梓澤要のレビュー一覧

  • 越前宰相秀康
    徳川家康の次男、結城秀康の物語。
    私の推し武将である。

    家康の長男・信康は母親の築山殿とともに、織田信長の命令で殺され(理由は、武田方と内通というのが定説)秀康は実質上の長男となったのだが、跡を継いだのはご存知の通り三男の秀忠だった。

    十一歳で豊臣秀吉の元へ養子という名の人質に取られ、秀吉に男児...続きを読む
  • あかあかや明恵
    鎌倉時代の華厳宗僧侶・明恵(みょうえ)上人の生涯を描いた歴史小説。その奔放な一生にずっと付き従ってきた架空の世話人イサの思い出話として物語が進みます。イサは15歳年下ながら直属の弟子ではない在家者、いわゆる寺男ですから、変に明恵を美化したり神格化したりしません。耳を切り落としたり、島に手紙を書いたり...続きを読む
  • あかあかや明恵
    なかなか重みのある一冊だった。主人公の明恵(みょうえ)と一生を供するイサの物語は人の心を鷲掴みする感動を頂いた。
  • 荒仏師 運慶(新潮文庫)
     運慶に関する本を読んでいる。運慶がなぜ仏像を作るのか?という内面的な葛藤に迫って書かれていた。仏像に向かう姿勢が、心の葛藤の中から生み出されている。運慶にしか彫れぬ仏像がどう作られていったのか。そして、息子湛慶などをどう導くか。快慶との関係がジリジリするほどだ。
     本書は、運慶の目で描かれている。...続きを読む
  • 画狂其一
    面白かった! 
    鈴木其一が好きで見つけた本。
    人柄、時代背景もなるほどと思うし、何より絵師たちの衝動や情熱、生業としての絵を見る目線に頷かれられた。
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    仏教の教えが、よく分かります。
    仏教の教えはお坊さんだけのものではなくて、現代社会の中で忙しく働きながら、誰にでも心掛け一つでできる修業があるということがよく分かりました!
    いい本に巡り会えました。
  • 井伊直虎 女にこそあれ次郎法師
    600ページの長ーい小説。でも飽きることなく最後まで面白く読めました。
    梓澤要の本をはじめて手にとりました。男性の小説家と思っていましたが、読み始めると文章がなんだか女性っぽい。調べてみたら女性でした。
    永井路子や杉本苑子の女性小説家の歴史小説が好きなので、親しみやすかったです。
    梓澤要の別の小説も...続きを読む
  • 越前宰相秀康
    ちょくちょく井伊直政の出番があるのが嬉しい。女性陣も丁寧に描かれていて好感が持てる。けどね、家康の9男義直を紀州徳川家祖とか、そこ間違えたらいかんだろ!
  • 阿修羅

    阿修羅

    面白く古代史の具体的な人物がいきいきとでてきて一気に呼んでしまった!阿修羅像の謎めいた表情との関わりが・・
  • 越前宰相秀康
    「愛されない息子」となってしまった秀康の悲劇的な生い立ち…やがて「なかなかの器量人」と声望が高まる中での嫉妬と“脅威論”…それでも尚、自分なりの理想を追う秀康と、お万を始めとする見守る人々…なかなかに好い物語だった。
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    ほぼ一千年前の時代を
    市井の聖「空也」を軸に
    描いた秀作

    作家さんの想像力は
    ほんとうに凄い
    これまでにも 何度か
    その思いは抱きましたが

    六波羅蜜寺のかの空也聖人の像が
    まさに息吹を吹き込まれ
    その「念仏」が聞こえてくる
    安時代の末期の混乱状況が
    リアルに描かれている分
    空也さんの吐息まで
    ...続きを読む
  • 画狂其一
    江戸時代の画家、酒井抱一と弟子の鈴木其一。2人の画家としての矜持と師弟関係を超えた繋がりを描いた歴史ドラマ。
    抱一が師と仰ぐ尾形光琳くらいしかこの時代の画家を知らなかったが、江戸時代の末期に様々な画家や歌舞伎役者達によるこの時代の文化、生活、繁栄、道楽、修行、旅行などの雰囲気が躍動感を持って表現され...続きを読む
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    「阿弥陀聖」、空也の生涯を描いた小説。

    「捨ててこそ」とタイトルにもあるように、空也は生涯にわたり、さまざまなものを捨てていく。
    叡山の貴族に奉仕する仏教とも距離を取り、「市の聖」「阿弥陀聖」として、利他とすべての人の苦しみを救うことに身を捧げようとする。

    現代人は「人を救う」ことに対し、まして...続きを読む
  • あかあかや明恵
    高山寺の明恵上人の仏道を追い求めた生涯。寺に捨てられたイサが従者として仕えた上人の在りし日の姿を語る。そのひたむきさ、自分への厳しさが心を打つ。耳を切り落とす場面など、まず最初に驚かされ、子供っぽいところにはほっとし、人への優しさと厳しさに魅了された。「あるべき様になる」とは見習いたいと思いました。
  • 方丈の孤月―鴨長明伝―(新潮文庫)
    方丈記は、古文でもあり、無駄をそぎ落とした文章なので、作者・鴨長明はさぞ高潔な人物だと感じていたが、本書ではとても人間臭く描かれている。神職の家に生まれたが、生来の人付き合いの悪さと逃避癖から神官としては大成せず、下鴨社の正禰宜であった父の死後に零落していく様は、彼の棲む世界を巧みに泳ぎ切れない悲哀...続きを読む
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    歴史小説を多く書く梓澤要による小説。平安時代に「南無阿弥陀仏」と唱える念仏を広め市井で活躍した僧侶、空也の一生を描いている。仏教いいじゃんと思わせる内容だった。

    以下ネタバレあり。
    印象的なのは、信心深くない人も多い中で空也が地道に社会事業を営み、それを経て空也を慕う人が増えていったストーリー。社...続きを読む
  • 方丈の孤月―鴨長明伝―(新潮文庫)
    鴨長明の生涯をテーマにした小説。武士中心の政治への転換が進む環境で、名家出身者の困惑と達観が感じられる一冊。方丈期はこういう心持ちで、描かかれたろうと感じられた。
  • 万葉恋づくし(新潮文庫)
    わが背子が来むと語りし夜は過ぎぬ しゑやさらさらしこり来やめやも
    (あの人が「来るよ」と約束したから、ずっと待っていたのに、夜はむなしく過ぎてしまった。もう金輪際、間違ってもやって来たりするもんですか。ええい、悔しいっ。どうしてくれよう。)

    作者不詳のこの歌から作家の梓澤さんが紡いだ物語。
    パッと...続きを読む
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    読んでる間は空也上人が側に居てくださるような、何とも言えない穏やかな気分でした。また会えると思えたら、死もそんなに恐いものではないように思えるし。
    六波羅蜜寺にはまた行ってみよう。
  • 遊部(上)
    織田信長によって正倉院の秘宝の香木蘭奢待が持ち去られる。東大寺の薬師院院主実祐は、古代より正倉院を守ってきた呪術集団遊部にその奪還を命じる。遊部のスガル、オト、ハエン、お国を始め、松永久秀、その家臣村上新左衛門、明智光秀、堺の豪商で茶の宗主の宗久、誠仁親王、前の関白九条種通、美濃斎藤家家臣の娘お通、...続きを読む