あらすじ
累計80万部の人気シリーズ! 逃避行を続けるふたりはどこへ?
80万部突破! ヒロインは小粋なおばあちゃん
<紅雲町珈琲屋こよみ>シリーズ最新文庫
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営むお草は、愛用していた帯留を一度は売ったものの、手放したことをずっと後悔していた。
そんなある日、それが戻ってきたと連絡がくる。
さっそく東京の店に向かうお草だが、そこで、旧知のバーの雇われ店長が血痕を残して忽然と姿を消し、どうやら殺されたらしいという話を耳にする。
その後、お草は、新幹線の中で何者かに追われている母子に出会い、事態は思わぬ方向へ……。
お草さんが容疑者に!?
逃避行を続けるふたりはどこへ──
甘いだけでない、ちょっとビターな物語。
※この電子書籍は2022年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
小蔵屋を久美に任せて、所用で出掛けたお草さん。ある少年との出会いから、いつもよりスリリングで仄暗い世界へ引きずり込まれる。
見て見ぬふりをするのは簡単。
だけど、つい善意の手を差し伸べてしまう、お人好しのお草さんの周りには、心根が良い人が集まってくる。幻想でもいい。彼らの幸せを祈らずにはいられない。
Posted by ブクログ
いつもの小蔵屋をイメージして手に取ると、おやおやおや?お草さん、めっちゃハード〜!
ふだんは紅雲町を舞台にした日常の謎が横糸で、お草さんの人生そのものが縦糸。だから今作はちょっと異色に見える。とはいえ、人との繋がりがもたらす合縁奇縁というか、長い人生歩いていれば思いがけないこともあるよなと思った。自分も年をとってきたからかも。
Posted by ブクログ
紅雲町お草さんシリーズ第10弾。
いつになくハードボイルドなお草さん。
以前登場したこともある長い間の想い人から預かったものの、
手元に置くには苦しく手放してしまった帯留め。
骨董屋に戻ったと知らされ、買い取りに向かったことから
届け物を頼まれ、子供連れで、ヤクザより質の悪い男に追われることになる。
その男だけでなく、誘拐犯として、新幹線の車掌や警察からも逃げ回る。
のんびり京都を旅するはずだったのに。
そこへ、久美の恋人一ノ瀬の知人、元警察官の男の恋愛話がからんできて、
ちょっとややこしい。
むかし、お草さんが救えなかった男の子が大人になり、
同じ苦しみの中にいた少年とともに日本を脱出するラストで良かった。
Posted by ブクログ
お草さんがサスペンスドラマの主人公になったみたいでした。火サスや土曜ワイドを喜んで見ていた世代なので、すごく楽しめました。ただ、あまりに非日常すぎて、お草さんや小蔵屋の商いをしみじみ味わう感じではなかったです。次作ではしみじみしたいです。
Posted by ブクログ
長い約束/メジャーと竹尺/湖に降る/
神様の羅針盤、くまの寝息/薔薇色に染まる頃
本格的なミステリーだと思いました。ドキドキしながら読みました。お草さん たくさん動いて考えて、お疲れ様でした。
Posted by ブクログ
急にアクションものになったようです。
お草さんは人との繋がりを大切にする人。繋がりを切ることができないと、その結び目は多様な形になっていくのだなあとしみじみ思う。
結び目ゆえのトラブル、そして結び目がもたらす救い。
少し読んだ段階で「薔薇色ってどんな色?」と、単純に思った。薔薇と聞いてすっと頭に浮かんだのは深紅の薔薇、深紅で良いのかな、暗赤色?固まりかけた血の色のような薔薇がなんとなく薔薇らしい薔薇のような気がした。しかし、「深紅の薔薇」という言い方があるということは、本来の色は深紅ではないということだろう、などと考えたところで、辞書を引くのが一番と思った。
「うすくれないの色。淡紅色。ピンク色。」とある。マゼンタに近いピンクという表現もあった。桃色よりは濃い色なのだろう。薔薇色の人生は単純な桃色ではないんだろうな、
読み進むうちに薔薇色のことは忘れていた。なにせ、アクションものだから。しかし、結末、薔薇色は鮮やかに目の前に現れる。そうか、これは橙色ではいけない。薔薇色なのだと思った。
お望みの結末、というものかもしれない。
今作のゲスト出演者にとってのお望みの結末なのだろう。しかし、薔薇色なのはこのシリーズのレギュラー出演者の生活の一部、そうだ、その一部とは5分くらいかな、それぞれの繋がりの中で大切な部分の、その核心の5分くらいの部分が薔薇色になっていったのに違いないと思う。
まあ、しかし、お草さんにはアームチェア・ディテクティブであってほしいと思う。
ハラハラドキドキも悪くはないけれど、気持ちとしては紅雲町の中で、完結してもらいたいと思う。
まあ、たまには外に出てもアクションもよいですけどね。
Posted by ブクログ
シリーズ第10弾。
あれ?小蔵屋シリーズってこういう感じだったっけ?急にハードボイルド感が出て、なんだか読みながら迷走した。
お草さんの帯留から始まった一連の事件、逃走劇?!最後に丸く?おさまったのはよかった。みんなが幸せになれますように。
Posted by ブクログ
京都行かないんかーい。
新しい和食器との出会いがあったりするのかしらなんて呑気に読んでたのに。
「薔薇色の人生」といったら素晴らしいもののように思えるけれど、本作の終わり方では薔薇色とまではいかなそう。
これからも苦労はしそうだけど、今よりはましなはず。
いつか薔薇色に辿り着いて欲しい。
「本シリーズは、まだスマートフォンが一般的ではなかった頃の物語です。」と注釈があった。
現在のお話じゃなかったんだ、気がつかなかった。
ちょっとわかりにくかった。
一度読み終わってから一ノ瀬の部分だけ拾って読み直した。
──
本作でシリーズ10作目
誰は何巻に出てきたとか登場人物の解説が欲しくなってきた。
(自分でメモしながら読んでいけば良かったのだけど…。)
一巻から読み返したいけど、まだ読んでない本も読みたいし悩ましい。
萩を揺らす雨
その日まで
名もなき花の
糸切り
まひるまの星
花ひいらぎの街角
黄色い実
初夏の訪問者
月夜の羊
薔薇色に染まる頃
Posted by ブクログ
著者の本は初めて。しかも、本書で10冊めを数えるシリーズ連作物の最新刊だったとは、読み始めるまで全く知らぬ存ぜぬことだった。その点は、ある意味、失敗だったか。
しかし、面白かった。
予備知識ゼロで読み始めたものだから、これがどんな物語なのか皆目見当が付かない。果たしてラブロマンス物なのか、青春小説?コメディなのかホラーなのか?それともはたまたSF大作???
...だもので、読み始めて間もなく、筋書きにある種剣呑で物騒な展開が描かれ始めて来た頃から、次第に「おっと、これはちょいとしたサスペンス仕立ての物語なのだな」とようやく理解。「それなら」と腰を据えて読み進めると、これが期待していた以上に面白く読める。ある意味、これまであまり読んだことの無い、個性的な表現や組み立てを持つ小説なのだ。
特に、残り僅か10数ページに迫った最終段階。「これで本当に完結するんだろうか?まさか『次作に続く』で終わるとか???」と不安になったが、サニアラズ。「そうか、こう来たか!」と、思わず膝を打つような、予想外かつ痛快なクロージングで唸らせる作話術。いやあ、大したものだ。
これならシリーズ第1冊に遡って読み始めるのも悪くなさそうだ。