【感想・ネタバレ】宰領―隠蔽捜査5―(新潮文庫)のレビュー

同じキャリア警察官の主人公「竜崎」と、幼馴染「伊丹」の物語。
とにかく「竜崎」のキャラ設定が秀逸!万事の『原理原則』に忠実で、しがらみの多い警察機構の中、ただひたすら『正論』『理屈』を武器に超合理的に全てを進めていく姿が痛快になってくると、あなたは立派な「竜崎」ファンです。堅物過ぎてヤな奴なのは否めませんが、対照キャラの「伊丹」が、それだけじゃないことを読者に説明してくれます。
的確な判断と部下への指示。こんな上司なら一生ついていきたいっす(かなり堅苦しいけど)。
ドラマ出演者が形容したのは「警察版 半沢直樹」。主人公のキャラは全く違えど、組織内の権力争いとスッキリする読後感は確かに似ているかも。1巻ごとの完結ですが、続巻も読みたくなること必至!そして続巻も期待以上です。(書店員・ラーダニーバ)

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Posted by ブクログ 2024年03月28日

隠蔽捜査シリーズ第5作

与党の大物議員牛丸が姿を消した。
大森署管内で議員の車が発見され、車内には運転手の他殺体が残されていた。
そして犯人と名乗る男から、牛丸を誘拐したと電話が入る。
その後の捜査で犯人と牛丸が横須賀にいる可能性が高くなったため、横須賀署に前線本部を組織し、竜崎が指揮を取ることと...続きを読むなる。

しかし、警視庁と神奈川県警との確執、キャリアに反感を持つ刑事課長、難航する捜査、竜崎の前には乗り越える山がいくつも待ち構えていた…


今回は息子の3度目の東大受験と事件が重なってしまった竜崎。
以前と比べると家族に対してずいぶん気持ちを伝えられるようになっている。

捜査に関してはいつも通り、安定の頼もしさ。
そして勘も冴えわたる。
伊丹とのやりとりも面白かった。
最終盤にはドンデン返しもあって大満足の一冊だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月12日

今野敏「隠蔽捜査」シリーズ長編第5作目(2013年6月単行本、2016年3月文庫本)、短編集も含めて6作目だ。
今まで通り主人公は元警察庁長官官房の総務課課長、大森署に署長として左遷された竜崎伸也47歳、東大卒のキャリアで階級は警視長である。家族は主婦の妻冴子、大学を卒業して広告代理店に勤める娘美...続きを読む紀、3回目の東大受験試験日を2日後に控えた2浪の息子邦彦の4人家族。
そしてもう一人の脇役主人公が警視庁刑事部長の伊丹俊太郎47歳。竜崎の幼馴染、小学生の同級生で私大卒ながら入庁キャリア同期生で同じ警視長である。

今回の物語は与党の衆議院議員牛丸真造が行方不明になったことから始まる。秘書の田切勇作から非公式に伊丹に牛丸行方不明の連絡があったのだが、内密の調査依頼だった。田切は竜崎らより3期下の元警察キャリアだ。程なく牛丸の車の運転手の平井進が殺害され、大森署管内で発見されるが、同乗していたと思われる牛丸の行方は依然不明。殺人誘拐事件として大森署に伊丹が本部長、竜崎が副本部長の指揮本部が設置される。
犯人から警察に電話があるが要求は敷いていた報道規制を解き、事件の報道をさせること。奇妙な要求に応対する警視庁特殊犯捜査係(SIT)の係長はシリーズ2作目の立てこもり事件の時の下平だ。竜崎との信頼関係はばっちりだが、電話の発信場所が神奈川県警管轄下と判り、前線本部が横須賀署に設置される。
犬猿の仲の警視庁と神奈川県警の合同捜査になり、前線本部の本部長は神奈川県警の本郷刑事部長、竜崎より2期下のキャリアで階級は同じ警視長。そして伊丹と本郷の話し合いで、竜崎が副本部長として入り、実質的に指揮を執ることになるのだか、一筋縄ではいかない神奈川県警の板橋捜査一課長が竜崎に反発してくる。年齢は竜崎と同じくらいのノンキャリアのたたき上げと思われた。
横須賀署の若いキャリアの島村署長は今回は裏方にまわり、そして板橋にはどうもいい感じは持っていないらしく、竜崎の味方になると確信する。
逃走経路を道路ではなく、運河と推理した竜崎はボートの目撃証言の聞き込みを指示、白いプレジャーボートが捜査線上に浮かび上がり、オーナーの倉持勲のボートから血痕が検出される。しかし事件の前日に盗難届けが出ており、ボートの操縦者が犯人の可能性大という方針で捜査は進む。
操縦者の特定でも竜崎の方針に板橋も本郷も従わず別の容疑者を想定して捜査進行する。結果的には竜崎の推理が正しく、倉持の息子倉持雅史25歳が犯人と特定、潜伏先のアパートに神奈川県警特殊犯捜査係(STS)の小牧係長に突入を許可、犯人を確保、牛丸議員も無事保護する。
突入に関しては伊丹からSITの到着を待ってSITに突入させろと命令されるが、警視庁と神奈川県警の縄張り争いより人質の人命を優先、命令を無視する。失敗すれば免職に追い込まれることを覚悟の命令無視だが無事成功し、竜崎の原理原則の捜査にSTSも板橋も驚き、そして敬意を抱く。キャリアに反感を抱いていた板橋捜査1課長も竜崎の軍門に下るのだ。
竜崎の原理原則の捜査の仕上げは犯人の警視庁への移送だ。これに本郷は真っ向から反対する。神奈川県警本部長から本郷へ強い命令が出ていることを知った竜崎は本部長の自宅へ押し掛け、ここでも原理原則の捜査で論破してしまうのだ。本部長の階級は警視監で竜崎より上なのに論破する竜崎が実に痛快なのだ。
ところが事件はこれで終わらない。倉持雅史は平井の殺人も牛丸の誘拐も自供しており、伊丹も管理官もそれで送検しようとしていた。
如何にも誘拐が目的で殺人は成り行きの咄嗟の出来事のようになっているが、それに待ったをかけたのが竜崎だ。そして運転手平井の殺人が目的で牛丸議員の誘拐は偽装だとわかり、この計画殺人事件には元警察キャリアの田切秘書も加わっていることも突き止めるのである。
平井が牛丸議員の少女買春や贈収賄のネタを週刊誌に売ろうとしていたことが牛丸と田切の平井殺人計画の動機ということらしい。物語の見処中心は竜崎の警察組織への痛烈で痛快な行動、言質なので事件そのものは何でもいいような気もするが、この計画殺人に偽装誘拐事件が必要か?誘拐事件に引き込んだ倉持を最後どうするつもりだったのか?あまりにもリスクが高すぎるビジョンがない計画と思うのは私だけでしょうか?元警察キャリアが計画した殺人偽装誘拐事件とは思えない稚拙な計画なような気がする。
最後に竜崎の息子邦彦が体調不良を押しての受験で見事東大合格にほっとするのは竜崎の家族だけでなく、読者もきっと同じだろう。これからのこの家族の行く末もどういう展開になるのか楽しみだ。

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Posted by ブクログ 2024年01月28日

感想
いつも通り原則に従うことで事件を解決に導いてしまう。しかし、現実的には都内の警察署長が、神奈川県警の現場で指揮にあたるなんてあり得なそう。

そして、いつも家族に何かあるよね。面白いけど

あらすじ
現職の国会議員が姿を消した。大森署管内で車が発見され、運転手の死体が見つかった。一方、誘拐を仄...続きを読むめかす電話が警察かかってくる。大森署に捜査本部を設置し、逆探知の結果、犯人が横須賀から電話していることが分かり、現場指揮を取るため、竜崎は横須賀署へ向かう。

その頃、邦彦は明日が三度目の東大受験という日に高熱で倒れる。竜崎は前線で神奈川県警の刑事部長や捜査一課長の扱いに手を焼くが、ボートを手掛かりに犯人を特定し、議員を救出。さらにその裏にあった謎まで解き明かす。

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Posted by ブクログ 2021年06月16日

警視庁と神奈川県警との反目を竜崎がどのように捌くか
心ある人は竜崎とかかわるとみな敬愛するようになるんやな

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