【感想・ネタバレ】生きづらい明治社会 不安と競争の時代のレビュー

あらすじ

日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は,実はとても厳しい社会でした.社会が大きく変化する中,人々は必死に働き,頑張りました.厳しい競争のなかで結果を出せず敗れた人々…,そんな人々にとって明治とはどんな社会だったのでしょうか? 不安と競争をキーワードに明治社会を読み解きます.

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Posted by ブクログ

文字通り、明治時代の庶民の生きづらさについて書かれた本。わかりやすく書かれていて一気に読めた。
都市の下層社会や、様々な競争の中で淘汰された人々の様子
などを描きつつ、そういった明治社会の背景に通俗道徳があり、様々な影響を与えていたことに触れる。
普段自分の見ている明治時代の世界はそれなり以上に裕福な層のものだと改めて感じさせられた。

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2025年10月27日

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この本は正直驚きました。
なぜなら、約150年前と今の問題がほとんど変わってない事に驚きです。
さらにはこの当時の政治家達のセリフも今のほとんど変わってない。
通俗道徳がいかに思考停止させてるのがよくわかる。
150年前とくらべて、ものが進歩したのに、日本人が進歩してないのは笑えるし、アホくさくなる
社会が進歩してなくて、技術だけが進歩する。
それは社会が歪みますわ!
ぜひ、読んで、このアホくさを感じで欲しい。

#読書
#読書記録
#読書好きな人とつながりたい
#明治社会

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

最近AIに夢診断をしてもらった。
それによると私は、自分がダメ人間だとレッテルを貼られることに強い不安があるらしい…情けない。

しかしこの本の著者は、そのような私の不安をわかってくれそうな人だ。

明治時代も現代も弱者に冷たい世の中であることは共通しているようだが、あとがきで著者は言う。
"役に立つとか立たないとか言われるのは、どのような人びとのどのような目的のからみあいのなかで言われていることなのかを見極め、それをお互いに伝え合うこと。私にとって研究とはそのような営みです。"

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2025年04月20日

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新自由主義的な自己責任論の日本史的淵源を、明治社会における「通俗道徳」の成立に見る。その手捌きは、歴史学の成果を踏まえた誠実なものでありつつ、明治社会の都市や農村あるいは家制度や貧民窟、さらには政府の財政状況などなど、興味深い話が次々と語られ、明治社会のイメージが今までより豊かでクリアな気にさせてくれる。

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2024年06月18日

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ネタバレ

“貧乏してるやつは努力が足りないからだ”というのは正しいのか。努力すれば誰でも裕福になれるのか。歴史学者である著者が、誰もが陥りがちな「通俗道徳のわな」の理不尽さを、激動の時代だった明治時代と現代とを対比させながら、弱い者への優しい眼差しとともに明らかにしていく。

新自由主義に染まっちゃあ政治家として終わってる。NISAとか国民に投資を勧めるなんて。国は税金を搾取しますけどあなた方にはなにもしませんと言ってるようなものでしょ。確かにそれで儲かる人もいるかもしれないけど、儲かる人がいるということは必ず誰かが損をするんだよ。それにすら気づけなくなるのが「通俗道徳のわな」。今の政府はそれをうまく利用しているなぁとつくづく思う。

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2023年12月16日

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ネタバレ

・明治社会と令和社会は同じ問題を抱えているようにみえる。
・松方デフレ→小作農の増加、格差の拡大
・「通俗道徳」は人々を競争においやった(社会の責任なのに「自己責任」の押しつけ)。これは現在も続いている。
・「家」が女性を酷使した。これも現在でも続いている。
・「家」の借金のために娘に「自分の意思」、「自己責任」で売春させる。これは経済的な強制による人身売買である。これも外国に輸出する感じで現在も続いている。
・日比谷焼き討ち事件等の騒擾。社会に不満をもつ若者がメイン層だった。
・我々も「通俗道徳の罠」にはまってしまってはいないだろうか。よくみる必要がある。
・『成功したものは正しく努力したものであり、失敗したものは努力をしなかったダメ人間である」という信念がいきわたると、このように「ダメ人間にならないためには、どんな手段をつかってでも成功する」という行動をとる人があらわれてきます。一見するとまっとうな、「成功するためには努力しなければならない」という通俗道徳の教えは、「どんな手段をつかっても、他人を蹴落としてでも成功しなければならない」という、過酷な競争社会を生み出してしまうのです』
→ 関東軍の参謀たちが暴走したのもこのことが原因だったと私は推測している。

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2023年04月05日

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子どもの通っている中学受験進学塾の保護者向け情報誌のオススメ図書に掲載されていたので読んでみた。
日本の競争社会を激化させるのに加担(?)しているかのような最強進学塾のオススメ図書なのに、努力が報われるとは限らないという内容。
逆に安心する。
通俗道徳のワナにまんまとハマっていた就職氷河期世代の小市民な自分がTVや雑誌や日々の生活の中の情報に流されて批判していた特定の誰かではないどこかにいる頑張ってない(ように見えただけ)人に対する不満。その原因が自分の中の不満や不安がどこかの誰かの言葉と重なってできたものだったんだなと思った。

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2022年10月10日

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近代日本のはじまりに「仕掛けられた」価値観が、現代の我々に深く内面化し「伝統」というラベルで、いかにも古くからある揺るがないもののように錯覚させられている。その結果の「生きづらさ」について、もっと考えたいし歴史から学びたいと思えます

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2021年04月04日

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明治時代と現代を比較してみる、という発想が面白い。自己責任、失敗した者は努力不足、という傾向は明治からあったのだな、と。江戸時代という問題がありながらも安定したシステムが破壊されたこと。資本主義によって成功者と失敗者が明確に分かるようになったこと。それらが弱者厳しい社会となった原因な訳ですが…本書では行き詰まった若者の暴動も明治にあった、と指摘されている。

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2019年09月15日

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三宅夏帆さんがおすすめしてたから読んでみたら面白いし読みやすかった!特に印象に残ったのは当時の女性たちの苦悩と、「通俗道徳」という「頑張れば成功する。そうでなければダメ人間。」という考え方。もしかすると今もどこかに蔓延っている考え方なのかもしれない。

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2025年07月24日

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生きづらい明治社会が現代にも通ずるところがたくさんあるというのが驚きでした。著者が一貫して主張していたことは明治の人たちが陥っていた「通俗道徳のわな」というものです。それは「貧困とは怠けてるお前が悪い/努力が足りない/自業自得だ」です。成功した人はもちろん努力をした人なのでしょうが、貧困層は努力をしなかったかというとそうではない。色んな要因があってそこから抜け出せないほどの環境下にいることもあるんだよということ。今のSNSやネットでも同じような光景が垣間見えます。(例えば就職氷河期世代に対する考えとか)

人間なんて数十年しか生きないのだから150年前と同じような考えを持つ人が多くてもなんら不思議ないのだけれど、じゃあ僕らはいつまでも変わらないままなのかと言われるとそれも虚しいなと感じました。若い世代はぜひ読んでみてほしい一冊だと思いました。

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2025年02月25日

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ジュニア新書と銘打つ割にはアングラな話題も。

明治に限らず各時代の社会の暗部における苦しみを照射する
ことは、現代のそれを見つめ直すことにつながるなにかを持つものだとは思うが
変革の時代として捉えた明治と現代において、通俗道徳とネオリベラリズムが定立する自己責任論のはびこる競争社会には共通部があることは首肯せざるをえない。

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2023年09月02日

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Twitterで見かけたこの本、読みやすい良書だった。
不景気、大きな社会構造の変化期ゆえに肥大化する大衆の不安、家に搾取される女性たち、貧困者への冷たさ、競争社会、若い男性たちの暴動など。
切り口もわかりやすく、小学校高学年からでもわかるだろう。
作者の視線は、明治以降の、成功者=特別努力した者、という思想に嵌まる罠について集中して警句を発してくれる。
昨今の考えにもおおいに通じるこの感覚は、確かに怖いものだ。
この罠の背景にある物を見れば、日本社会が、自分は苦労しているのに、のうのうとして怠けている(ように見える)のに生活をみんなのお金から補填してもらうヤツへの冷たさがなにによって起こるのかわかってしまう。
狭い価値観、余裕のない社会、いずれも多様性の裏側に、弱く声のない誰かを追い詰めていく。

(近年、自己責任論を声高に口にした為政者といえば小泉純一郎だが、それ以降の社会の歪みのなかで一体誰が得をしていたのか?
よく見なくてもわかる社会の一端に、私たちが声をあげるべきは自分より下の階層へのうらみ・ひがみ・ねたみ・そねみではなく(田中芳樹)、上つ方への毅然とした意見でしょ。)

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2024年11月11日

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「社会が大きく変化し、先行き不透明で、不安な現代社会は明治時代とよく似ている」と言われますが、明治時代の社会不安の原因や仕組みや問題点を丁寧に解説してある本書は、私達にとって、とても参考になるものだと思いました。
ぜひぜひ読んでみて下さい。

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2023年04月25日

購入済み

面白い

久々に岩波ジュニア新書を読んだが、こんなに面白かったのかと驚く。以前はそんなに面白くなかったのに。
さて、本書の内容については、実に興味深いという一言に尽きる。詳細はネタバレになるから書かないが、この本は広く大人にも読んでほしいと思う。

#深い #タメになる

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2023年01月18日

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「貧しいのは努力が足りないから」「辛いのはお前だけじゃない」「日本にそんな余裕はない」と生活に行き詰まった人を批判するのは現代だけではなかった。明治時代もまた、そうであった。
明治政府はクーデターを起こした士族の政府で、実際カネはなかったのであるが、投票も一定以上の税金を納めた男子のみ、議員も金持ちばかりだから、当然自分の所属している階層が得するような社会を作る。そうするとますます貧しい人は救われない。
現在は、18歳以上なら投票できるし、被選挙権も収入とは関係なくある。しかし、国会を見たら二世三世議員ばっかり。小学校から私立で、お金の苦労なんかしたこともない人が政治のトップにいて、自分の所属する階層が儲かるような社会を作っている。
ということで、明治時代を専門にしている歴史研究者が明治の社会を解説する本ではあるが、現代はじゃあ、どうなの?という問題提起が実はメインテーマである。
まあ、暗澹たる思いがしますね。

勤勉、倹約、努力はそれ自体悪くはない。しかし、そうしたからって、成功や幸福が約束されているわけではない。これを信じ込みすぎると、極端な自己責任論に走りやすい。実際に歴史を見れば、個人の努力とは関係なく、マネーゲームや政治家の判断でインフレやデフレが起こり、突然職を失ったり、資産の価値が無くなったりすることが起きるのは明らか。これを自己責任にすれば、一部政治家、資本家の思うつぼじゃないか、とこれを読んで私も思った。
明治期の生きづらさの理由を解き明かすことによって、現代を生きる私たちの生き方を考えよう、という内容で、明治社会から今に続く「通俗道徳」に縛られる危うさは、知っておいて損はない。就職氷河期の人なんか、真剣に怒っていいと思う。

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2020年08月14日

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この手の話はよく海外との比較で語られ、書き手と読み手の理解や認識に差が出てしまい、緻密に論理を積み上げても伝わらないことが多いように感じるが、これは日本という国の中での比較で面白いと思った。「貧困層」を中心に通俗道徳や生存者バイアスの話が主だが、もう少し明治時代における「普通/中流家庭」と「貧困層」の比較もあるともっと説得力が増すと感じた。

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2020年06月07日

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岩波ジュニア新書なので中高生向けに平易に書かれており、1〜2時間もあれば読める。しかし、内容は重要。

この本のキーワードの1つは「通俗道徳」。明治時代には江戸時代の身分制社会の枠がなくなり、自由になった。しかし、人々は自由な競争社会の中で安心して暮らせるようになったのか。著者の答えは明快であり、頑張れば成功できるという「通俗道徳」によって競争を煽られる社会は決して安心をもたらしはしなかったということである。

近代の資本主義社会はこうした「通俗道徳」を形を変えながらも発信し続けており、今もなおそうである。もちろん、20世紀に入る頃には(つまり明治が終わり大正期に入ってくると)社会政策的な施策も採られるようになってくるが、十分なセーフティーネットとは言えなかった。

最初に松方デフレによる農民の窮乏が描かれている。松方のデフレ政策はあとから見れば、近代的な資本主義制度確立によって評価されるが、当時を生きた人々にとっては非常に厳しい経済政策であった。

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2020年05月19日

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共同社会の一員であることを強要された江戸時代から個人主義の明治になって、自由になった一方で、セーフティネットが失われた。もともと資産なり身分なりを持っている成功者が「通俗道徳」を盾にしてセーフティネットを否定する、「生きづらい明治時代」を概説する一冊。
通俗道徳とは、勤勉、倹約、親孝行といった、これといった深い哲学的根拠に支えられるまでもなく「良いこと」と考えられる行為のことである。この通俗道徳によって「ある人が直面する問題がすべて当人のせいにされる」。ひいては社会保障の否定につながるという話である。(安丸良夫の指摘を紹介している)

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2019年11月30日

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講談社のブルーバックス。なので中高生対象に書かれたものですが、日本社会でこれから大人になる人にぜひとも知り考えてほしい内容です。格差の広がる現代日本社会で「自己責任」が叫ばれるのはなぜか?その原因は明治の日本社会経済状況にあるのではとの指摘なのですが、明治と今の社会状況を比較するとあまりにも似通っている(つまり現代社会が明治時代まで後退している)ということがわかります。

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2020年01月16日

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生きづらい社会ってのは、何によって生まれているのか?
ってのを、明治時代から学んでみようの巻
生きづらい社会を生んでいるのは、みんなの認識(通俗道徳)のせいなので、これを通俗道徳の罠と呼ぼうとしたところが、良かった。理解を簡単にするには、名前をつけてしまうのは有効だからだ。(まぁ、有効すぎて間違った認識が広まることもあるけど)

作者はいったん現代を離れて明治の分析をすることにより、他人事として認識させることで、現代も未だ蔓延している、通俗道徳の罠に気づかせたかったのではないだろうか。

通俗道徳の罠の根底に、教育すれば誰しも勉強や仕事ができるようになると言う、教育万能説が流れていることにも注目したい。教育すれば誰しも勉強ができると言う前提があると、勉強できないのは全部個人の責任になってしまう。んなわきゃねぇよ。とおじさんは思うのであった。

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2019年10月30日

Posted by ブクログ

明治時代という時代の大きな変換期。

IT 革命の最中にいる現代、時代による脅威:簡単に言うと、時代の波に乗れるか、取り残されるか、という不安を漠然と持っている人が多く、自分もそんな一人。

明治時代も同じように、武士という職業がなくなり、社会が大きく変わる中で、近代化が自分の人生にデメリットとして働いてしまった人達も多かったはずで、そんな人達がこの変換期をどう乗り越えたのか。

そんなことを読んでみたくて読んでみたのだけど、そのような話ではなく、
社会制度在り方、特に保障制度が弱者に向けて作られていなかったこと、その要因として、「貧乏なのは努力が足りないから」という通俗道徳が人々の考え方の根底にあったから、というような内容でした。

通俗道徳というものが、いかに社会を作っていくかに大きく関わるんだと思いました。
いや、誰かが作った社会が通俗道徳を世間に蔓延させていくのか。

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2025年08月13日

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ジュニア文庫であるということで日本の近代史を、顧みられない社会的弱者の視点からなぞった入門書といった風情。

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2025年07月12日

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明治社会が生きづらくないわけがない。家電もなければコンビニもスマホもないし。というレベルの低い話ではなくて、本書で特に勉強になったのは先ずは「生きづらさを測る指標」について。

明治の時代には、都市に下層市民の貧民窟があったというが、所謂、失業者のような存在で実入りがない。食べていけない。こうした存在に対するセーフティネットの有り様から、明治社会の暮らしを覗き見たのが本書。

現代でいう「生活保護」のような制度だが、それ以外の法整備も未熟である中、まだまだ弱者救済にまで行き届かない。それでも、恤救規則という1874年に制定された法令にたどりつく。現在の生活保護法に類似した役割を果たしていたのが、この恤救規則のようだ。

ただ、貧弱な内容しかもたない恤救規則はその後も中々改善されない。通俗道徳という、「自己責任論」が根強かった。これは今でも生活保護受給者への視点として残っていると思う。ズルい、怠け者、人のお金で楽している、という考え方。弱者に対して厳しいのは今も昔も一緒。いや、庶民の生活にも余裕がない分、当時の方が更に弱者には厳しい。より、生きづらい社会というわけだ。

時代は、日本政府に対して、戦争に備えて軍備を増強することを最優先とさせ、次には軍事力をささえる産業や交通・通信網の整備。日清戦争の賠結局いつまで経っても中々政府のカネは潤沢にはならず、貧者に金は回せず。

現代の生活保護制度にも見直す点はまだあると思うが、その誕生や歴史を学ぶにも良い一冊だった。他者に厳しい時代。再来せねば良いが。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明治時代に関しては江戸時代が終わって、鎖国が終わり、産業革命で日本は近代化が進んだと教科書どおりの知識しかなかった。
大河ドラマや時代小説の影響で幕末のアグレッシブでエネルギーに満ちた時代から明治時代に移るあの時代は日本は凄く元気も未来もあって、現代より良いとさえ思っていた。当時の普通の人々の生活について、ちゃんと思いを馳せた事がなかったので、この本を読む事で視点が変わった。今までの社会システムがガラッと変わってしまうのだから、当時の普通に生きている大多数の人たちはとても不安もあっただろうなと思う。そして今と何だか凄く似ているな、と思う。明治時代から脈々と続いてきた資本主義社会が段々と限界を迎えている気がするし、AIの発達も世界を大きく変えている。歴史は繰り返すというけれど、今もまた江戸時代から明治時代のような歴史の展開点のような時代のような気がする。

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2025年05月17日

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読みやすかった。江戸時代からの変貌は大きいものがあるのは分かっていたけどそれ故に大変だった事も多かったのだと知ることができた。

努力すれば必ず報われる精神が広まったのはこの頃だったのか

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2023年09月03日

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頑張れば成功する。
安丸良夫さんの提唱する明治期の通俗道徳に囚われているのが明治期の生きづらさと説かれている。
貧民窟、売春のような環境、貧民に対する視線の冷たさ、立身出世による頑張れば報われるという考え。
一見、努力=貧困からの脱出のように思われるが、努力した結果、環境からの脱出が出来なかった場合どうなのかという点が問われている。
明治期の生きづらさと現代の生きづらさは共通はする事があるのではというのが要旨。
共通化しているようで、一概にそうとも言えないというのが自分の意見。
明治期と現代の間を省略して論じるのは無理がある。
それぞれの時代に課題があり、環境も違う。
通俗道徳の概念に違いもあり国民の役割も違うものを同列に扱うのは違うはずだ。
貧困対策に予算が回されなかった社会背景も論じないと一方的に明治は生きづらい社会と断定してしまうきらいがある。
一側面ではあるが為政者の思想も併せて理解しないと結論に厚みが出ないと思われる。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

明治時代の主に貧困層にフォーカスされている。

貧しいのは努力が足りないという、通俗道徳と言われる価値観は明治から始まっており、現代の生活保護を受ける者に対するバッシングのようね感情は、明治にもあるそうだ。
もう少し広く庶民の生活とかが分かる本なのかなと思っていたら、そうでもなかった。

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2022年05月15日

Posted by ブクログ

明治に生きる人

と、我々

生きづらいって人生で、自由かも

罠にハマっているって言われてもそうだと素直に思えないのは
私が今すでに罠にハマっているからなのかもしれない

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2021年10月18日

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明治政府の誕生や廃藩置県といった政策を見ても、ほぼクーデター、大正初期までは暴動が絶えなかった。伝統社会に明治政府という「異物」が覆いかぶさって搾取しているイメージ、現代日本に重なる。しかし現代日本では政府への反乱が中々起きない、何故だろうか。

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2021年03月11日

Posted by ブクログ

明治という社会が大きく動いた時期、その中での人々の日常はどうだったのかを紹介されています。そしてそれを現代社会との比較を通しての問題提起に結び付けられています。明治政府というのが生まれたばかりで力の無い(金の無い)存在であったことが、消極財政となり、社会的な弱者は後回しにされ、それを許容する社会風習があったこと。それは現代社会にも似たところがあり、それを学ぶことで、現代の闇を知ることにもつながります。そのうえで、現代社会の常識に対して、著者からの問題提起がなされています。
日本人は昔から変わっていないという根本的なところかもしれませんが、ひょっとしたら人間そのものの闇なのかもしれないなと思いつつ読ませていただきました。

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2019年10月01日

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