伊勢田哲治のレビュー一覧
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戸田山和久さんの『「科学的思考」のレッスン』を読んだ直後に、本書を読んだ。
世に出た順序としては逆行することになったけれど。
どうしても戸田山本がこの本を読むときのガイドラインになってしまった感がある。
本書で菊池誠さんは、リスク評価の難しさの指摘した上で、理屈を説明することが安心につながらないと言っている。理屈と気持ちの折り合いをつけることが大事だと。
戸田山本では、この点について、「安心」も筋道を通して議論すべき対象とすべきだという立場をとっている。
この点について、私は戸田山説に賛同したくなってしまうのだが、それはやはり先に読んでしまったため、なのだろうか。
正直、今の自分は科学的思考力 -
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学校で教わる理科のイメージとは異なり、科学の問題に確定した答えがあるとは限らない。科学にも不確かな面があり、そのことが科学不信をもたらすことがあるという。しかし、不確かな面に切り込んでいくでいくためにも科学的思考の訓練が必要となるのは間違いない。科学不信を取り除くには専門家と一般市民とが双方的に対話する場を作っていくことが重要だと指摘している。
安全性の基準は必ずしも客観的かつ不変的なものでなく、当事者のおかれた状況などによって異なってしかるべしという記述になるほどと思った。
5人の著者による解説を足し合わせたものだが、それぞれ内容があってよい。 -
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ネタバレ社会調査のウソ同様、批判的視座を獲得するための能力涵養の本です。
哲学的思考は決して無駄なものではなく、全体的な『俯瞰的』視点と微細な『違い』を峻別する力をつけるにはもってこいの入門書だと言えます。
コミュニケーションの齟齬や4枚カード問題に代表される理解力のテスト等、なかなかはっとさせられるものがあり、大変面白く読めました。
ただ、少し説明的文章が多かったのが残念です。哲学思考の具体例がもう少しあれば……と思います。
そういえば、僕が中学生の頃、『自分の考えてる事は特殊かも知れないけど、例えば1%の人が僕と同じようなアイデアや考えを持ってると仮定した場合、日本の人口だと約1200万人が僕 -
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クリティカルシンキング(批判的思考)入門。
ここでは物事を論理的に吟味して取り入れてゆくための方法を紹介している。しばしば使われる「批判」という言葉は、物事を否定するのではなく、分析して吟味するという程度の意味である。
紹介されている考え方の中には、無意識に出来ていることもある。しかし思考のツールとして整理しなおすと、つい見過ごしてしまう議論の盲点が発見でき、考え方に合理性とバリエーションが生まれるだろう。
クリティカルシンキングの心構えとして、
「間違いを認めるのを恐れないこと」
「自分の意見に感情移入しすぎないこと」
「批判は必ずしも自分自身に対する攻撃ではないことをわきまえる」
などを -
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[ 内容 ]
テツガクなんて小難しいだけで、日常の現場では何の役にも立たないのでは?
否、それは工夫しだいで思考のスキルアップに直結するものだ。
本書では、分析哲学、科学哲学、懐疑主義、論理学、倫理学などの思考ツールを縦横無尽に使いこなす術を完全伝授!
もっともらしい屁理屈や権威にだまされず、かといって不毛な疑いの泥沼に陥ることもなく、一歩ずつ筋道を立てて考え抜くコツが身につく。
すぐにも応用可能なノウハウを習得しながら、哲学的思考の真髄も味わうことのできる、一粒で二倍おいしい知の道具箱。
[ 目次 ]
第1章 上手に疑うための第一歩―日常会話のクリティカルシンキング(まずは疑う習慣から 議 -
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2023-05-13
いやあ、面白いほど話が噛み合っていない。最終的には価値判断に帰することであり、そこはまあ趣味の問題と言ってもいいのだけど、そこに至るまでまだ考えることがあるのではとも思う。
全員が合意することを目指す営みと、価値判断との境目がどこか、という話か。
また、一方が「取り組む問題を明らかにせよ」というのに対し、「何が取り組む問題なのかが問題だ」と答えて平行線に陥っている気もする。
存在するゴールに到達することが大切と考えるか、あってもなくてもそこに向かうことが大切と考えるか。ここまで来ると結局価値判断ということになるのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・タイトル通り、「トレーニング」であった。具体例と手順が出てくるので、逐一、理解した/理解していない(もう一度読む)を判断しながら読み進めれば、血肉になり得る。ナナメ読みしようとすると、どの立場で話されているか見失うので、一文ずつきちんと読んだ方が むしろ速い。
・()括弧内の補足がいちいち、生徒と距離を縮めようとする教員みたいで愉快
・タイトル(から自分が想像したこと)とは異なり、クリティカルシンキングのトレーニングに終始した。これが哲学的思考の一歩だから、と説得されたが もっと実用的には見えない話 が出てくるかと思っていた。
とはいえ、『クリティカル・シンキング トレーニング』と題されてい