あらすじ
北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を営む、お草さん。
彼女の日常にふと顔をのぞかせる闇が読者をグイグイ引き込む大人気シリーズ第6弾。
秋のある日、草に旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。
これをきっかけに、初之輔と再会した草は、彼の苦しかった人生を元気づけるために、彼の短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。
この小本の印刷を依頼した小さな印刷会社の個人データ流出事件に草は巻き込まれる。
草の働きによって、印刷会社周辺の人々の記憶までもが明るく塗りかえられてゆく。
「一つほぐれると、また一つほぐれてゆくものよ」
逃した機会、すれ違い、あきらめた思い――長い人生、うまくいくほうがまれだったけど、丁寧に暮らすのが大切。
お草さんの想いと行動が心に染みる珠玉の一冊。
※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
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生きていると色んなことがある。届かない言葉やすれ違う気持ちはどんな人にも必ずある。でも、たとえ時を経たとしても重なる思いが重荷をほぐしてくれることもある。
平凡で大変な毎日でも、生きてくのも悪くないなと思わせてくれる小説。
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紅雲町お草さんシリーズ第6弾。
旧友から小包が届き、お草さんは彼の書いた小説を活版印刷で、
印刷してもらうことにする。
印刷会社の個人情報流出事件に巻き込まれるのも騒動だが、
彼の想い人が亡くなったとおもっていたが、
亡くなっておらず、しかも想い人はお草さんだったとは。
お店のアルバイト久美に、お見合い話と恋愛話が一気にきたり、
印刷会社社長の伯母の自殺の真相を探ったりと、大忙し。
でも久美さん、両方とともうまくいかなくて残念だった。
最後には、別れた夫からもらった手紙を受け取り、
当時を偲ぶお草さん。
それにしても、
自家製焼き豚をレタスが何重にもなっている、
サムサムサンドの焼き豚レタスサンドが食べたい。
濃厚ソースカツサンドも、ふっくら玉子サンドも。
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シリーズ第6弾。
今回は昔の仲間がらみ。(お草さんの元夫が芸術家だったとは分かっていなかった。)その頃ころの仲間の初之輔から、草とバクサンに絵巻が届く。昔の思い出として、バクサンと草は彼の物語を自費出版してプレゼントとすることを試みる。そんな中で地元の大手企業と下請け業者の関係、発覚した問題などなど、今回も日常ミステリが盛り込まれた。
好きな活版印刷などが出てくる関係か、紅雲町シリーズでは一番良かったかも。
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読み終えて、じわじわと温かなものが胸にこみ上げた。苛まれた過去も、ふと出会い直した時には慰めてくれるものに変わったりする。今だからこそ、今が在るからこそ受け取れるものがある。
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シリーズの中で、私には最も合っているように思いました。一番面白く感じた、ということかな。
登場人物が動いていく中で、それぞれの人間性がこれまで以上にはっきりしてきたように思えたから、と自己分析しています。お草さんがなんだかとっても楽しんでいるようで、それが嬉しい。
もちろん、事件が起きるということはそこに悪意とか自分に対する過度の愛情とか、そういうものを持っている人がいるということになるのだろうけれど、それが最小限に抑えられて、あとは何とも言えない良い人がたくさん、あたたかな印象を残す人がたくさんいるということが、とてもうれしく感じました。
次作では、今回、課題(?)として残されたかに思えることに、新たな人間関係ができるのかな。
楽しみです。
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旧友の初之輔から届いたのは、彼が若かりし頃に書いた小説に絵を添えた巻物。お草さんは、その小説を活版印刷の本にしようと、印刷会社に制作を依頼するが、そこで個人データの流出事件に巻き込まれてしまう。さらに関係者の過去も…
お草さんの行動力で過去の真相も明らかに…でも、それを明らかにするかどうかの葛藤するのはわかる気がする。明らかにした方がいいのだけど、当事者にしたら…って考えさせられた。ミステリーとしては謎が解けてスッキリなんだけど。それと久美ちゃんの恋愛は今回も残念だった…あと、サムサムサンド美味しそう(^ω^)
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草は,捨てた物失った物いっぱい有り.残ったのはこの店だけ,この店を守りながら一生懸命生きている。色々な事件など解決をし皆の力となり、生活の中に溶け込んで暮らしている。こんな年配になりたいものだ。
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歳を取ってから感じる幸せを、お草さんが感じているシーンなんかを読むと、長生きしてみれば良いことあるのかなって思えて生きる希望にもなるんだよね。
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お草さんシリーズ第6弾。
初めて(か、久々に?)お草さんのお節介を大きなお世話でしたと受け止めた人がいたな…と思いました。基本的に、最終的にはこれで良かったみたいにはなるんだろうけど、スパッと切り替えられる人もいれば時間がかかる人もいるのは人なので仕方ないです。
久実ちゃんも萬田さんも良い人だ。咲紀子さんもだけど。今後も3人仲良くしてそうな気がします。どんなに仲良さげなキャラでも以降出てこなくなるのがお草さんシリーズではあるのでそこは寂しい。
お草さん、バクサンさん、ご友人の初之輔さんが思い出の場所で撮った写真をお草さんが「あの世みたい」って言い表すの、年取るとこういうのサラッと出てくるようになってしまうんだろうなと思いました。
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文庫本で再読(^^)最初に読んだ時は「サムサムサンド食いてぇなぁ( ̄¬ ̄)」とお気楽な感じだったんだけれど、雪かき疲れのせいか今回は「あぁ…久実ちゃんが居てくれたら、雪かき手伝ってくれるのに…(-。-;)」と話と全然関係ない事を考えてた(--;)