【感想・ネタバレ】テロと文学 9.11後のアメリカと世界のレビュー

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Posted by ブクログ 2016年03月23日

日本を代表する米文学者・上岡伸雄先生の名著。複雑化しているアメリカと中東との関係性やテロの問題を、文学という切り口で多角的に論じている。第1章から終章まで、一分の隙もない緻密な論理展開で構成されており、一冊の本として非常に完成度が高い。本書の結論に当たる部分は、文学の力を切々と訴える名文である。

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Posted by ブクログ 2018年11月20日

著者は、2012年9月から2013年3月まで米国ニュージャージーの大学に滞在した米文学者。そこでの研究テーマは「9.11テロ事件後の文学」。
映画化され、日本でも公開になった『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』をはじめ、9.11を扱った小説を取り上げて、テロに対して文学に何ができるかを検証し...続きを読むている。かつてピカソが「芸術は飾りではない。武器だ」と語ったとされているが、著者のインタビューに応じた作家たちからはこの文学版とも言える言葉があふれ出る。「歴史において、人生において、われわれの時代を反映する最も強力な没入型の方法は今でも文学」「文学は他者の経験に共感するような形で関わる機会を与えてくれる」
なにも9.11に関わる文学でなくても到達できそうなポイントではあるが、読後に残ったのは文学が持つ強さや永続性。もちろん、9.11ならではの指摘、すなわち、アラブ系やパキスタンの作家が描いた9.11の視点や、徴兵制がなくなった後の戦争小説の質の変化など、興味深いものもいろいろある。しかしながら、読後にもっとも強く残ったのは、やっぱり小説を読み続けようという思い。中途半端なビジネス本を3冊読むよりは良質な小説を1冊読みたい、と常日頃思っているのだが、その意をますます強くした。

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