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Posted by ブクログ
見るからに難しそうなタイトルで、中々読みはじめに勇気のいる内容だが、読み始めると意外な事に、すらすらと頭に入ってくる。要は日常的に「考えなければならない」シーンはビジネスに於いてもプライベートであっても、我々は常に物事を考え、判断して、そして決断して実際の行動に移っている。中々行動できない人、すぐに動き出すが、やり直しや失敗の多い人、更には何も考えずに不幸な結末に至るべくして至る人。ビジネスシーンでは特にこういった人は周りにはよく見かけるはずだ。そうした方々のみならず、自分自身にもそうかもしれない、そう心当たりのある方(私もそうだが)は、本書を読む価値は十分にある。当てはまるシーンが次々と思い浮かぶだろう。
本書はその始まりを「哲学」なんて人生に役に立たないのでは、という疑問から入っていく。私も文系人間だから、理系に比べると頭の固い人が量産されるイメージはどこか持っている。だが昨今、時代はAI全盛期に突入しようとする中で、改めて文系人材の正しい日本語能力や文脈の捉え方、言葉や文章にして表現する能力は注目されている。寧ろ膨大な文脈から答えを導き出そうとするAIの仕組みこそが文系人材の脳の動きそのものであるという意見を目にする事もある。哲学には更に物事の答えを導き出すための最善の思考プロセスを生み出す力を大いに感じ取る事ができる。
我々の周りには常に考えなければならない、対処しなければならない課題や問題が山積みである(勿論、それらに関心を示さず、無視して生きる事も可能だろうが、結果を受け入れなければならない覚悟は持つべき)。そうした疑問に一つずつ向かい合うことは、思考力を鍛える最善の方法であるだけでなく、人生を意味ある、価値あるものへと変える力になる。大きな失敗を経験したり、壁にぶち当たって前に進めない時、それまでの経験や価値観が通用せず、諦めそうになる事がある。打ち勝てない自分の非力さに打ちのめされ、自分の存在意義を疑うことすらある。だが、その度に人類は考え、そしてそうやって見えない遥か上空にあるはずの頂に挑んできた。そして新たな発見や理論は、更に多くの人々を巻き込んで思考の嵐を呼び、その中から一筋の巧妙に繋がる新たな考え方を確立させてきたのだ。そこにあるのは言うまでもなく「考える力」だ。
そして哲学的な思考は更にそれに効率性や説得力を与えてきた。我々が物事を判断する際の、前提条件や背景に悉く光を当てて、真偽を舞台に引き摺り出すだけではない。時には互いを理解し、お互いの考えをすり寄せ、そして手を取り合って新しい価値判断を生み出してきた。「我思う、故に我あり」とらかのデカルトの行き着いた答えだったのだろう。全てに疑問を抱き、目の前にある紙切れにさえ疑問を抱いたデカルト。そして、それへの反証も恐れず受けてきた生き方、考え方に、人々が今後の未来を生き抜くヒントがあるだろう。決して考えを止めてはいけない。人任せにしてもいけない。我(自分)がどう思う(考える)か。それを起点に、世の中の今ある価値にさえ疑問を抱き、自分なりの考え方を確立する必要がある。流石にデカルトそのものの考え方を実践すれば、生きづらいだけでなく、食料自給も出来ない日本では飢え死にしてしまうだろうが、生き方のヒントは見つかるだろう。
哲学がなんとなく異質の世界に限定されたもの、頭の固い学者が専売特許として考えること、といったレッテルを貼ってしまったら、恐らく大半の人は近づかないだろう。だがしかし哲学にビジネスシーンや生きる上でのたくさんのヒントがあると期待できる人、決して期待を裏切らない。懐かしの三段論法という言葉を目にして、普段の自分の成長を感じるもよし、覚えて使いこなすもよし、全年齢世代の入門書(筆者の意図とは異なるかもしれないが)として非常にわかりやすく纏まった内容である。また眠れない日々が続く。
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