松沢裕作のレビュー一覧
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Twitterで見かけたこの本、読みやすい良書だった。
不景気、大きな社会構造の変化期ゆえに肥大化する大衆の不安、家に搾取される女性たち、貧困者への冷たさ、競争社会、若い男性たちの暴動など。
切り口もわかりやすく、小学校高学年からでもわかるだろう。
作者の視線は、明治以降の、成功者=特別努力した者、という思想に嵌まる罠について集中して警句を発してくれる。
昨今の考えにもおおいに通じるこの感覚は、確かに怖いものだ。
この罠の背景にある物を見れば、日本社会が、自分は苦労しているのに、のうのうとして怠けている(ように見える)のに生活をみんなのお金から補填してもらうヤツへの冷たさがなにによって起こるの -
Posted by ブクログ
本書は大学における講義内容をもとに執筆されたものだが、とても興味深い内容で広くお薦めするに値する本だと思う。
副題に「社会集団と市場から読み解く」とある通り、「社会集団」と「市場(マーケット)」の2つを軸として、歴史的事象が整序され叙述されていく。
はじめに示されるのだが、明治期日本社会の構造を示した基本的な見取り図(13頁)が参考になる。
まず、日本近代社会を理解する前提として、江戸時代の社会(日本近世社会)の構造についての説明がある。
・領主制
・農村における基本的単位の「村」と、連帯して領主に年貢を納める責任を負う村請制
・「町(ちょう)」と、労働提供義務である”役”
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Posted by ブクログ
大学の先生が、大人のために、個人主義とかGDPとか多数決とか公正や信頼などについて解説してくれる本。
多数決は何かを決めるときに必ずしもベストな手段ではないとか、なるほど。
利己主義は昔からあるけれど、個人主義は比較的新しいもので、国によって発生過程が異なり、「フランス革命に反対する勢力が、社会を解体する良くないものだと否定する文脈から登場し、19世紀半ば以降の英国では、個人の自由な経済活動が『小さな政府』とセットで強調されるようになり、哲学と文学が盛んだったドイツでは多様な個性を重んじる個人主義が重んじられ、アメリカでは他人の力を借りず一人でやりとげる『セルフ・メイド・マン』の概念と結び -
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現代社会の抱える課題について、経済学・歴史学・政治学・社会学の視点から考えている作品です。
経済成長の基準とされる「GDP」について、その数値が示すものの意味と、GDP値を上昇させることの意味。
また、日本において根深く残る「勤労」感(働かざる者食うべからず、として貧困層をかれらの努力不足と断じる姿勢など)がどのように醸成されてきたのか。
多数決で物事を決定してゆく民主主義が抱えているシステム的な「課題」や、また「社会福祉」として行われる弱者救済が「人びとのニーズ」に合致しなければならないことなど、「これから先の社会」を考える前提としての「現代の社会」について、どのような仕組みで動いているの -
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前々から気になっていた井出英策。今年一発目の本として「日本財政 転換の指針」を開き、ちょうど就任式を迎えたトランプ大統領の移民を排斥しようとする政策がなぜ得票に繋がるのか?の不思議に始めて明快な説明を受けたような気がして、講演会も聴きに行き、そこで民進党の前原誠司のブレーンとして研究だけじゃなく現実にコミットする!という宣言を聴き、著作も辿りながら、「財政」という自分にとっての新しいキーワードを手繰ってきた2017年は「大人のための社会科」を読んでの締めくくりとなりました。たぶん彼の案による「all for all」にも強いメッセージを感じ期待もしていたのですが、呆気なくテイクオフ出来ず瓦解崩
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自由民権運動の研究は1980年代の「民権百年」運動をピークに長らく停滞している(とあえて断言してしまう)が、本書はそうした停滞を打ち破る可能性を感じる労作である。戊辰戦争による近世身分社会の解体に起因する人びとの帰属不安や承認欲求を原動力とする社会変革運動とみなす視点は、明らかに今日の新自由主義下の社会混迷(高度成長期に形成された社会システムの崩壊、貧困・格差の拡大)を投影しているが(氷河期世代の著者の問題意識が垣間見える)、自由民権運動を把握する際にこれまでネックとなった「復古」的要素や「堕落」・「逸脱」と評されがちな事象をも正当に評価する意義を有している。秩父事件を運動の終点とし、大同団
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著者がさまざまな機会に発表した論考などをまとめた本です。
学会発表に対する著者のコメントや、他者の著作の解説にあたる文章などが多く、歴史学を専門としない読者にとってはコンテクストが理解しづらいと感じるところもあります。とはいえ、日本近代史とともに史学史にも関心を向けつづけてきた著者らしく、過去の歴史学の方法を踏まえつつ、現在の研究の最前線において歴史学研究の方法にどのような変化が生じているのかということをていねいに論じているところもあり、興味を引かれるところもありました。
巻末に収められているのは、本書のタイトルにもなっている「歴史学は世界を変えることができるか」という論考で、抑圧からの解 -
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ネタバレ歴史学者が論文の中で何をやっているかについて書かれた本。平易な文章で非常に分かりやすい。
また、個人の考えが重視される政治史、人々が規範として共通に持っていた考えを重視する社会史、そういった誰かの考えを離れて市場の動向とそれに対する諸反応を重要視する経済史、といった、歴史学の下位分野の違いも理解できた点では学びが多かった。
歴史学の論文からの引用が多く、もちろんそれぞれにはわかりやすく補足説明や解説が付与されているものの、論文の内容自体があまり興味が湧かないと多少読んでいて退屈さを感じるかもしれない。とはいえ、論文の書き方や資料(史料)の利用の仕方などは、歴史学に限らず人文学を学ぶ多くの人にと