あらすじ
物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。
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Posted by ブクログ
「道徳視がもっとも良くできる者が、もっとも道徳的に望ましい結果を生むとは限らぬのが、道徳というものの難しいところでもあり、面白いところでもあるのです」P428
人に「倫理って結局何?」って聞かれていつも答えられなかったけど、「善悪」や「してもよい」、「すべきだ」といった事柄に関することを広く倫理と捉えて良いと書いてあった気がする(メタ倫理)。今後はこんな感じで答えようと思った。
全体を通して最も書かれていると自分が感じたことは、「複視的視点」を持つことが重要ということだった。めっちゃ簡単に言うなら、自分からの世界の見え方以外に、他人の立場からの世界の見え方を想像して、それを行き来するような思考が大事だと理解した。
それをサポートする「倫理メガネ」のような概念はかなり好きで、ポケモンGOのようなAR技術になぞらえる部分とかはかなり分かりやすい。
相手の立場になって考えるってちょっと当たり前っぽいけど、どんな倫理メガネをかけてるのか、価値判断基準を持っているのか、倫理のものさしは何を重要視しているのか等、実は色々考えられるんだなと。
倫理問題を具体的に考えてもらうためのSFショートストーリーがちょくちょく挟まっていて、それが個人的には抜群に面白かった。単発単発に差し込まれてるのかと思ったら、本書全体を通じた物語になってて感動。
流石に気合い入ってるなって思ったら、あとがきで気合い入れましたって書いてあって嬉しかった笑
個人的にめっちゃ新しい学びのような物は無かったけど、倫理関連の知識に関してすごく頭の中が整理された気分で心地良い。
Posted by ブクログ
たいへんおもしろいので、社会的な問題や倫理的な問題についてネットでディスカッションしたい人はぜひ読んでください。最初の方は実は倫理学入門なので、いきなり第5章ぐらいから読んでもいいと思う。
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私のようなものにいただきましたありがとうございますありがとうございます。てか、えらい本格的というかヘビーな本だな。