【感想・ネタバレ】九つの、物語のレビュー

あらすじ

大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが…。ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。

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古典文学と日常が絡まる九つの連作短編。
長くあっていなかった兄が突然家に帰ってくる。そしていつかの日々のように、兄が作る美味しいご飯を食べながら本について語りを重ねていく。お互いの恋人を紹介しあったりもする。

食べること、恋をすること、本を読むこと、生きることの楽しさや愛情がつまった一冊だった。
同じ本を読んで、同じ景色を見て、同じ料理を食べても、感じ方は人の数だけあるはず。そこに意味を見出すのは感じる自分自身だから。

本書に登場するトマトスパゲティのレシピのように、何かが増えたりかけたりしても美味しくなる。それが人生なんだなって思うと、もう少しだけ肩の力を抜いて生きていける気がした。

大切な人と一緒にご飯を食べたくなるし、誰かとそっと手を繋いで温もりを確かめたくなった。

ここにでてくるトマトソーススパゲッティはいずれ作る!

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2025年11月17日

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手放すことができずにもう何度も読み返しているため、いい感じにボロボロになりつつある大好きな小説をまた久々に読み返しました。
食べることは生きること、そんなことを思い出させてくれて、ちょっとだけ優しくなれる。そんなお話です。

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2025年09月04日

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様々な文学作品とともに語られる、幽霊のお兄ちゃんが作る美味しい料理、それから恋。全体的に優しい雰囲気が漂いながらも、喪失の痛みが散りばめられています。お兄ちゃんがいかにゆきなのことを大切に思っているのか、さりげない会話の中でもよくわかります。ずっと続いてほしい日常、でもそれにはいずれ終わりがくる。しかしそれは悲しいものではなく、むしろ温かく優しく穏やかなものでした。

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2024年07月05日

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今まで何回も読み返しているお気に入りの本。料理や本が話に出てくるからでもあるが、人の気持ちや考えを感じることができるから何回も読み返してしまう。兄弟って良いなと強く感じました!

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2022年07月09日

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解説の最後にある通り、「食べること、恋をすること、本を読むこと――生きることへの愛情がたっぷり詰まった」作品でした。
人は間違いを犯すし、嘘もつく。誰かを傷付けたり、傷つけられたりする。愛されて幸せを感じるし、美味しいのも幸せだ。そんな人間の素の部分に心を揺さぶられる。

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2022年06月22日

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もう一度読みたいと思った本(実際2、3回読んだ)

内容や設定は複雑なのに、登場人物たちの会話はすごくシンプルで淡々としてた
読みやすかったです

章ごとにある料理の挿絵も素敵でした

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2022年03月05日

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いくつもの良さが相まってとてもよかった。

小説を軸にしている良さ、おいしそうな食事を基点とした兄弟の会話、主人公の後悔と心境の変化。

何がどうよかったのかわからない。けれど、心にさざ波立つ、良い作品だった。

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2022年01月06日

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文学史が絡み合いながら物語が進んでいく様子が、何とも斬新で美しかった。最初は単なるSFかと思ったが、読み進めていくうちに、兄弟愛、恋愛、親子愛、友情などの様々な愛の形を感じた。また、ゆきなとお兄ちゃんの日常がたまらなく愛おしく切なかった。

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2021年05月03日

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すごく読んでいてほっこりするお話で、出てくるお兄ちゃんがつくる料理がとてもおいしそうに描写されているのが印象的であった。
この本で初めて橋本紡さんの本を読んでから、とても橋本紡さんの本が好きになりました。

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2020年10月30日

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ネタバレ

素晴らしい一冊だった。儚くて美しく、軽快だけど軽薄ではない、綱渡りのような危うさが魅力的だった。途中まで、お兄ちゃんが幽霊である必要がどこにあるのか疑問だったけど、藤村妹のピアノ線のような張り詰め方を表現するには、そうすることがベストだったんだと最後で分かった。人生の醍醐味は、恋をすること、本を読むこと、そして食事をすることなのだと言わんばかりの一冊。それでいて、異論は認める、というような寛容な温かさをもった空気感が素晴らしい!

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2020年04月12日

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展開のグラデーションが上手な気がした。

久しぶりに読み返してみて、悲しい展開があったことだけなんとなく覚えていて、まあ最初からいつかは、というのがわかるんだけれども。もどかしい気持ちは抱えつつ読み進めていくと気持ちが上がったり下がったり上手く緩急がつけられているようで私はまんまと?物語の世界にハマっていた気がした。そんな感じで後半は読む手を止められずに勿論泣きながら、読み切った。

やはり一度読んでからも置いておいて良かったなと思った。言葉遣いが綺麗な、本当だったら少し違和感があるこれが好み。

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2024年06月11日

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ほっこりする恋愛小説って感じだった。
兄と妹のやり取りが、とっても愛らしくて幸せな本を読みたい時におすすめの本。

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2024年05月14日

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野暮ったい感想もあるかもだが、おっちゃんにはスッと入り込んできた作品。

いいじゃないの、仲良し兄妹。

ツラは不細工でも、ハートはイケメンで有りたい、おっちゃんも精進します。

橋本 紡さんの、他の作品も探して見たくなりました。良かったら、推しの二人目になるかも?

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2023年07月04日

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小学生の時、好きだった作品
美味しいご飯を食べることや本を読むことの楽しさを思い出させてくれる
普段あまり読まない文学作品も挑戦してみたくなる

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2023年07月02日

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まあ、内容はどうでも良い感じ。でも、本を読むこと、食べること、音楽を聴くこと、知らない街を歩くこと、身体を動かして心地よい疲労感に包まれること、何もしないでぼーっとしてること、あとは暇つぶしってなんだろう?

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2023年02月19日

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料理と有名文学にハマるきっかけになった小説。
主人公の彼氏の心情がわからずやきもきしたけどお兄さんが稀代のイケメンだったので心の拠り所となりスッキリ読めた。
少し寂しくなる最後だったけどあたたかい話だった

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2022年06月03日

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切ないお話だけど、とても温かな気持ちになれる。
9つの物語を知れば もっとこの物語にも深みが出そうで、読んでみたいと思わされた。
そして、トマトスパゲッティがとてもおいしそう!

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2021年12月12日

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大学の近代文学の授業で教科書代わりに読んだ。この本単体でももちろん楽しめるし、近代文学に触れる糸口にもなると思う。女の子の「こんな兄が欲しかった」を詰め込んだようなお兄ちゃんが素敵。

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2021年12月12日

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橋本紡さんの本は、
私の日常も落ち着いた静かな気持ちにしてくれる。

各章ごとに表題作となってる小説があるので
読書意欲が掻き立てられるし、
お兄ちゃんがつくるごはんがいつも美味しそうで
食欲も湧いてくる。

綺麗で静かなイメージの中に
人間らしい感情(綺麗ではないそれ)が垣間見える描写もある。
麗なだけではないところが好きなところ。

(結末をもう少し長く読みたかったので星4だが、限りなく5に近い4ということは自分の中での備忘録として記したい。)

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2021年05月02日

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読み終わったあと、心が洗われる感じがした。
ある日お兄ちゃんが幽霊となって戻ってきたというのは現実味のない話なんだろうなーと思っていたが、お兄ちゃんとゆきなのやりとり、登場人物、さりげない描写にどんどん引き込まれた。
本書は各章の名前が作品名となっている点、さまざまな料理が登場する点がユニークだなと感じた。どちらもむりやり話に組み込んでいる雰囲気は一切なく、物語のエッセンスとして大事な役割を担っている。ちなみに登場する料理はどれもすごく美味しそうで、自身でも作りたいなと感じた。こんなお兄ちゃんがいたゆきなが羨ましい。
優しい気持ちになれる本なので、たくさんの人に読んでほしい。

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2019年10月06日

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この人の作品は、いつもほんわかと温かくなるから好きです。
このお話はファンタジー?現実とはちょっと違うけど、辛いことも受け入れて前に進んでいくには、お兄ちゃんの出現は大切なことだったのね、と思えます。

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2019年05月26日

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ネタバレ

いろんな本と食べ物が出てくる。
読みたいと思ったのは「山椒魚」
食べたいと思ったのが「トマトスパゲッティ」
働き出してから本を読む事が日常になって来て、ご飯を食べるのと同じくらいに本を読みたくなる時がある。それは多分、この本にも出てくるこの感覚をもう知っているからかもしれない。
「たまたま読んだ物語の中に、わたしがいた。ああ小説とは、と思った。どこかの誰かが書いただけの話。まったくの作り物。それがなぜか絶妙のタイミングで、わたしたちの心に飛び込んでくる。とても不思議なことだ。そして、とても大切なことだ。」

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2024年10月06日

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こういった非日常的なお話ははじめてで、以前の自分なら「う〜ん…」という感想だったかもしれません。

けれど、人間生きていると「まさかこんな事になるなんて…」という経験を嫌でもしなければならない事があると思います。

自分はそんな経験をして以降、自分の中から「そんな事あるわけない」という考えがなくなったような気がします。

だから、この物語を読んでもわりとすんなりと入ってきました。うまく言えないけれど、きっとこの物語を読んで、独りじゃないんだと安心した人もいるんじゃないかなぁ。

人生のいつ読むかによっても感じ方が大きく変わってくる話かもしれませんね。

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2024年02月11日

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心温まる日常な話し。

ただ、非日常が日常に混ざり込んでる話し。

大きな後悔を抱えてる人が、これから後悔しそうな人に、かなり過保護でお節介をやく優しい話しだった。

もう少し大きくなったら娘に読ませたい一冊。

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2024年02月06日

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長く会っていなかった兄が突然帰ってきた。本好き、料理好きな兄との暮らしに徐々に慣れ、この生活が続くと思われたが─。連作短編集。

太宰治や泉鏡花など9つの文学作品が各章ごとに出てくる。
飄々とした兄に振り回されながらも、なんだかんだ仲良し兄妹。
兄の作る料理も美味しそう。
終盤の兄の台詞が優しくて、兄妹愛が溢れていて、すごく印象的だった。
締め方も好き。

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2023年09月16日

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幽霊となった兄との不思議な日々を、物語とともに綴る。出発点がそうさせるのか、文体がやっぱり若い女性を(たぶん大人しめな)書くのに合っているのか、柔らかい表現&作風だ。

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2022年09月11日

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ネタバレ

妹からしたら、お兄ちゃんが死んだことも、幽霊としてもいなくなったことも、とても重くて悲しいことなのに、お兄ちゃんが淡々と、そして妹への愛を大切に過ごしてるから、そのギャップにドキドキした。
お兄ちゃんは世界に溶け込んでるって良い考え方だなぁ。私も死んだペットがまだ世界にいて私を見守ってるって信じてる

あと、所々の描写で、香月くんが丁寧で綺麗な人なんだってことが伝わってきてきゅんとした。

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2022年03月18日

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文豪達の作品を絡めながら、幽霊になった兄と大学生の妹ゆきなの日常が描かれています。

ほんわかとした雰囲気で作品が進み、お兄ちゃんが作る美味しそうなご飯に、思わず真似してみたいという気持ちになりました。
ドラマのように、ゆっくりと少しずつ話が展開していきますが、最後は今までとは対照的で少し意外に思う展開でした。

この本をきっかけに知った作品や料理のレシピもあり、物語の展開はもちろん、色々な知識を得られるという点でもすごく楽しめました。
兄弟の優しい日常を見守るだけではなく、色々と考察してみても楽しめそうだなと思います。

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2022年02月07日

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最後の解説の佐藤真由美さんって作家さんなんだろうか?わからないけど、読んだあとにこの解説読んで、同調しまくった。

うまく言葉にまとめられない私の言葉を綺麗にまとめてくれていて!わかる!それそれ!っていう。笑笑

料理と、読書と、恋愛がうまーく一遍に収まった9個の物語。それぞれ一冊有名な本にちなんでおり、一つ、美味しい料理が出てきて、ゆるやかな恋模様と主人公の葛藤が描かれているんだけど、そこに死んだはずのお兄さんがスパイスとして登場します。

これな。

笑笑

これがなかったら淡々と誰かの日記のような話で終わってたのかも。

真面目一辺倒のゆきなと、チャラ男っぽい死んだ兄。なんだろ、日々の描写がとってもわかる、、、電車での話、公園での出来事、終電、河原、学校、自宅、本の扱い。笑笑

本が出てくる本。笑笑

面白い。どのひとのも有名作家だったけど、どの本も未読でした。笑笑

なんかこう、優しい気持ちになれたり、深呼吸の代わりにゆっくり読みたいときのそんな一冊!!お腹減ってる時に読むのは要注意かな。

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

死んだはずのお兄ちゃんと私の、奇妙な共同生活。お兄ちゃんは何をしに帰ってきたのか…お兄ちゃんは何故死んだのか....少しずつほどけていく謎が楽しかった。また、作中に主人公が読んでいた本にも興味を持てた。

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2019年05月29日

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