松沢裕作のレビュー一覧

  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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    <目次>
    はじめに
    第1章  戊辰戦後デモクラシー
    第2章  建白と結社
    第3章  「私立国会」への道
    第4章  与えられた舞台
    第5章  暴力の行方
    終章   自由民権運動の終焉

    <内容>
    「おわりに」に著者が書くように、大変クールな自由民権運動の本。ただ教科書よりもリアルな話がうまく盛り込まれていて、読んでいて違和感を感じなかった。板垣退助や後藤象二郎の民権運動への目論見(「わりこむ運動」と表記)。博徒や下層民の民権運動への幻想(「終章」の最後に書かれた秋田県のエピソードが哀しい…)。江戸時代からわずか10年程度しかたっていない中、今の我々が考えるような「民主主義」が日本に根付いていたわ

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    2016年11月11日
  • 町村合併から生まれた日本近代 明治の経験

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    本書では、明治の町村合併こそが、日本において「近代」社会を成立させたと主張されている。
    著者の考える近代社会とは、境界を持たない世界(=市場)と境界を持つ権力(=国民国家)が併存する社会である。境界を持つ権力である国民国家、あるいはその下部の単位(府県、市町村)は、人びとの暮らしが市場という無境界的な結びつきに委ねられているということを前提にしたうえで便宜的に境界を設け、それぞれの持ち場として便宜的に管理するシステムだという。その便宜的な線を引き、日本において市町村―府県―国家という同心円状の世界を完成させたのが町村合併であったとする。
    江戸時代までの日本には、現代の我々が考えるような「地方自

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    2014年05月30日