伊勢田哲治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
哲学的クリティカル・シンキングの入門書です。
クリティカル・シンキングには「修理型」と「改築型」があり、修理型のクリティカル・シンキングが「人間の思考はどういう間違いを犯しやすいかを学び、その間違いを避ける方法を考える」もので心理学などがベースになっているのに対し、改築型のクリティカル・シンキングは「どういうルールにしたがって思考すると正しい結論につながるか、という基礎の部分から考えていく」ものとされています。本書で扱われているのは「改築型」のクリティカルシンキングで、科学哲学や倫理学における方法論的な考察を組み込んだ内容が扱われています。
通り一遍の入門書ではなく、今西進化論を題材にした -
Posted by ブクログ
ここで須藤さんが語る科学の方法論はリサ・ランドールが『宇宙の扉をノックする』で語っているものとほぼ同じものである。
学生時代に廣松渉の『科学の危機と認識論』を読み、村上陽一郎の講義を聞き影響を受けてクーン、ハンソン、ポパー、ファイアアーベントを愛読してきた自分が、それでもやっぱり須藤さんの言っていることの方が共感できる、というところに少なくとも日本における哲学の問題があるだろうと思う。自分の”アタマ”に信頼を置き過ぎ、というか、道具立てが古すぎる、というか。
読み終わっても科学哲学の目的と意義を理解も納得もできなかった。またいつか読み直してみようと思う。 -
Posted by ブクログ
全体を通して、文章が読みやすい。説明が上手である。まさに本書もテーマ、そのものを実現している。一度は、疑ってみる。あらゆる事象に接して生きている。疑う事を、方法、クリティカルシンキング、という方法を使うと、思考を整理しやすくなる。議論する場合、その手法についても紹介している。
例に使われている
科学的実証と疑似科学として「今西進化論」えお取り上げる。デカルトと懐疑主義、「生きる意味」を価値から考える。価値主張のクリティカルシンキングは、異なる価値観との対峙に役立つと思われる。
デカルトの方法の説明
方法的懐疑⇒デーモン仮説⇒思考実験
についての説明は分かりやすい。 -
Posted by ブクログ
疑似科学を批判する書籍は多い。この本も例外なく、ゲーム脳、マイナスイオン、水からの伝言、ゲルマニウム・ブレスレットなどの疑似科学に気持ちいい批判を浴びせている。また、マスコミの科学に関する無知による報道の歪みや、「学」と「民」の科学コミュニケーションのあり方、3,11以降の情報リテラシーなどにも触れている。
だが、薄っぺらな科学原理主義とは一線を画す。環境や社会に関する複雑な問題を解決するには、あえて科学以外の「知」も用いたほうが効率的だという主張が印象的だった。場合によっては、哲学や文学などの「非科学」も有効なのだ。注意すべきは、「非科学」なのに「科学」を装う「疑似科学」だ。これは欺瞞以