上岡伸雄のレビュー一覧

  • ワインズバーグ、オハイオ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    19世紀のアメリカ中西部・オハイオ州の田舎町の人々を描く短篇集。
    冒頭「いびつな者たちの書」で語られるとおり、この作品で描かれるのは「孤独・不安・疎外感」を感じている「完璧でない者たち」である。
    いずれの話も個人的な葛藤を題材にしているものの、それらを主人公の視点からとりまとめることで、19世紀後半の中西部の雰囲気を上手く描いている。
    ここで語られた「いびつな者たち」が、まさしく現在のラストベルトの労働者階級(ヒルビリー)になっていったのだと思うと非常に興味深い。
    個人的には、「考え込む人」のいかにもウブなセス・リッチモンドに最も感情移入できた。
    アメリカの田舎町の鬱屈を描くという点で、時代も

    0
    2025年02月04日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    スカウトは勝ち気で好奇心旺盛で赤毛のアンのアン・シャーリーっぽいなと感じました。また、噂話好き偏見差別があるの町の雰囲気は「ザリガニの鳴くところ」っぽい感じがした。
    スカウトを取り巻く人物たちが素晴らしい。ブー・ラドリーには泣かされたよ。

    0
    2024年01月16日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    1960年にアメリカで発行され、映画も有名な本書。1930年代のアメリカ南部が舞台。主人公のジーン・ルイーズ・フィンチ(スカウト)が6歳(小1)から3年生のハロウィンまでが描かれる。父は州議会議員で弁護士のアティカス。母はスカウトが2歳の頃死亡、兄のジェムは4つ上。カルパーニアという黒人女性が家政婦に来ている。スカウト6歳の夏に一つ年上のディルが夏の間だけその地の叔母のところに来ているのに出会い、3人で夏を過ごすようになる。近所には仲良しのミス・モーディーの家もあるが、嫌みたらしいミセス・ドゥボーズの家と三軒先にラドリー家がある。ラドリー家はその地域全体で不可侵のような場所になっていて(引きこ

    0
    2023年11月27日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    1930年代の南部アメリカ、6歳の少女スカウトは4歳年上の兄ジェムと、弁護士の父アティカスと田舎町に暮らしている。母親はスカウトが小さいころになく亡くなっており、家の中のことは黒人女性のメイド・カルパーニアがやってくれている。その頃の南部の町では、まだまだ黒人の差別が厳しく、ニガーと公言してはばからない人が多くいる。黒人だけでなく、貧しい白人たちは学校にも行けず劣悪な生活から抜け出すことができずにいる。アティカスの偏見にとらわれない態度は、町の人々から信頼を持たれている。そんな町でおきた白人女性のレイプ事件。アティカスは被害者の白人女性が犯人だと名指しする黒人の弁護をすることになる。

    ずいぶ

    0
    2023年10月30日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    あなたは、『アメリカの映画俳優グレゴリー•ペック(1916〜2003)の代表作と言ったら何だと思いますか』と聞かれたら何と答えますか?

    日本で多いのは「ローマの休日」でしょうか。あとは「オーメン」。映画好きならば「ナバロンの要塞」「マッケンナの黄金」「渚にて」「アラベスク」等が出て来るかも。
    しかし、本国アメリカで評価が高いのは、何と言ってもこの小説を映画化した「アラバマ物語」だそうです(アカデミー主演男優賞受賞)
    1933年のアメリカ南部アラバマ州メイコムという架空の町。スカウトことジーン•ルイーズ•フィンチは母を早くに亡くし、弁護士の父アティカス、兄ジェムと暮らしている。純朴なスカウトの

    0
    2023年09月27日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    こんな長かったかな、3年間?本も期間も。主婦の友版と対照したし。まあ、映画の印象が強いが、DVD特典映像見てないなー。さて、続編をどうしたものか。

    0
    2023年09月05日
  • 退屈とポスト・トゥルース SNSに搾取されないための哲学

    Posted by ブクログ

    インターネットのSNSについて、包括的な考えを書いたものである。したがって、学生が哲学や情報教育で読むべきほんである。しかし、哲学的な基礎知識が当然既存知識として書かれているので、哲学入門よりも応用哲学で扱われる必要があろう。新書としてはかなり重い内容なので、新書でなくてもよかったと思えるし、大学のゼミで扱う内容であろう。哲学的な部分は訳で割愛したと書かれているが、それ以外の部分でも哲学的な内容が入ってきている。

    0
    2023年08月20日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    『アラバマ物語』といえばグレゴリー・ペックの顔ばかり思い浮かぶ。ちゃんと読んでなかったかもなあ。

    途中までたらたら読んでいたが、後半の法廷シーンから俄然面白くなり、あとは一気。
    1960年のこの作品発表から63年経っているわけだけれど、進んだところ、強固に変わらないところ、更に表面化したところ…読んでいて、二重三重にいろいろ

    0
    2023年08月11日
  • ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ハーパー・リーが自分自身が生まれ育ったアメリカ南部、1930年代のアラバマ州の架空の町メイコンを舞台に描いた自伝的小説。
    世界恐慌以来貧困に苦しむ農村、そしてさらにその貧困の底辺にある黒人たち。
    主人公のスカウトはまだ小学生になったばかりの少女だが、いつも男の子のようにオーバーオールを着て、兄のジェムと一緒に遊ぶ。そして、二人には夏休みの間だけ、メイコンに来て過ごすディルという友人がいる。
    物語はスカウトと二人の少年を中心に、子どもたちの目線で見た当時の南部の社会を描く。
    前半は学校には年に1日だけ来て、毎年落第する貧困家庭の子どもたちや、黒人と白人という明確な差別が残る社会、そして、白人の中

    0
    2023年07月30日
  • ネイティヴ・サン―アメリカの息子―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    以前、気になったことがあって、読まねばならぬと自分なりにリストアップしていた。

    今回、手に取ったのは、検閲で削除された数か所が原作のまま、翻訳されての発刊。
    その個所を気になって読むと、やはり・・というか、性的描写の生々しさを感じさせ、それに人種的なニュアンスが影響している個所であった。

    ガーディアン誌が選ぶ「読んでおくべき本」にリストアップされている。
    そもそも、この選書に従う気持ちがないあまのじゃくの私・・一層、読んだ上でのやりきれない感情が一層ネガティブのベクトルに傾いた。
    構成は心理的描写(白人、アカ、黒人それぞれにおいて)がこれでもかというほどに、生々しく綴られ、幾度、読むのを投

    0
    2023年06月14日
  • ネイティヴ・サン―アメリカの息子―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    とにかく読んでて苦しい。
    救いようのない話で、いまだにアメリカ社会では続いていることが怖すぎるし、それだけ根深いんだなと思う。
    アメリカ文学といわれる類の、社会の闇や事実を容赦なくぶつけてくるところ。もっと読んで知りたいと思う反面、読んでいる最中から、もうやめたい、しばらく読みたくないと思ってしまう。
    生身の人間が一番恐ろしいということ

    0
    2023年04月03日
  • ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化

    Posted by ブクログ

    17,8年前に新聞の書評で知り、即購入。
    以来塩漬け…なのに突然読めたのです。そして、とてもおもしろかったのです!

    87分署や、映画を観たりして、行ったこともないのにニューヨーク好き。それもきっかけでした。
    ニューヨークの成り立ちから、刊行当時まだ記憶が生々しかった911まで、歴史をふり返りながらそれぞれの時代を映す純文学が紹介されています。

    ニューヨークを好きと言いながら、ほとんど何も知らなかった。ギャツビーもライ麦畑もオースターも読んでいない…反省。これから読みます…

    なのにアメリカンサイコだけ読んでました…今思うとちょっと気恥ずかしい…と思いながら、今読んだらどうなんだろう、とも考

    0
    2022年09月10日
  • ワインズバーグ、オハイオ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    1919年に発表された小説だとは思えないほど現代的。
    頭に全く入ってこない話もいくつかあったが、「変人」、「神の力」、「品位」は特に良かった。

    0
    2022年09月07日
  • ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化

    Posted by ブクログ

    ニューアムステルダム入植から、9.11までのニューヨークの姿を、その時代の文学と共に見ていく。ハーレム文化の章から9.11を連続して見ていくと、ニューヨークの始まり、多様な人種、差別、格差と、ゴチャゴチャしたニューヨークの面白さと悲しさ、希望がごちゃごちゃになって現れる。

    0
    2022年03月13日
  • 革命と献身 シンパサイザーⅡ

    Posted by ブクログ

    前作はアメリカ批判、今回はフランス批判をテーマに、ハリウッド映画に似た、あり得ないご都合よすぎる不死身の主人公活躍、ポルノ、ギャング物語。きわめて荒唐無稽なのに読ませる力業がすごい。

    0
    2022年02月06日
  • シンパサイザー 下

    Posted by ブクログ

    長かった。真面目な小説なのだが、拷問や強姦の場面の過剰な描き方は、ありきたりのテレビドラマドラマかハリウッド映画のようで、わざとなのかがよくわからない。長いだけの重いテーマではあるが。ずいぶん久しぶりの長い小説。

    0
    2022年01月11日
  • レス

    Posted by ブクログ

    自己肯定感の低い、プライド高男の旅物語
    自分が思うほど、周りは自分を気にしていない。でも、自分が思うよりずっと自分は愛されている。
    ラストの爽やかさが◎

    0
    2021年07月03日
  • レス

    Posted by ブクログ

    文体に慣れるまで、めちゃめちゃ苦労したけど、メキシコ辺りからようやく慣れて、その後はレスと一緒に面白く旅行できた。
    自分にもっと英語力があれば、英語で読みたかった。

    0
    2020年09月14日
  • ワインズバーグ、オハイオ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    人生が複雑怪奇であるということは真実だ。平凡な人生というものはありはしない。と、解き明かすような、アメリカの想像上のある町「ワイインズバーグ」に住む人々の暮らしや心模様の物語群でした。ひとつひとつの物語でもあるが、若い地方新聞記者ジョージ・ウィラードは聞き役でもあり、つなぎ役でもあり語り部です。

    1900年代の初めに書かれたアメリカ文学、ヘミングウェイやフォークナーに影響を与え、モダニズム文学のさきがけということです。この前に読んだ佐藤泰志『海炭市叙景』の下敷きのようなものということで読みました。

    なるほど、あるまちを創造、住人の人生模様を癖や性格などを素材にして物語るのは同じようです。で

    0
    2020年07月07日
  • レス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    プーリツアー賞を取っているので読み始めた本。薄くなかったら、よみとおせなかっただろう。どこが面白いのかがつかみどころがないのは、文化が違うからなのか、英語で読まないからなのか。文意は明快ながら、文体は引っ掛かりだらけで、時制にもとまどう。読後感はじわっと、いいのだけど。日本では読まれないだろう。

    0
    2020年05月24日