鈴木謙介のレビュー一覧
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「『再魔術化』とは、ひとくちにいえば、非合理なもの、神秘的なものと、私達の生活の結びつきを強化するべきだ、あるいは今現在、そのような結びつきが強化されつつあると考える議論だ」 ー 152ページ
本書で用いられている「再魔術化」とは若干対象が違うのだけど、このことについて最近よく考えている。
何かに没頭しようとする(没頭しなければならない)際、そこに至るためになにかの物語を用意しなければいけない。
たとえば昇進。たとえば社会福祉。たとえば金。たとえば何か。
このあたりのことはとてもわかりやすくて、非常に近代的な理由付けだ。物語は外に開かれていて誰にでも理解できるし、世間的にも認められてい -
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「なぜ自分探しや自己実現を目指すのか?」という問いを、社会学者が90年代以降の社会および技術から読み解く本。
たまたま同じ時期に読んだ速水健朗さんの『自分探しが止まらない』とは、同じ文化系トークラジオLifeメンバーということもあってか、ちょうど裏表の関係のような感じ。
おおざっぱにまとめると
バブル崩壊で就職しづらくなったし自己分析を通じて意欲や個性やノリをめっちゃ問われるようになったよ
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情報技術の進歩で自分の意欲や個性がデータベース化され場に応じてキャラを変えやすくなったよ
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本当の自分がわからなくなってきた、誰も本当の自分を受け入れてくれない
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よくわからないからカーニヴァル的 -
Posted by ブクログ
「かかわり」を通じてコミュニティのありかた、これからの価値観を考えていく本。
「モノを作ったり消費したりすることによる幸福感はいまの若者にとって魅力的じゃなくなったよ、その代わりに人とのかかわりを基にした幸福感が魅力的にとられているし、そっちのほうが持続可能だよ!」といったところか(大雑把に要約)。
俺自身がまさにそういう感じで、画一化された消費物より、人間関係から生まれる一回限りのもののほうが好きですね。
お金で簡単に買えるものにそこまで魅力感じないし、それよりも考え方とかをおたがい共有して何かするほうが楽しいし。
ただ、自分の周囲を見ているとあながち昭和型の価値観も健在なのかな?と感じ -
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ソーシャルキャピタルかと思って読みましたら、ちょっと違うかった。けど概念は似ているなと思います。
人と人との関わりについてをIQならぬSQを用いて表現しており、SQが高い人は他人への貢献度や次世代思考などが高い人という風に表現されています。そもそも、これが考えだされたのは、今の時代背景は高度経済成長時代の考え方をそのまま引きずったままズルズル来てしまった日本社会をどうにかできないか、という思いも感じられます。なぜ黒のスーツで就職活動しなければならないのか、エコといってるけど、エコバッグをたくさん持っていたらエコじゃないのでは?などなど結構面白い概念。 -
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今SQ(Social Quotient)の考え方が必要なのか、時代と人々の価値観の変遷を通して論じたのちに、どんな社会づくりやまちづくりが今後必要なのかということについて述べている。
最初は個人がどうやって能力を高めるかみたいな話なのかなと勝手に思っていましたが、「かかわりの知能指数」というだけあって、人との協力や家族との関係、コミュニティとの関係などと絡めていたので、とても面白かったと思います。
実は地元が名指しされていたのですが、あんまりその通りのまちづくりはできてないなぁと悲しくなったりもしました。市役所の誰かがこの本を読んでくれることを願いつつ、自分にできることから始めていきたいと -
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モノやお金がある程度行き渡った社会では他者への貢献が幸せを生み出す。
こうした幸福感を生み出す他者への貢献とはいったいどのようなものなのか?
について
SQ(SocialQuontient)というtermをコアに丁寧にわかりやすく書かれています。
特に第2章「曲がり角にきたゆたかな社会」では、戦後〜高度成長時代〜ポスト黄金時代の社会の価値観の変遷が簡潔にまとめられています。
自分が生きる時代とはどういうものなのかベースとなる知識であり、学生時代にこういう本が読みたかった。
3章、4章ではSQをキーにしてコミュニティモデルや未来像について書かれるとともに、
社会学の基本思想なんかを踏ま -
Posted by ブクログ
この本で言われていることは、この2011年においても実感、納得できることばかり。1章から3章で語られている社会状況の変化が、日本で「カーニヴァル」が発生するベースを醸成してきたとチャーリーは言っている、そこは正しいと思う、その流れは近年加速しているのではないか。そこには世界の均質化、フラット化がものすごい勢いで広がっていることもあると思う。アメリカで金融緩和が行われたら、即オーストラリアのマーケットにお金が流れこむ、政策・経済が急激にグローバル化したことにより、市民社会の思想伝播もまたありえない速度で行われた。その結果が、中東で起こっている独裁政権に対する運動なのかなと。あれをカーニヴァルと呼
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Posted by ブクログ
記念すべきチャーリーの第一冊目。170ページほどの厚さしかないのに、内容は結構ねじ暮れて小難しく、読みごたえがあった。カーニヴァルという言葉を使うので、昨今の空虚な盛り上がりに情熱を傾けている人々の世代を言っているのかと平たく考えてしまいましたが、現れる結果としてはそういう部分もあるけど、もっと人間の時代真理の深い部分をしっかりとつかんでいる奴でした。「反省的自己」と「再帰的自己」というあたり、そこからのアイデンティティの説明までがかなりしっくりいきました。ただカーニヴァルという表現の意図するとことはわかるけど、ニュアンスとしてもう少しうまい表現があるとありがたいと勝手に考えたりします。
よ -
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入試とかに引用されまくりの作品
鈴木謙介さんの20代半ばぐらいの作品。
今は、関学で教えているけどまだ、
野良社会学者の時の考えまとめ。
これから、色々とあるけど、都度、考えをアップデートしているけど、基本的な考え方がこのまま。
舞台志望の九州っこがいつのまにやら、
宮台の弟子になり、本を出して、ラジオ、テレビに出て、
大学の准教授になっているって言う、最初の一歩目の部分。
育成ゲー的には最初の大イベントの一つ。
この後、鈴木謙介は、tbsラジオでパーソナリティーをしたり、ラブプラスにはまったり、秋葉原の事件に知り合いが巻き込まれたり、子どもが産れたり。
成長ものとして今読んでも -