あらすじ
深層の決死行を乗り越え、地上への帰還を果たしたベル達。それぞれが果たした冒険の成果(リザルト)は『成長』の証。確かな前進に喜ぶ傍ら、ふと彼等彼女等はこれまで歩んできた道のりを振り返る。
少年は始まりの日に還り。
女神は追憶を映す炉の光に目を細め。
小さき少女は灰の過去を乗り越え。
鍛冶師は遠き日を重ねた空を仰ぎ。
受付嬢は昔日の傷を。
妖精は正義の誓いを。
黒烏(からす)は金狐(きつね)との今昔の物語を想う。
今と過去が織りなす日常編。『英雄』が生まれる地に束の間の安らぎを。
これは少年が歩み、女神が記す、
──【眷族の物語<ファミリア・ミィス>】──
※電子版は紙書籍版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
「出会い」に憧れるヘタレ駆け出し冒険者のベル君と、
ベル君と相思相愛の仲になることを夢見る、ダメ主神ヘスティア様。
この二人で構成されたダメファミリアと、
個性溢れる迷宮都市オラリオの住人たちが織りなすドタバタラブコメディ。
かと思いきや。
丁寧に丁寧に描かれた王道ジュブナイルファンタジーであります。
神々や他ファミリアの策略に翻弄されながら、
挫折し、もがき、冒険者として成長するベル君の姿は爽やかで小気味良く、
緊迫した戦闘シーンは手に汗握り、
酒場の店員達の優しさや、ヘスティアとの絆にはホロリときます。
1巻から全開のハーレム要素、ちらちらと見え隠れする俺TUEEEE要素も抜かり無く。
侮れぬ筆力で描かれた正統派ファンタジーに、お約束もきっちり盛りこまれた傑作です!
感情タグBEST3
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今昔物語って感じ。
ちょっと内容薄いかなぁ・・・
と思ったりもしましたが、DVD特典とか普通に書籍を追っているだけでは読めないショートストーリーをまとめてくれたような感じで懐かしいなと思いながら読みました。
次巻はまさかのヒロインパート?
ラストのアイズはオラトリア11巻後のアイズ!?オラトリアのラスボス?を絡めた話になるのかな?8巻の短編集のラストも次の話の先触れだったから気になります。
追伸
オラトリア12巻後書きで14巻から15巻の間の話と書いてるけど16巻はオラトリア12巻の本編組主観の内容で書きなして欲しい!次回は妖精覚醒編だからアイズとの兼ね合いは確定だけど、お願いしますm(_ _)mオラトリア12巻主人公観点で詳細が知りたいです!
Posted by ブクログ
激戦の果てにようやく「日常」へと帰還した者たちが自らの歩みを静かに見つめ直す巻。物語全体を覆うのは、喧騒の後に訪れる静かな余韻――だが、その静けさの奥には過去に流した血と涙、積み重ねられた選択の重みが確かに息づいている。
著者の筆致は戦いの熱狂を描くときとはまた違う深みを見せ、キャラクター一人ひとりの心の皺を丁寧に撫でていく。彼らがどこから来て、何に傷つき、どんな想いで今立っているのか。その“背景”が紐解かれていくたび、物語の地層が少しずつ下へと掘り進められ、この世界がいかに多層的で、いかに豊かな重層の上に成立しているのかを思い知らされる。
とりわけ印象的なのは、主人公ではないキャラクターたちの光の当たり方。脇役と呼ぶにはあまりに濃厚で、人生の温度を持った人々が、自らの足跡を振り返りながら前へ進もうとする姿が胸に迫る。戦火をくぐり抜けた者だけが持つ静かな決意。その中にあるかすかな脆さ。そして誰かを支えようとする温かさ。それらが混ざり合い、読者に静かだが確かな感動をもたらす。
十五巻は、大事件の間をつなぐ“橋渡し”の巻と思われがちだ。だが頁を閉じたあとに残るのは、単なるつなぎではなく、「この物語がどれほどの人間の想いに支えられているか」という深い実感である。
英雄譚とは、戦いの場面だけで形作られるものではない。傷を抱えたまま日々を生き、誰かのために立ち上がる静かな瞬間もまた、確かな英雄の姿であることを、この巻は力強く語りかけてくる。
十五巻を読み終えたとき、読者はきっと感じるだろう。
――これは物語の合間ではなく、物語そのものだ、と。
そしてまた、この先に待つ冒険と成長が、さらに豊かで尊いものになる予感に、胸が静かに高鳴る。