橋本紡のレビュー一覧
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浮気性の父親と暮らす、全員母親の異なる三姉妹のストーリー。父親の家出から物語が始まるので、三姉妹と、それぞれの周囲の人たちとの交流で、物語が進んでいく。
三姉妹の距離感がすごくいいなと思った。異母姉妹だし、年齢も離れているし、父親は結婚と離婚を繰り返していて三姉妹それぞれの母親以外の女性とも暮らしていた時期があるみたいで、とてもいびつな家族。私自身は一人っ子だから、この三姉妹のどこまでが一般的でどこからが一般的ではないのかわからないけど、誰かが悩んでいることには気づくけど踏み込まないとか、気まずいことがあっても一緒に食卓を囲めば落ち着くところとか、その距離感が素敵だった。 -
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読み終わったあと、心が洗われる感じがした。
ある日お兄ちゃんが幽霊となって戻ってきたというのは現実味のない話なんだろうなーと思っていたが、お兄ちゃんとゆきなのやりとり、登場人物、さりげない描写にどんどん引き込まれた。
本書は各章の名前が作品名となっている点、さまざまな料理が登場する点がユニークだなと感じた。どちらもむりやり話に組み込んでいる雰囲気は一切なく、物語のエッセンスとして大事な役割を担っている。ちなみに登場する料理はどれもすごく美味しそうで、自身でも作りたいなと感じた。こんなお兄ちゃんがいたゆきなが羨ましい。
優しい気持ちになれる本なので、たくさんの人に読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3姉妹の個性がそれぞれまったく違う。それぞれのお母さんのことをまるで他人事のように話す。
坂本くんの言う通り、やっぱりこの家は普通ではない!
まあお父さんが普通ではなさそうですからね。
けれど、なんのまとまりもないけれど、杏のつくる美味しいごはんでつながり、お互いのいいところだめなところ全部認めあう、良い家族やなと思います。
それぞれの鍵となる場面で頭によぎる、夜中の雨、アイスを買いに行く道すがら。
こういう何でもないことが、人生を支える大事な一幕になるんですね。
そして何よりすごいのは
もしかしたら自分の子ではないかも知れない子を受け入れる決意をした香川さん。
かっこいい! -
Posted by ブクログ
同じシーンを姉妹、3人の視点で繰り返される箇所が何箇所かあって、面白かった。
しっかり者の澪、おっとりした環、天然な杏、と紹介されているが、杏もかなりのしっかり者だ。吉野家の食卓を切り盛りしているし、姉2人をいつも静観している。
悪いけど、環みたいな人が同僚にいたらやっぱり嫌だなー。頭もいいし、美人なのに仕事はイマイチ。しかも、中途入社した会社で妊娠が発覚し、すぐに産休…って。
3人は姉妹というより、親友同士の様で楽しそうだった。お父さん、いなくてもいいんじゃないかと思ってしまう程。でも3人はそれぞれにお父さんを必要としている。お父さん、幸せだね。
2016.2.24 -
Posted by ブクログ
一昔前に半月ブームを巻き起こした同作ラノベの完全文庫版ということで試しに読んでみました。
青春小説として、とてもよかったです。軽すぎず重すぎず、思春期のどうにもならない閉塞的な感じとキラキラした感じ。箱庭みたいな病院で繰り広げられる、ごく普通のボーイミーツガール。これがラノベ読者層にヒットしたのは作者の力量でしょうね。作者の方はSNSでの問題発言が物議を醸したりして、ちょっと穿った見方をしていたのですが、作品は別だと感じました。エディプスコンプレックスの話とも取れますが、憎かった父親との心温まるエピソードなんかはホロリときました。全4巻とのことですが、挿絵がないので初稿ラノベ版も読んでみたいで