あらすじ
停戦から3年。永きにわたる共和国との戦争は、帝国に深い傷跡を残した。飢餓・疫病・兵隊の野盗化…。それは“戦災”という名の、もう一つの戦争だった。これを憂慮した帝国陸軍は情報部内に第3課を設立し、戦災復興任務に当たらせた。その実、軍部の予算獲得のための方便であり、臣民の不満を抑制する“言い訳”でしかない彼ら。だが、社会を覆う欺瞞のブ厚い皮を切り裂き、内部の腐敗を暴くことを真に実践する彼らは、自らを『パンプキン・シザーズ』と呼び、任務達成に向けて今日も邁進する!
電信を通じた『抗・帝国軍』に対しての訴えを終え、剣隊長『蠍の剣』を死闘の末に倒したアリス少尉。帝国の反撃が進む中、現れた巨大陸上戦艦『蠍の王冠』は圧倒的な火力で、帝都を蹂躙する。
一方、陸情1課の強襲制圧部隊『第1の大剣』は、人質にされた各国要人を救うために『言語の塔』に突入を始めた。
人質となった一部の要人を救出し、国家の存亡に関わる交渉を開始したケルビム中佐。砲弾が飛び交う戦場の中、特許違反を盾に各国の大使達と“密約”を結ぶべく舌戦を繰り広げる。瀕死の帝国を救う道は!?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
4年ぶりくらいの新刊です。
ネタバレしようにも出来ない内容なんであれですが、情報量がとんでも無く多いです。
目が滑って読み飛ばしたくなるかも知れない、でもしてはいけない。全部読んで、雰囲気を噛み締めてほしい。
読んだ後に息を吐くかもしれない。
カッコ良すぎるんだよなぁーーーーー!!(語彙力)
匿名
続き待ってました
本誌、休載で途切れたので長く待ちました。復活、大喜びです。
ケルビムさんの高速情報網の懸念はインターネットの現在を予見しての事でしょうが、作中世界では百年近く先でしょうね。電信から無線ラジオ、テレビを経てインターネット時代にならないと民衆規模の情報の氾濫は起きないでしょう。だからこそ、インターネットを締め出す国もラジオやテレビは国民統制の手段として認めてるし、戦前、戦中のプロパガンダのメディア統制が出来たのだから。
Posted by ブクログ
とんでもなく久しぶりの新刊が「描く方にも、読む方にも、とんでもない労力を強いる内容」だったとは思わなかった。本の小口が真っ黒になっているのは伊達ではない。
この24巻の筋道を作り上げるまでに作者はどんだけ頭を抱えたものだか想像に難くない。1年休んでいいよ、マジで。
この巻は「現代世界に通じる情報の恐ろしさ」をただひたすらに種明かしした巻であり、おそらく今後の本作品のキーにもなりうるもの。
そして恐ろしい点が、読者に対し「流し読みを許さない」ものであることだ。流し読みをすればあっという間に読み終わるだろうが、それは中身が全く頭に入ってない証拠だ。逆に理解しようと思えば「嫌でも脳みそフル回転で1ページずつ読まざるを得ない」という構造になっている。
おまけに第3課の愉快な面々はほぼ出ないと来てるし、笑えるコマは本当にわずか数コマしかない。しかし内容からすれば当然である。出番があるはずもない。
25巻がいつになるのか想像すらできないが、それは今回とは打って変わって作者読者とも気楽に読める一冊になることを期待する。(温度差に風邪ひきそうだけど)
遅すぎた或いは早すぎた遅延戦術
2018年末の新型コロナウイルス感染流行の影響か、前巻から発行がかなり発表が遅れてしまった。
前半ではテロという混乱の中で正常な判断を揺さぶられた状態で、選択を選ばなければならない人々と選択を突き付ける者の対比が描かれ、
後半ではその善悪を問うこと、それ自体の正誤に関して物語が展開される。
情報というものが武器となる状況の中で、それを持つものに対しその危険性、性質を問い、その上で情報の発信者と受け手双方の熟慮、熟成を求める。
情報の速さは正誤とは関係なく、情報を受け取ってから判断は個々人に善悪という正誤が問われる。それ故に正義の判断、行動が全てのものに問われる。
されどもなるべく良い方向に結果が向かうように、時間の経過をとある人物が求める。
時の流れが情報の発信者と受け手の熟成を促すかは未知数であるが、それでもなお混乱から立ち直る時間を求めるとある人物の行動が、矛盾するような書き方ではあるが暗黒の星のごとく輝いて、灰色の暗闇を照らさんとしている。白か黒かでいうと黒だと自らを評しながらもなお、である。
伝染病の流行が社会に混乱を齎して久しいが、されどもこれは今後も人類の歴史に起こり続ける事象なのだ。故に、人類には情報処理の能力が問われる。この物語は人類に対する問題であり、もはや遅く或いはまだ早すぎる物語なのではなかろうか。