松沢裕作のレビュー一覧

  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    本書は、明治社会がいかにして「通俗道徳(努力は報われるという信仰)」と「自己責任」の檻を築き上げてきたかを、緻密な史料批評を通して描き出している。
    「病気にかからないのは、精神力があるからだ」 。明治の実業家・大倉喜八郎のこの言葉に対し、歴史学者である著者は「年中かぜをひいたり寝込んだりするので、うんざりしました」と漏らす。私もそう思う。

    「からだが弱い人」と、「資本主義・小さな政府」の相性は最悪である。「体力」というリソースが制限されている者にとって、立身出世や自助努力を煽る社会は、偶然の不幸や身体の限界を「自己責任」として切り捨てる。そして、体力の有り余った「強者」が主導する構造が、支

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    2025年12月30日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    文字通り、明治時代の庶民の生きづらさについて書かれた本。わかりやすく書かれていて一気に読めた。
    都市の下層社会や、様々な競争の中で淘汰された人々の様子
    などを描きつつ、そういった明治社会の背景に通俗道徳があり、様々な影響を与えていたことに触れる。
    普段自分の見ている明治時代の世界はそれなり以上に裕福な層のものだと改めて感じさせられた。

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    2025年10月27日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    この本は正直驚きました。
    なぜなら、約150年前と今の問題がほとんど変わってない事に驚きです。
    さらにはこの当時の政治家達のセリフも今のほとんど変わってない。
    通俗道徳がいかに思考停止させてるのがよくわかる。
    150年前とくらべて、ものが進歩したのに、日本人が進歩してないのは笑えるし、アホくさくなる。
    社会が進歩してなくて、技術だけが進歩する。
    それは社会が歪みますわ!
    ぜひ、読んで、このアホくさを感じで欲しい。

    #読書
    #読書記録
    #読書好きな人とつながりたい
    #明治社会

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    2025年08月23日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    最近AIに夢診断をしてもらった。
    それによると私は、自分がダメ人間だとレッテルを貼られることに強い不安があるらしい…情けない。

    しかしこの本の著者は、そのような私の不安をわかってくれそうな人だ。

    明治時代も現代も弱者に冷たい世の中であることは共通しているようだが、あとがきで著者は言う。
    "役に立つとか立たないとか言われるのは、どのような人びとのどのような目的のからみあいのなかで言われていることなのかを見極め、それをお互いに伝え合うこと。私にとって研究とはそのような営みです。"

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    2025年04月20日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    新自由主義的な自己責任論の日本史的淵源を、明治社会における「通俗道徳」の成立に見る。その手捌きは、歴史学の成果を踏まえた誠実なものでありつつ、明治社会の都市や農村あるいは家制度や貧民窟、さらには政府の財政状況などなど、興味深い話が次々と語られ、明治社会のイメージが今までより豊かでクリアな気にさせてくれる。

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    2024年06月18日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    ネタバレ

    “貧乏してるやつは努力が足りないからだ”というのは正しいのか。努力すれば誰でも裕福になれるのか。歴史学者である著者が、誰もが陥りがちな「通俗道徳のわな」の理不尽さを、激動の時代だった明治時代と現代とを対比させながら、弱い者への優しい眼差しとともに明らかにしていく。

    新自由主義に染まっちゃあ政治家として終わってる。NISAとか国民に投資を勧めるなんて。国は税金を搾取しますけどあなた方にはなにもしませんと言ってるようなものでしょ。確かにそれで儲かる人もいるかもしれないけど、儲かる人がいるということは必ず誰かが損をするんだよ。それにすら気づけなくなるのが「通俗道徳のわな」。今の政府はそれをうまく利

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    2023年12月16日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    社会の一員として、私たちの問題を私たちで考え、決め、動かして行く人が、大人だとわかった。

    ・情報を盲信せず、自分の頭で考え判断すること
    ・変化を捉えるためには過去を理解すること
    ・人は忘れ、解釈も変わる、だからこそ事実を記録に残すこと
    ・一分野に固執せず、視野を広く保つこと

    社会で生きていく上で大事なことぎゅっと詰まってた。

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    2023年07月16日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    ネタバレ

    ・明治社会と令和社会は同じ問題を抱えているようにみえる。
    ・松方デフレ→小作農の増加、格差の拡大
    ・「通俗道徳」は人々を競争においやった(社会の責任なのに「自己責任」の押しつけ)。これは現在も続いている。
    ・「家」が女性を酷使した。これも現在でも続いている。
    ・「家」の借金のために娘に「自分の意思」、「自己責任」で売春させる。これは経済的な強制による人身売買である。これも外国に輸出する感じで現在も続いている。
    ・日比谷焼き討ち事件等の騒擾。社会に不満をもつ若者がメイン層だった。
    ・我々も「通俗道徳の罠」にはまってしまってはいないだろうか。よくみる必要がある。
    ・『成功したものは正しく努力したも

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    2023年04月05日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    子どもの通っている中学受験進学塾の保護者向け情報誌のオススメ図書に掲載されていたので読んでみた。
    日本の競争社会を激化させるのに加担(?)しているかのような最強進学塾のオススメ図書なのに、努力が報われるとは限らないという内容。
    逆に安心する。
    通俗道徳のワナにまんまとハマっていた就職氷河期世代の小市民な自分がTVや雑誌や日々の生活の中の情報に流されて批判していた特定の誰かではないどこかにいる頑張ってない(ように見えただけ)人に対する不満。その原因が自分の中の不満や不安がどこかの誰かの言葉と重なってできたものだったんだなと思った。

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    2022年10月10日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    ネタバレ

    ポピュリズムに危機感を持つ「大衆」が読むのにちょうどよい本。
    答えを示してくれるわけではないが、それこそが答え。
    各人が考えるべし。それが「社会人」の本来の意味ではないか。

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    2022年09月14日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    近代日本のはじまりに「仕掛けられた」価値観が、現代の我々に深く内面化し「伝統」というラベルで、いかにも古くからある揺るがないもののように錯覚させられている。その結果の「生きづらさ」について、もっと考えたいし歴史から学びたいと思えます

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    2021年04月04日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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    ネタバレ

    戊辰戦争が自由民権運動に大きな影響を与えているという見方は画期的だと感じた。自分は戦争の中身と終戦後の被害に目を向けがちだった。しかし、結果はどうであれ戦争が後の時代に与える影響は計り知れないものがあると実感した。今後は自由民権運動前後の出来事や人々の動きに注目していきたいと思う。

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    2021年01月27日
  • 町村合併から生まれた日本近代 明治の経験

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    最新の歴史学研究に基づく本で、大変おもしろかった。
    色々と歴史は塗り替えられているのである。

    最近の教科書では、士農工商というヒエラルキーは教えない、ということだし、正しい歴史観を保つことは難しいものである。

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    2020年04月03日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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    ○目次
    はじめに
    第1章:戊辰戦後デモクラシー
    第2章:建白と結社
    第3章:「私立国会」への道
    第4章:与えられた舞台
    第5章:暴力のゆくえ
    終章:自由民権運動の終焉
    おわりに

    ○感想
    本書は、地方民会など近代の自治体制度史を専門とする作者が、自由民権運動というパンドラの箱を開け、研究史を整理した上で自由民権運動の特質を探った一冊である。
    本書は、筆者が自由民権運動を戦後デモクラシーの一つと位置づけた三谷太一郎氏の研究を受けて、特質の考察がなされている。
    戊辰戦争という内乱を経て、脱身分制社会を図る明治新政府の時代において、勝者・敗者の側でそれぞれポスト身分社会の模索が行われた。

    興味深い

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    2020年02月18日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    選挙や多数決、モノを「公正に」分割するにしろ、さまざまな方法がある。タルムード法、比例分配。ボルダルール、などなど。

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    2019年01月16日
  • 大人のための社会科--未来を語るために

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    前原さんの理念のバックグラウンドとなっていたのだろう考え方だ。王道のテーマがまた新しい視点で語られる。わかりやすく腹落ちもする。良い本だとおもう。

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    2018年01月06日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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    自由民権運動。なんとも響きのいい言葉。と思いきや、まったくのまやかし。身分制社会に代わる新しい社会制度として民主社会を求めた、まではよかったが、実際には戊辰戦争での功労者の地位を求めた運動だった。挫折して当然。

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    2017年09月03日
  • 自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折

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     「自由民権運動」は、学校で習うイメージで言えば、西南戦争の後に言論の力で戦い、議会開設という民主主義の果実を得たという、現代的な、崇高なもののように思える。とりわけ、昭和に入って戦争に突き進んだ歴史を闇とすれば光として描かれやすい歴史である。
     しかし、実際はどうか。著者は、板垣・星といった運動エリートではなく、地方で展開された集会の議論をベースにこのような民権運動像を描き出す。そもそも著者は、民主化・近代化に果たした自由民権運動の役割をそれほど評価していない。あくまで、政府の必要というかなりドライな見方をする。そして、著者は、運動の中に先進的な思想ではなく、身分制度復活という復古理想的なも

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    2016年08月29日
  • 歴史学は世界を変えることができるか

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    著者が近年発表してきた歴史学概論あるいは史学史的な論考を集成した本。いずれの論考も、著者いわく、「歴史学の営為と、「(不条理な抑圧が存在する社会という)立方体の外」を夢見ることとの関係をめぐって書かれている」。
    いずれの論考も、含蓄に富んでおり、学生時代に歴史学を学んでいた者として、考えを深めさせられるものだった。
    特に、表題ともなっている「歴史学は世界を変えることができるか」が印象的だった。社会における「不条理な抑圧」を減少させることに寄与するという著者が提示する歴史学像は、著者も断っているように歴史学全体に通底するものとはいえないと思うが、歴史学の一つの可能性を示したものとしては十分に理解

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    2026年01月26日
  • 生きづらい明治社会 不安と競争の時代

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    三宅夏帆さんがおすすめしてたから読んでみたら面白いし読みやすかった!特に印象に残ったのは当時の女性たちの苦悩と、「通俗道徳」という「頑張れば成功する。そうでなければダメ人間。」という考え方。もしかすると今もどこかに蔓延っている考え方なのかもしれない。

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    2025年07月24日