【感想・ネタバレ】九つの、物語のレビュー

あらすじ

大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが…。ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

素晴らしい一冊だった。儚くて美しく、軽快だけど軽薄ではない、綱渡りのような危うさが魅力的だった。途中まで、お兄ちゃんが幽霊である必要がどこにあるのか疑問だったけど、藤村妹のピアノ線のような張り詰め方を表現するには、そうすることがベストだったんだと最後で分かった。人生の醍醐味は、恋をすること、本を読むこと、そして食事をすることなのだと言わんばかりの一冊。それでいて、異論は認める、というような寛容な温かさをもった空気感が素晴らしい!

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2020年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いろんな本と食べ物が出てくる。
読みたいと思ったのは「山椒魚」
食べたいと思ったのが「トマトスパゲッティ」
働き出してから本を読む事が日常になって来て、ご飯を食べるのと同じくらいに本を読みたくなる時がある。それは多分、この本にも出てくるこの感覚をもう知っているからかもしれない。
「たまたま読んだ物語の中に、わたしがいた。ああ小説とは、と思った。どこかの誰かが書いただけの話。まったくの作り物。それがなぜか絶妙のタイミングで、わたしたちの心に飛び込んでくる。とても不思議なことだ。そして、とても大切なことだ。」

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

妹からしたら、お兄ちゃんが死んだことも、幽霊としてもいなくなったことも、とても重くて悲しいことなのに、お兄ちゃんが淡々と、そして妹への愛を大切に過ごしてるから、そのギャップにドキドキした。
お兄ちゃんは世界に溶け込んでるって良い考え方だなぁ。私も死んだペットがまだ世界にいて私を見守ってるって信じてる

あと、所々の描写で、香月くんが丁寧で綺麗な人なんだってことが伝わってきてきゅんとした。

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2022年03月18日

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