伊勢田哲治のレビュー一覧
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物理学者と科学哲学者が平行線の対談を繰り広げ「あー、そうなっちゃうよね」と思わせる本。
「実学」志向者が、もうちょっと他人にも伝わるように嚙み砕いた話し方をしたら? と言い、哲学の人が「それだと正確じゃない」と返す感じ…。
大学生とかのうちにこういう議論をしておく価値はあると思う。大半の人はその後は実学方面に向かうのだけど。
そういうすれ違い、簡単には決着のつかない議論を楽しむ本である。
そういう楽しみ方(?)を想定してか、両者の意見がすれ違うような話題をあえて選んだという。また、物理学者も意図的に挑発的な言い方をしているような印象を受ける。
なお、そもそも科学哲学は一枚岩ではなく
「科学 -
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科学も哲学もよく知らずに読んだ上、ふだんからさして役に立たないことをぼんやり考えがちなので、読んでいるうちにだんだん辛くなってきたような…。 ここ数年大きな顔をますます大きくしてきた感のある「役に立たない学問」軽視は、これから先も本当に「役に立つこと」を得続けるのに不可欠な基礎部分をリスペクトしないので、薄っぺらで先細りの住みにくい世を招きそうです(で、もともと気持ちが沈みがちです)。とはいえ一方で「今すぐに役に立つ」以外の分野に社会性が少なくなりがちなことも確かにありそうで、それはそれで「だから余計大きな顔がどんどん大きくなっちゃうんじゃん!」と苛立ちたくなります(この本のことではないで
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【最変人】
すばらしい。変人ぷりがすばらしい。
人と違うことをしている人には魅力を感じます。
最新技術をアートにする。この考え方すごいです!
「全員が人とかぶらないで違うことを行ったら」どうなるのでしょうか。
・コミュニケーションが取れない
・グループで目標に向かうことできない
デメリットとしてはこれぐらいでしょうか。
ただ、その人の考え方を容認すれば、コミュニケーションが取れないことはないと考えます。私の考え方も一つ、あなたの考え方も一つというようにそれぞれの考え方が存在することを認めれば問題ありません。
グループで成し遂げることは、結局、ひとりの人間が考えたことをその他まわりが共感 -
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ネタバレ<目次>
はじめに
第1章 アリ社会の仁義なき掟~女王アリと働きアリの微妙な関係…市岡孝朗
第2章 曖昧という真実~割り切れないから見えてくる、グレーゾーンに潜む可能性…伊勢田哲治
第3章 アートはサイエンスだ!~アーティストと研究者,二足のわらじで見つけた日本の美…土佐尚子
第4章 そうだ!宇宙に行こう!~手話と学問の意外な関係性…嶺重慎
第5章 「できない」から「できる」んだ~「他人事」になる」社会の中で、自分を唯一性を持って生きる…富田直秀
おわりに 「本能の声」に気づく、従う
<内容>
京大の変人講座第2弾。第4章、5章は深いですね。手話者は日本語を手話に翻訳するのではな -
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5人の科学者、サイエンスライターがそれぞれの立場から「科学」について語ります。
これを読んだから騙されないようにはならないですが、近年の「科学」周辺のトピックや考え方に触れる事ができて、面白く読めました。
それぞれ、印象に残ったことを覚書。
1.科学と科学でないもの(菊池誠)
・疫学的思考の重要さ。
例えば、「やった・やらない」「効果あり・効果なし」をクロスさせた場合、「やらない」×「効果なし」が、見落とされがち。
・道徳を決めるのは、物質の性質ではない。歴史や文化。
2.科学の拡大と科学哲学の使い道(伊勢田哲治)
・科学はモード1からモード2へと移り変わつつある。環境学、情報学など。
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正しい議論や適切は判断とはどのようなものかを哲学分野のトピックを土台に解説する議論についての入門書。
時々、何が言いたいのかわからない箇所も見られたが、全体として実践までを視野に入れて丁寧に書かれた良書だった。
前半は適切な議論の構造についての説明から始まり、その議論の妥当性を認めうる判断軸を分析哲学と科学哲学の分野からいくつも紹介している。
後半は価値観の相違によって議論が停滞する事態をどのように乗り越えるかを紹介するエキサイティングで、非常に有用な内容だった。
議論が白熱して核心に迫ったところでお互いの価値観が食い違いが発覚し、それ以降は建設的な議論が難しくなるケースというのは本当に良くあ