松沢裕作のレビュー一覧

  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    “貧乏してるやつは努力が足りないからだ”というのは正しいのか。努力すれば誰でも裕福になれるのか。歴史学者である著者が、誰もが陥りがちな「通俗道徳のわな」の理不尽さを、激動の時代だった明治時代と現代とを対比させながら、弱い者への優しい眼差しとともに明らかにしていく。

    新自由主義に染まっちゃあ政治家と...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    「通俗道徳」(安丸良夫氏)が、本書の中で、明治時代(その延長である現代)の「生きづらさ」を説明する、非常に明快なキーワードの役割をしていて、本書の内容が非常にわかりやすかった。掲載されている参考文献も読んでみたいと思った。
  • 大人のための社会科--未来を語るために
    社会の一員として、私たちの問題を私たちで考え、決め、動かして行く人が、大人だとわかった。

    ・情報を盲信せず、自分の頭で考え判断すること
    ・変化を捉えるためには過去を理解すること
    ・人は忘れ、解釈も変わる、だからこそ事実を記録に残すこと
    ・一分野に固執せず、視野を広く保つこと

    社会で生きていく上で...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    ・明治社会と令和社会は同じ問題を抱えているようにみえる。
    ・松方デフレ→小作農の増加、格差の拡大
    ・「通俗道徳」は人々を競争においやった(社会の責任なのに「自己責任」の押しつけ)。これは現在も続いている。
    ・「家」が女性を酷使した。これも現在でも続いている。
    ・「家」の借金のために娘に「自分の意思」...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    子どもの通っている中学受験進学塾の保護者向け情報誌のオススメ図書に掲載されていたので読んでみた。
    日本の競争社会を激化させるのに加担(?)しているかのような最強進学塾のオススメ図書なのに、努力が報われるとは限らないという内容。
    逆に安心する。
    通俗道徳のワナにまんまとハマっていた就職氷河期世代の小市...続きを読む
  • 大人のための社会科--未来を語るために
    ポピュリズムに危機感を持つ「大衆」が読むのにちょうどよい本。
    答えを示してくれるわけではないが、それこそが答え。
    各人が考えるべし。それが「社会人」の本来の意味ではないか。
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    近代日本のはじまりに「仕掛けられた」価値観が、現代の我々に深く内面化し「伝統」というラベルで、いかにも古くからある揺るがないもののように錯覚させられている。その結果の「生きづらさ」について、もっと考えたいし歴史から学びたいと思えます
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折
    戊辰戦争が自由民権運動に大きな影響を与えているという見方は画期的だと感じた。自分は戦争の中身と終戦後の被害に目を向けがちだった。しかし、結果はどうであれ戦争が後の時代に与える影響は計り知れないものがあると実感した。今後は自由民権運動前後の出来事や人々の動きに注目していきたいと思う。
  • 町村合併から生まれた日本近代 明治の経験
    最新の歴史学研究に基づく本で、大変おもしろかった。
    色々と歴史は塗り替えられているのである。

    最近の教科書では、士農工商というヒエラルキーは教えない、ということだし、正しい歴史観を保つことは難しいものである。
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折
    ○目次
    はじめに
    第1章:戊辰戦後デモクラシー
    第2章:建白と結社
    第3章:「私立国会」への道
    第4章:与えられた舞台
    第5章:暴力のゆくえ
    終章:自由民権運動の終焉
    おわりに

    ○感想
    本書は、地方民会など近代の自治体制度史を専門とする作者が、自由民権運動というパンドラの箱を開け、研究史を整理した...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    明治時代と現代を比較してみる、という発想が面白い。自己責任、失敗した者は努力不足、という傾向は明治からあったのだな、と。江戸時代という問題がありながらも安定したシステムが破壊されたこと。資本主義によって成功者と失敗者が明確に分かるようになったこと。それらが弱者厳しい社会となった原因な訳ですが…本書で...続きを読む
  • 大人のための社会科--未来を語るために
    選挙や多数決、モノを「公正に」分割するにしろ、さまざまな方法がある。タルムード法、比例分配。ボルダルール、などなど。
  • 大人のための社会科--未来を語るために
    前原さんの理念のバックグラウンドとなっていたのだろう考え方だ。王道のテーマがまた新しい視点で語られる。わかりやすく腹落ちもする。良い本だとおもう。
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折
    自由民権運動。なんとも響きのいい言葉。と思いきや、まったくのまやかし。身分制社会に代わる新しい社会制度として民主社会を求めた、まではよかったが、実際には戊辰戦争での功労者の地位を求めた運動だった。挫折して当然。
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折
     「自由民権運動」は、学校で習うイメージで言えば、西南戦争の後に言論の力で戦い、議会開設という民主主義の果実を得たという、現代的な、崇高なもののように思える。とりわけ、昭和に入って戦争に突き進んだ歴史を闇とすれば光として描かれやすい歴史である。
     しかし、実際はどうか。著者は、板垣・星といった運動エ...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    Twitterで見かけたこの本、読みやすい良書だった。
    不景気、大きな社会構造の変化期による大衆の不安、家に搾取される女性たち、貧困者への冷たさ、競争社会、若い男性たちの暴動など。
    切り口もわかりやすく、小学校高学年からでもわかるだろう。
    作者の視線は、明治以降の、成功者=特別努力した者、という思想...続きを読む
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    「社会が大きく変化し、先行き不透明で、不安な現代社会は明治時代とよく似ている」と言われますが、明治時代の社会不安の原因や仕組みや問題点を丁寧に解説してある本書は、私達にとって、とても参考になるものだと思いました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

    面白い

    久々に岩波ジュニア新書を読んだが、こんなに面白かったのかと驚く。以前はそんなに面白くなかったのに。
    さて、本書の内容については、実に興味深いという一言に尽きる。詳細はネタバレになるから書かないが、この本は広く大人にも読んでほしいと思う。
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代
    明治時代は生き辛かった。国家が強調され、立身出世の競争を煽る社会であった。頑張ることに価値があるという通俗道徳の罠に陥っている。それは昭和の精神論根性論やガンバリズムにつながっている。

    日本人は制度作りの経験が乏しいため、社会保障制度のような制度で救う仕組みを作るよりも個人に頑張らせる方向に働く。...続きを読む
  • 日本近代社会史
     本書は大学における講義内容をもとに執筆されたものだが、とても興味深い内容で広くお薦めするに値する本だと思う。
     副題に「社会集団と市場から読み解く」とある通り、「社会集団」と「市場(マーケット)」の2つを軸として、歴史的事象が整序され叙述されていく。
     はじめに示されるのだが、明治期日本社会の構造...続きを読む