あらすじ
水の事故で死んだはずの、「あの子が生き返ったの!?」
紅雲町にやってきた親切と評判の男。ある日彼は小蔵屋を訪ね、自分はお草の息子・良一だと名乗り出る。
男は何の目的で良一を騙るのか、それとも……
ほろ苦くも胸を打つ、累計70万部突破の大ヒット紅雲町珈琲屋こよみシリーズ第8弾。
※この電子書籍は2020年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
紅雲町お草さんシリーズ第8弾。
前作で山男の風来坊とつきあうようになった久実は、
いろいろありながらも何とか続いているようで良かった。
今回はお草さんの下に、亡くなった息子が現れる。
当時お草さんの味方であり、乳母だった女性が、
実は引き取って育てていたと言う。
結局はその女性がついた嘘で本物の息子ではなかったが、
初老の男性が実母を求めてやってくるのは、
たとえ純粋な気持ちだったとしても、どうも気味が悪い。
しかも金に困っている最中に。
お草さんが金目当てだと思うのもごもっとも。
雑誌の手違いでお草さんが亡くなったことになってしまい、
アル中の薬局の店主が、入院を決心したのには笑えた。
Posted by ブクログ
草の前に表れた良一を名乗る男。
誠実そうなこの男は、死んだはずの息子なのか、詐欺師なのか。
騙す為の嘘、正しい道へと導く為の嘘、相手を思いやる為の嘘。
嘘、とは言えないハプニングも最後にはありましたが(笑)
戦争、アート、破綻した夫婦生活、失った息子。
辛い過去が蘇るが、終盤、キクとの再会が胸を打った。
「小蔵屋は、和食器とコーヒー豆だけのお店じゃないのよ。だから、愛されるの」
久実ちゃん、良いこと言う。
草、久実ちゃん、江子、石井、キク。
女性達は逞しく、強い。