鈴木謙介のレビュー一覧
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SQとはSoceial Quotientの略で、幸福度を高めるような他者(=社会)へのかかわりの力を表す指標のこと。知能指数を表すIQのような概念らしい。
9.11以降、世界的に消費社会からSQ型の社会へと移行する動きがある中で、3.11以降、日本においてもその傾向が顕在化してきている。ただ、日本はSQ型の社会構造がまだ整備されておらず、人々の根底にある価値観も追いついていない。そのミスマッチから様々な社会問題が起きていて、このままだと10年後取り返しのつかないことになるからSQがどうして必要なのかを説明します。というのが、この本の雑な概要。
高度成長期からバブル崩壊までの社会構造の変遷を少 -
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ネタバレ高度経済成長期の価値観から脱却し、幸福度を高める生き方を、SQを使って分析し、活用していくことを提案している本。
どのような価値観を持ち、行動をとっている人が、幸福感を感じることが多いのか、ということをデータをもとに分析している。
過去の仕事観や家族観の形成理由や、それらの価値観が現在では当然のものとして受け入れられない理由等、歴史的な理由も解説されているので、それらを読むのもいいかも。
ちょっと気になるのは、「SQ的な社会でSQ値の高い人間として生きていくというのは、自分には無理のような気がします。」と、SQ的社会の難しさを自ら認めてしまっていること。
「SQ的な手立てとは別の手立て -
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人々の幸福とはなにか。
東日本大震災では、多くの方々が、一度も見たこともない人々に
支援を行っていました。
彼らは、自分たちから積極的に行っており、それが、彼らの幸福にもつながっている
つまり、人々を助け合うことで、幸福を得られるといった考えが、これからの日本社会において非常に重要であることを述べている。
著書では、現在起きている社会的事象を、この考え方に照らし合わせて、
述べている。
経済学、社会学やコミュニティ形成に興味のある私にとって、
大変興味深い本でした。
今後の社会の変化がどのように起こっていくのか、という事に
興味のある方は、読んでみてもいいかもしれません -
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ネタバレ「やりたいこと」という蜃気楼に、躁状態のまま向かい続けるわたし。それに興味を喪えば燃え尽きるが、また新たな蜃気楼を見つけ出して追いかけはじめるわたし。その、際限のない繰り返し。感性の次元で湧き立ち、ある時突然それが冷める。それを繰り返す日常を、筆者は「カーニヴァル」のようだという。元ネタは、バウマンだったらしい。
途中、「データベース的対人関係」のくだりでSNSについて言及がある。この当時からすればSNSのシステムもだいぶ多様化し、携帯のアドレス帳と同じように「つながっている」感覚を担保するだけのものではなくなってきた。そこには、「○○というつながり」という分別や、「重要な友達」「限定公開」 -
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答えを急がない、一方の見方に立たない、という徹底した態度に平伏。もっと早く読んでおけばよかったなと思うほどでしたが、今読むご縁だったのだと思い大事にしたいですん。
一人のひとの中にかように多様な価値観があったら、それはそれだけで希望なんじゃまいか。とも思った。
あと、こんなに噛み砕いてもらってるのにまだわからないところがあって、ときどき落ちる。。。というのが何処だったのか、今後はそいうのを書き出して置こうと思いました。
自分と違うからわからないのか、使ってある言葉や文脈が(あるいはその使い方が)違うからわからないのか、みたいのをちと明確にしたら、良いかなと。 -
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<目次>
第1章 オンリーワンよりONE PIECE【仕事・働き方】
第2章 「選ぶ人」から「選ばれる人」へ【お金・自己投資】
第3章 「問いの発見力」を鍛えよう【育児・教育】
第4章 お金か人の輪か【地域・コミュニティ】
第5章 人に残された最後の問題【家族・愛・絆】
<内容>
関西学院大准教授のキャリアの啓蒙本。大学のゼミや授業などをベースに書いたものらしい。学者らしい書きっぷりだが、内容は近年の外の人の主張と同じ感じ。引かれたレールを進めばよかった過去から、今後の若者は「自ら考え」「お金よりもコミュニティ」を優先し、「役に立つ」人間として生きていくべき、というもの。 -
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IQ,EQからSQ(Social Quotient:かかわり知能指数)の時代へというキャッチコピーに惹かれて読んでみた。震災後1万人の調査から「他人に関わって相手のためになることをしたいと思っている人は幸せな人が多い」、そして「他人に関わろうとする態度は、それがないと不幸になるわけでないが、幸福度が増す要因になる」ことを明らかにした。さらにそこには適切な範囲(自己犠牲的な奉仕より、自分のできる範囲で協力など)があることも指摘している。そして献・広・心・次というキーワードからSQ度という指標を提案している。SQ度というのはマーケティング的かなという気もするが調査結果及び指摘は納得感あるもであった
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p.48図「献・広・心・次」の度合いを(再)確認してみよう。
p.48の図で示された近すぎないか遠すぎないかの度合いをチェックすることで、いまの自分の傾向を知るだけでなく、過去の自分と比べた変化を確認できた。
学生のころはやはり自己犠牲に走りすぎていたり、地球規模の普遍的価値を求めたりしがちだった。よくある若者らしい理想主義や潔癖主義だったし、自分と世界の間に社会が失われたセカイ系の感覚にも近い。端的に意識高い系だったともいえる。
それから数年のらりくらりと生きてきて、学生の頃と考え方がまったく変わっていない自分にすこし危機感を感じていたのだが、この図を通して、今はそこそこバランスのとれ -
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日本人の絆意識は震災を機に深まったと言われているが、あたかもそれが一般化され、検証されないまま「幸せ=他者への手助け」という普遍構造のごとくまかり通っている感に疑問を感じる。レベッカ・ソルニットは著書「災害ユートピア」の中で、大災害の中に奇妙な共同体が生まれる理由について、平常時の様々な構図が崩壊することによって大多数が兄弟の番人になろうとし、同じ目的意識、連帯感の中に一種の喜びをもたらすからと分析している。つまり「かかわりへの喜びは」ある意味特需的ともいえ、決して普遍の意識とは言い切れない。ただ、そうは言っても、著者自身がかわり度に対してSQというレベル分けしている以上、その前提は大して問題
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フリーターやニートなどの若年層の労働問題、監視社会論、ネット上のコミュニケーションの問題を取り上げ、バウマンの言う「カーニヴァル型の近代」に向かう動向を読み取ろうとしています。
労働問題、監視社会論、ネット上のコミュニケーションの問題と、いずれも大きなテーマについての著者自身の見方が示されているのですが、やや密度の濃い議論を詰め込みすぎのように感じました。
いちおう本書の結論は、ギデンズの言う「再帰的近代」が進み、あらゆるものごとが自己にとっての選択の対象となることで、さまざまな社会関係の中で自己に割り振られた「役割」を統合する「反省的な自我」が失われ、そのつどデータベースに問い合わせをお