
精一杯頑張った人間が最後に辿り着く場所が
焼野ヶ原なんかであってたまるものか
と必死の形相でくらいつくところの迫力に圧倒される。
棋士としての力だけでなく、人生の重みなのだと思う。

時が経てば焼け野原も一面の緑になる、それを一緒に見るんだ。
一緒に、というのが簡単なようで難しく
しかし重要なところだ。
そしてそうまでして進んでいく人の姿は、見ている人にとって自分も頑張ろうという力になる。

タスキは期待であり重いからこそ、
恐怖から逃げ出せないようにもしてくれていたというのは
きついけれど力にもなる、不思議なものだなと思う。
来年はもう無理だろうな、というの去年も言ってた
というのもまた面白い。
喉元過ぎればというが、こんなに辛い思いをして
もう駄目だろうと思っても、その場になったら踏ん張って
必死で食らいついてくのだろう。
あまりにも恰好良かった。

お祭りのお話は可愛かったし、零ちゃんがきっちり借り出されているところも良かったけれど
ちほちゃんがまだ辛いのが当然でありつつとても悲しいエピソードでもあった。
こんなにも人の心をめちゃくちゃにしてしまうことなのい
ちほちゃんはしなくてもいい辛い思いをしている。
でもだからこそこうならなければできなかっただろう
梅シロップを作るとかそんな経験もしつつ
いつかひなちゃんとお祭りを回ったり、一緒に甘味を売ったりできるようになったら良いなと思う。

0
2023年09月17日

ネタバレ 購入済み

2つの対局

若者同士、そしてベテラン同士の好対照の2つの対局。もっとも、島田と宗谷は同い年だったか。祭りの出店で活躍する主人公の話もほっこりしていい。

0
2022年12月30日

ネタバレ 購入済み

老人にもフォーカスがあたる

主に柳原と島田の対決にページが割かれます。
苦労人の島田にタイトルをとってほしいという気持ちもありますが、柳原の背負っているものの重さに涙しました。ずっと健康でいてほしいです。

0
2021年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・75 零と宗谷が将棋で会話 宗谷の表現が白いのは、ネーミングが観測船なんですかね
・76 宗谷の難聴設定の意味がよくわからず。会長が零あるいは宗谷を心配して電話。零の保証人とか、面倒見がいいです。
・78 島田が零から取り上げるのは、DSじゃなくてGBなんじゃないかと
・79 柳原と若い零と二階堂は対比なのかも
・83 使い捨て容器より安上がりという発想は、人件費を考えていないからかと。

0
2018年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回も、笑って、泣いて、うなる。

特に、後半の「焼野が原」は、読み応えあり。
老いてなお、闘うことの意味、
闘いつづけるということ、について
深く考えさせられた。

0
2015年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

買った初日に2度再読。それくらい読まないと自分の中で消化しきれないくらい濃い内容。最後に夏祭りで零くんとひなちゃんが並んで微笑んでいるところで8巻が終了し、9巻へ続く展開なんて、うますぎますよー。

0
2015年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宗谷名人が、音の無い世界に暮らす人であったことが、
自然に描かれています。
恐らく勝負のプレッシャーや繊細さからくる
難聴なのかもしれませんが…。
名人と桐山くんの、静かな心の繋がりが美しかったですね。

しかしむしろこの巻の読ませどころは棋匠戦。
柳原棋匠と島田八段の熱戦が素晴らしかったです。

なにも背負ってこない人生は、気が楽ですが薄い。
たくさんの事を背負いつくして来た人生は、
重く、本人には焦土しか見えなくとも、
その後には緑が芽吹きます。

まだ柳原棋匠のところに追いつくまでには、人生の年数は
まだまだですが、重いばかりでなにも残っていない自分の
人生を思うと、惨めで涙がこぼれそうでした。

そうして、涙などでどうにかなった気になる、自分もイヤで。

壊れかけた身体にもこころは瑞々しいまま宿るかもしれないし
老いていても燃える火は誰もが自分なりに持っている。

どんな、惨めなひとも、素晴らしい業績を持った人も
人生を生き抜いていくっていうことは、熱く、苦しく。
誰かに軽んじられるなどということは許されない。

そんなことを思いました。

ああ、それからもうひとつ。

川本家のほんわりした風景が挟まれているのは一種の
清涼剤のようなものですが、二海堂くんと桐山くんの
「名前のつく技」の場面など、ふと優しい風が吹く場面が
あるのがよかったです。

0
2014年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この人の世界も、広がっていくなあ
すききらいはあるかもしれない

意外と主人公の掘り下げが少ないのよね
そこが気になるところ。
このひとは、ある種の社会を描くのがうまいなあと思う。

0
2015年08月14日

ネタバレ 購入済み

白玉梅シロップ

やさしさがあふれる8巻。棋匠戦がなかなか渋い。いじめられていた同級生に会いに行って、でもその子の中では傷はなかなか消えてなくて…いじめはほんとうに人の心を壊す。レースエプロンで白玉を売るひなちゃんがかわいすぎる。宗谷名人と普通に会話できる零君はやっぱ天才の一人。

#切ない #感動する #深い

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2021年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3月のライオンを読む前、友人から題名だけを聞いていた時の頃、本屋で平積みされていたこの巻の表紙は印象的だった。
この白い帯は何だろう、表紙に描かれたおじいさんの表情は何の表情だろうと気になって、読み終わった今ようやく解明された。
たすき!
どれだけの人のたすきを受け取って来たか。確かに重みではあるけれど、それがあったからこそここまで来れた。『精一杯頑張った人間が最後に辿り着く場所が焼け野原なんかであってたまるか!』とたすきを握り込むシーンにじんとした。かっこいい。
自分もそうでありたい。今はどうしても苦しいけれど、諦めず、最後まで突き抜けていきたい。

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2014年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あのポスターちょっと笑えた。そして、別室に医師と看護師をまたせとこうっていうのもまた笑える。
でも、勝負師ってこういう人たちなんだよなって思いました。そして、桐山君いいね。このお世話好きというか上手すぎかも笑

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2017年01月08日

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