あらすじ
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営むお草は、朝の散歩の途中、
〈たすけて〉と書かれた一枚のメモを拾う。
折しもその日の夕方、紅雲中の女子生徒が行方不明に。
その後、家出と判明するが、では助けを求めているのは、いったい誰なのか?
日常に潜む社会のひずみを炙り出しつつ、読む人の背中を押してくれる人気シリーズ第9弾。
※この電子書籍は2021年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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紅雲町お草さんシリーズ第9弾。
久美は紆余曲折あるものの、
一ノ瀬との同棲生活が続いているようで良かった。
今回は引きこもりの息子と母のお話。
9年引きこもっている45歳の息子が、
母親が倒れても、救急車も呼ばないし部屋からも出てこないと言う、
自分からしたら少々気味が悪い展開だった。
一度はきちんと働いていたとはいえそんな息子が、
お医者さんの訪問と、
お草さんの良い意味でしつこい働きかけで、
社会に復帰するまで至るのは驚きだった。
行方不明の女子高校生の話は、
道草まで禁止の校則の話になり、
学校で掲示されていたのに廃棄された昔の生徒たち写真を
小蔵屋で展示する話、
OBOGたちが臙脂色を身に着けて反対を示す話になって、
こちらの方が面白かったかな。
Posted by ブクログ
小蔵屋さんは相変わらず繁盛してますね。小さな町の雑貨屋さんてそんなに人が入るんだろうか。若い二人にも不穏な展開がチラっと見えて、ゾワゾワしますね。
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中学生の失踪、わからず屋の中学校長、空き家問題、引きこもり、久実ちゃんと一ノ瀬の同棲まで絡んで……紅雲町、なかなか入り組んでる。でも、現実もそうなのかな。
読み始めると、不思議なくらい一気に紅雲町の世界に引き込まれる。今回もお草さんはかっこよかったし、由紀乃さんとのやりとりがいい。器のセンスも素敵。
断水騒ぎで来店がうやむやになってしまったあの会が妙に気になる。
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日課の散歩の途中で拾った「たすけて」と書かれたメモ。
一体誰が書いたのか。
一度気になったら放っておけないお草さんの行動力は凄い。
会社、学校、家族。お草さんには関係のないところで起きている問題を、お草さんの地道でささやかな行動が解決してしまった。
回り回って繋がっているという感じ。
押し付けがましくないお節介が、誰かの背中を押してくれる。
久実ちゃんと一ノ瀬さんは、これからどうなっていくんだろう。
幸せでいて欲しい。
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お草さんが拾ったメモ用紙には「たすけて」。夕方には女子中学生が行方不明の一報が。
いろいろな情報を耳にしながらお草さんは考え、動く。読みきれない人の心を考えの隅において。
そして出会うのは……
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「たすけて」と書かれたメモに対して、私は向き合う自信がありません。巻き込まれて怖い目に遭うのは嫌だし、自分が力になれるとも思えない。お草さんは、そのメモを書いた人の置かれた状況にまで思いを馳せて、何か出来ることがあるなら…と、手を差し伸べようとする人。現実には難しいかもしれないけれど、困っている人に寄り添う気持ちは忘れないでいたいと改めて思いました。
しかし、私が中学生だったのは40年以上も前だけれど、未だに髪型や服装にくだらない校則があるのには驚きます。「みんな違って、みんないい」と言いながら、みんなと同じであることを強制する学校という場所には、馴染めない方がまともなんじゃないかとさえ思います。校則なんて、全部なくしてしまえばいいのに。「人にやさしく」これだけ守ることができれば、充分だと思います。
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人がいるだけトラブルあり(^◇^;)
今回、そんなトラブルに巻き込まれてしまうお草さん。
近所との付き合いが希薄になっているだけに、人ごととは思えないでしたね。
実際、私は父の介護もあり、若い頃には思ってなかった身体の不調もあるし……。
そんなことも考える作品でした。
Posted by ブクログ
紅雲町珈琲屋こよみを知るきっかけになった本。ようやくここまでたどり着いた。
シリーズ第9弾。
「助けて」という紙を道端で拾う。果たしてこの紙は”本物”なのか?お草さんが出会った家族とは?