万葉恋づくし(新潮文庫)

万葉恋づくし(新潮文庫)

小説・文芸
737円 (税込)

3pt

3.8

万葉歌人は、じつは恋愛下手でした――。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その他、下級役人の滑稽な同棲「紅はかくこそ」など全七編。歌人たちのおおらかで不器用な恋の一瞬を、みずみずしく描く傑作。(解説・上野誠)

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万葉恋づくし(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    万葉集の和歌を通した短編集。
    一つ一つの話に大きな盛り上がりはないのだけれと、和歌が書かれた当時の文化・風俗が描かれていて、特に当時の食べ物(麦縄とか)は想像しながら読み進めました。
    もうちょっと、自分過去の頃の文化に詳しければ、和歌や情景がすっと入ってきたのかな。

    0
    2021年01月11日

    ネタバレ 購入済み

    万葉集の中から2首の短歌をモチーフにした短編が7つ。

    「紅はかくこそ」うかれ女(遊行女婦)に惑う下級官僚を、年下の上司である大伴家持が歌で諭すが効き目がない話。
    「弟」家持が、体が弱く気も弱くて出仕も続かない弟・書持(ふみもち)の将来を心配するが、その書持の言で橘奈良麻呂の変に連在するのを躊躇する話。
    「年下の男」年下の家持にかき口説かれる紀郎女が、久しぶりの恋に翻弄される話。
    「おその風流男(みやびお)」大名児をめぐる草壁皇子と大津皇子の話を、大津の内舎人だった大伴田主から大名児の妹の沙羅女が聞かされる話。
    「醜(しこ)の丈夫(ますらお)」田辺夏雄が主の藤原麻呂とともに陸奥へ蝦夷の征伐に行かされる話。帰京後、麻呂は流行り病で命を落とすが、その際に大伴坂上郎女との恋を語る。
    「しゑやさらさら」パッとしない下級官僚の夫を持つ妻が、会いに来るという約束を違える夫を詰るコミカルな話。下級官僚の生活ぶりが詳しく書かれていて面白い。
    「恋の奴」穂積皇子の孫・広河女王が生前の祖父の但馬皇女や大伴坂上郎女との恋の歌を知る話。大伴書持再登場。

    全般的にコミカルで読みやすいものが多いが、万葉集の歌がベースにあるとはいえ、そこからこれだけの物語が紡げるのが素晴らしい。

    0
    2024年07月27日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    わが背子が来むと語りし夜は過ぎぬ しゑやさらさらしこり来やめやも
    (あの人が「来るよ」と約束したから、ずっと待っていたのに、夜はむなしく過ぎてしまった。もう金輪際、間違ってもやって来たりするもんですか。ええい、悔しいっ。どうしてくれよう。)

    作者不詳のこの歌から作家の梓澤さんが紡いだ物語。
    パッとしない冴えない年上の夫にすっぽかされ憤る妻、しかも夫が突然、金の無心をしてきます。
    これはついに出世を考えてのことかしら、と妻は喜びますが、実は借金返済に困っている友人のためだったのです。
    しかもあろうことか夫が別れ話を切り出してきました。
    子どもも小さいし「別れない!」と妻は言いますが、よくよく考えたら宮に出仕し第二の人生もいいかもしれないと思い始めます。
    夫の家を訪ねると、別れ話はなかったことにしてくれと夫が言います。
    栄転の話があり、一緒に行ってくれないかと言うのです。
    妻は「嫌よ!」と断りますが、夫が思いがけないことを言い出しました。
    それなら隣家の娘に頼むと。
    隣家の娘は十六で、どうやら夫に好意を抱いているようなのです。
    それにかっとなった妻。
    思わず「あなたには、わたしという、れっきとした妻がおります。出羽へはわたしが、ご一緒いたしますから」

    しゑやさらさら、しゑやさらさら…。
    ええい、こんちくしょうっ。
    なんだっていまさら、また、こんな男と…。


    なんとも微笑ましい話です。
    しゑやさらさら と思いつつ、この妻はきっとチャキチャキと新しい赴任地で家庭を整えていくのでしょう。



    他にも、単身赴任中に遊女と同棲してしまい、大伴家持にさりげなく諭される下級官人の話『紅はかくこそ』、家持の弟、書持(ふみもち)の不器用な恋『弟』、風流男(みやびお)の歌のやり取りが楽しい『おその風流男』等々、万葉の世界へ誘われる短編が六編。


    三十一文字へ込めた想いを幾重にも読み取る、推し量る、想像する。
    そんな和歌の文化が日本人の言わなくても察する、空気を読むという能力を鍛えていったのかもしれません。


    万葉の歌から物語を想像するのも楽しいと思わせてくれる本でした。

    0
    2021年08月27日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    Tさんのおすすめ。

    大伴家持、おおとものやかもち、という読み方ぐらいは知っているが、
    はてさてどこの誰だったか。
    万葉集を編纂した歌人らしく。
    歌、特に恋の歌を中心に物語が紡がれる。

    任官先の越中の女に夢中になった男。
    京の妻が乗り込んできたが、
    女の方は本気だったのか、気紛れだったのか。

    通ってくるのが面倒になったから別れてくれと夫に言われた妻は、
    一旦分かった、と言いながら、
    結局、任官先についていくと言い出す。

    和歌は全く分からないが、お話としてはまあ面白かった。
    ただ、短編どうしの時系列が前後するので、
    もともと大伴家持やその時代の知識がない自分としては、
    歴史の流れについていけなかった。

    0
    2021年10月11日

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