松沢裕作のレビュー一覧

  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    生きづらい明治社会が現代にも通ずるところがたくさんあるというのが驚きでした。著者が一貫して主張していたことは明治の人たちが陥っていた「通俗道徳のわな」というものです。それは「貧困とは怠けてるお前が悪い/努力が足りない/自業自得だ」です。成功した人はもちろん努力をした人なのでしょうが、貧困層は努力をしなかったかというとそうではない。色んな要因があってそこから抜け出せないほどの環境下にいることもあるんだよということ。今のSNSやネットでも同じような光景が垣間見えます。(例えば就職氷河期世代に対する考えとか)

    人間なんて数十年しか生きないのだから150年前と同じような考えを持つ人が多くてもなんら不

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    2025年02月25日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    ・タイトル通り、働く大人が社会の問題点を考えるときの土台を教えてくれる本でした。
    多分学生時代に社会で習ったことも多くあると思いますが、ピンときていないから覚えていないんですよね。
    同じことを学んでも社会に出て経験を重ねることによって「あれは、こういうことだったんだな」と理解出来ることが多くあると思います。
    そういうことが学べる本です。

    ・「労働の義務」ではなく憲法27条「勤労の義務」(まじめに労働にいそしむ)
    を定めているのは日本だけ。
    勤労の義務は25条「すべての国民は文化的で最低限度の生活を営む権利を有する(生存権)」と結びついている。
    勤労の義務を果たしていなければ、生存権は保障され

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    2024年11月20日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    ジュニア新書と銘打つ割にはアングラな話題も。

    明治に限らず各時代の社会の暗部における苦しみを照射する
    ことは、現代のそれを見つめ直すことにつながるなにかを持つものだとは思うが
    変革の時代として捉えた明治と現代において、通俗道徳とネオリベラリズムが定立する自己責任論のはびこる競争社会には共通部があることは首肯せざるをえない。

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    2023年09月02日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    Twitterで見かけたこの本、読みやすい良書だった。
    不景気、大きな社会構造の変化期ゆえに肥大化する大衆の不安、家に搾取される女性たち、貧困者への冷たさ、競争社会、若い男性たちの暴動など。
    切り口もわかりやすく、小学校高学年からでもわかるだろう。
    作者の視線は、明治以降の、成功者=特別努力した者、という思想に嵌まる罠について集中して警句を発してくれる。
    昨今の考えにもおおいに通じるこの感覚は、確かに怖いものだ。
    この罠の背景にある物を見れば、日本社会が、自分は苦労しているのに、のうのうとして怠けている(ように見える)のに生活をみんなのお金から補填してもらうヤツへの冷たさがなにによって起こるの

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    2024年11月11日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    「社会が大きく変化し、先行き不透明で、不安な現代社会は明治時代とよく似ている」と言われますが、明治時代の社会不安の原因や仕組みや問題点を丁寧に解説してある本書は、私達にとって、とても参考になるものだと思いました。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

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    2023年04月25日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

    購入済み

    面白い

    久々に岩波ジュニア新書を読んだが、こんなに面白かったのかと驚く。以前はそんなに面白くなかったのに。
    さて、本書の内容については、実に興味深いという一言に尽きる。詳細はネタバレになるから書かないが、この本は広く大人にも読んでほしいと思う。

    #深い #タメになる

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    2023年01月18日
  • 日本近代社会史

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     本書は大学における講義内容をもとに執筆されたものだが、とても興味深い内容で広くお薦めするに値する本だと思う。
     副題に「社会集団と市場から読み解く」とある通り、「社会集団」と「市場(マーケット)」の2つを軸として、歴史的事象が整序され叙述されていく。
     はじめに示されるのだが、明治期日本社会の構造を示した基本的な見取り図(13頁)が参考になる。

     まず、日本近代社会を理解する前提として、江戸時代の社会(日本近世社会)の構造についての説明がある。
     ・領主制
     ・農村における基本的単位の「村」と、連帯して領主に年貢を納める責任を負う村請制
     ・「町(ちょう)」と、労働提供義務である”役”

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    2022年04月29日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    「貧しいのは努力が足りないから」「辛いのはお前だけじゃない」「日本にそんな余裕はない」と生活に行き詰まった人を批判するのは現代だけではなかった。明治時代もまた、そうであった。
    明治政府はクーデターを起こした士族の政府で、実際カネはなかったのであるが、投票も一定以上の税金を納めた男子のみ、議員も金持ちばかりだから、当然自分の所属している階層が得するような社会を作る。そうするとますます貧しい人は救われない。
    現在は、18歳以上なら投票できるし、被選挙権も収入とは関係なくある。しかし、国会を見たら二世三世議員ばっかり。小学校から私立で、お金の苦労なんかしたこともない人が政治のトップにいて、自分の所属

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    2020年08月14日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    この手の話はよく海外との比較で語られ、書き手と読み手の理解や認識に差が出てしまい、緻密に論理を積み上げても伝わらないことが多いように感じるが、これは日本という国の中での比較で面白いと思った。「貧困層」を中心に通俗道徳や生存者バイアスの話が主だが、もう少し明治時代における「普通/中流家庭」と「貧困層」の比較もあるともっと説得力が増すと感じた。

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    2020年06月07日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    岩波ジュニア新書なので中高生向けに平易に書かれており、1〜2時間もあれば読める。しかし、内容は重要。

    この本のキーワードの1つは「通俗道徳」。明治時代には江戸時代の身分制社会の枠がなくなり、自由になった。しかし、人々は自由な競争社会の中で安心して暮らせるようになったのか。著者の答えは明快であり、頑張れば成功できるという「通俗道徳」によって競争を煽られる社会は決して安心をもたらしはしなかったということである。

    近代の資本主義社会はこうした「通俗道徳」を形を変えながらも発信し続けており、今もなおそうである。もちろん、20世紀に入る頃には(つまり明治が終わり大正期に入ってくると)社会政策的な施策

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    2020年05月19日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    共同社会の一員であることを強要された江戸時代から個人主義の明治になって、自由になった一方で、セーフティネットが失われた。もともと資産なり身分なりを持っている成功者が「通俗道徳」を盾にしてセーフティネットを否定する、「生きづらい明治時代」を概説する一冊。
    通俗道徳とは、勤勉、倹約、親孝行といった、これといった深い哲学的根拠に支えられるまでもなく「良いこと」と考えられる行為のことである。この通俗道徳によって「ある人が直面する問題がすべて当人のせいにされる」。ひいては社会保障の否定につながるという話である。(安丸良夫の指摘を紹介している)

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    2019年11月30日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    講談社のブルーバックス。なので中高生対象に書かれたものですが、日本社会でこれから大人になる人にぜひとも知り考えてほしい内容です。格差の広がる現代日本社会で「自己責任」が叫ばれるのはなぜか?その原因は明治の日本社会経済状況にあるのではとの指摘なのですが、明治と今の社会状況を比較するとあまりにも似通っている(つまり現代社会が明治時代まで後退している)ということがわかります。

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    2020年01月16日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    生きづらい社会ってのは、何によって生まれているのか?
    ってのを、明治時代から学んでみようの巻
    生きづらい社会を生んでいるのは、みんなの認識(通俗道徳)のせいなので、これを通俗道徳の罠と呼ぼうとしたところが、良かった。理解を簡単にするには、名前をつけてしまうのは有効だからだ。(まぁ、有効すぎて間違った認識が広まることもあるけど)

    作者はいったん現代を離れて明治の分析をすることにより、他人事として認識させることで、現代も未だ蔓延している、通俗道徳の罠に気づかせたかったのではないだろうか。

    通俗道徳の罠の根底に、教育すれば誰しも勉強や仕事ができるようになると言う、教育万能説が流れていることにも注

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    2019年10月30日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    大学の先生が、大人のために、個人主義とかGDPとか多数決とか公正や信頼などについて解説してくれる本。

    多数決は何かを決めるときに必ずしもベストな手段ではないとか、なるほど。

    利己主義は昔からあるけれど、個人主義は比較的新しいもので、国によって発生過程が異なり、「フランス革命に反対する勢力が、社会を解体する良くないものだと否定する文脈から登場し、19世紀半ば以降の英国では、個人の自由な経済活動が『小さな政府』とセットで強調されるようになり、哲学と文学が盛んだったドイツでは多様な個性を重んじる個人主義が重んじられ、アメリカでは他人の力を借りず一人でやりとげる『セルフ・メイド・マン』の概念と結び

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    2018年12月02日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    現代社会の抱える課題について、経済学・歴史学・政治学・社会学の視点から考えている作品です。

    経済成長の基準とされる「GDP」について、その数値が示すものの意味と、GDP値を上昇させることの意味。
    また、日本において根深く残る「勤労」感(働かざる者食うべからず、として貧困層をかれらの努力不足と断じる姿勢など)がどのように醸成されてきたのか。
    多数決で物事を決定してゆく民主主義が抱えているシステム的な「課題」や、また「社会福祉」として行われる弱者救済が「人びとのニーズ」に合致しなければならないことなど、「これから先の社会」を考える前提としての「現代の社会」について、どのような仕組みで動いているの

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    2018年03月27日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    公平、多数決にかかわるパートは共感。ただし歴史認識のところは、単純に現在の取り組みに対して批判的なスタンスに寄り過ぎな気がする。

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    2018年10月14日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    のっけから、「上から目線で書きます」んんん、何、上から目線?
    社会について本を書くというのは、もう言わなくても上から目線だろ。
    カチ~~ン。でも、おもしろかった。GDPもこんな風に考えたことなかった。

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    2017年12月29日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    前々から気になっていた井出英策。今年一発目の本として「日本財政 転換の指針」を開き、ちょうど就任式を迎えたトランプ大統領の移民を排斥しようとする政策がなぜ得票に繋がるのか?の不思議に始めて明快な説明を受けたような気がして、講演会も聴きに行き、そこで民進党の前原誠司のブレーンとして研究だけじゃなく現実にコミットする!という宣言を聴き、著作も辿りながら、「財政」という自分にとっての新しいキーワードを手繰ってきた2017年は「大人のための社会科」を読んでの締めくくりとなりました。たぶん彼の案による「all for all」にも強いメッセージを感じ期待もしていたのですが、呆気なくテイクオフ出来ず瓦解崩

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    2017年12月04日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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    自由民権運動について全く詳しくなかったが、戊辰戦争で活躍した、これまで支配層ではなかった人たちが政治や支配層(という言い方が適切かわからないが)に「割りこむ運動」であった、というのは面白かった。

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    2017年02月04日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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     自由民権運動の研究は1980年代の「民権百年」運動をピークに長らく停滞している(とあえて断言してしまう)が、本書はそうした停滞を打ち破る可能性を感じる労作である。戊辰戦争による近世身分社会の解体に起因する人びとの帰属不安や承認欲求を原動力とする社会変革運動とみなす視点は、明らかに今日の新自由主義下の社会混迷(高度成長期に形成された社会システムの崩壊、貧困・格差の拡大)を投影しているが(氷河期世代の著者の問題意識が垣間見える)、自由民権運動を把握する際にこれまでネックとなった「復古」的要素や「堕落」・「逸脱」と評されがちな事象をも正当に評価する意義を有している。秩父事件を運動の終点とし、大同団

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    2016年11月01日