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史料の山に埋もれ、ひたすら解読している? 過去の出来事の是非を論争する? このようなイメージがある歴史学では実際に何が営まれているのか。明らかにしたいものは様々でも、歴史学には共通のプロセスがある。史料とはなにか。それをどう読んでいるのか。そこからオリジナルな議論をいかに組み立てるのか。歴史について語る前に、最低限知っておきたい考え方を解説する。
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Posted by ブクログ
「歴史は、うっかりすると『使えてしまう』危険なものです」という一文に、ドキリとする。 近年、ことあるごとに「自分の頭で考えて、情報を精査すること」が問われる場面が多い気がする。 文献や史料を使って過去の姿を説明する「歴史」という学問のその姿勢は、そういった「情報を精査すること」に役立つのではないかと...続きを読む常々思っているため、本書はそのあたりのことを解説してくれているのではないかと期待して読んでみた。 結果、たぶん、ドンピシャな本…だと思う。 271pにある「ひとが言葉を用いて何かを述べているとき(中略)その根拠を問うことの重要性は」のあたりに、それが現れていると思う。 学生時代から遠く離れ、研究者でもない私には難しい、だいぶ歯ごたえのある内容で、正直「ちゃんとわかった」わけではないとは思うけど、うっすらとぼんやりと、歴史論文を読むときの注目点、注意点、汲み取り方…のようなものは、受け取れたと思う。 実際に論文をあれこれ読み進めるときに、時々本書に戻ってくると、腑に落ちることが多いのではないかと思うので、手に取りやすい場所に置いておきたい。
歴史の論文とはどのように考えて書かれているか、史料がどのように扱われるか、そのあたりの思考プロセスと説明がとても丁寧で、歴史学に興味がある方にはおすすめしたい。
歴史学の考え方を詳細に記載したユニークな著書だ.小生理系で数十本の論文を書いた経験があるが、文系の論文の構成方法を学んだことは非常に嬉しい.著者が最後に述べている 「ひとが言葉を用いて何かを述べているとき、その言葉によって語り手・書き手は何をしているのかに注意を向け、必要であればその根拠を問うという...続きを読むことの重要性は、歴史や歴史学に限ったことではないはずです.」 は非常に心に響いた.
歴史学とは、資料を正しく読み解き、論文等に知見をまとめていくだけかと思っていたが、自分が想像していた以上に緻密で繊細なプロセスを経ていることに驚いた。 本書はいわゆる歴史家の方が実践しているスキルの紹介に留まらない、知的解釈の困難さが読み取れるが、さすが専門家とも言うべきほどに内容はやや難解であ...続きを読むる。歴史に触れる機会が少ない自分のような読者にあっては、少々内容に入るまでに骨が折れることも多かったように感じる。しかし、難しいだけではなく、興味深いトピックを選び抜く筆者の審美眼と文章力は確かなものであり、最後まで読ませる楽しさをあわせ持つ点は素晴らしいの一言である。 再度、歴史や周辺知識を身に付けた上で挑戦したい一冊だ。
読み始めは、何やら退屈な本を買ってしまったと思ったが、気づけば論理の渦に呑まれていた。この本には、論理的に思考し、議論するための方法がたくさん詰まっている。なぜ歴史学というものがあるのか、ということの答えにもつながるだろう。もし、もう少し易しく書き表すことができたなら、歴史を学ぶ最中の学生たちにも手...続きを読むに取ってもらいたいと思える。入り口にはちょっと重いか。
史料をどのように読むかなどや、論文の組み立て方などを例を上げて説明されているのが、目新しい。第一章:歴史家にとって「史料」とは何か、第二章:史料はどのように読めているか、第三章:論文はどのように組み立てられるか(1)政治史の論文の例、第四章:論文はどのように組み立てられるか(2)経済史の論文の例、第...続きを読む五章:論文はどのように組み立てられるか(3)社会史の論文の例、第六章:上からの近代・下からの近代。
内容的には、近代史を分析するのにあたって、歴史家はどう考えてどう資料を使うのか、政治史、経済史、社会史という観点から論文を分析して解説したもの。勉強にはなった。 【目次】 はじめに――歴史家は何をしているのか 第一章 歴史家にとって「史料」とは何か 1 根拠としての史料 2 記録を残す 3 記録...続きを読むを使う 4 歴史学と文書館 第二章 史料はどのように読めているか 1 史料の引用と敷衍――史料批判の前に 2 逓信次官照会を読む――「史料があること」が「何かがおこなわれたこと」を示す場合 3 新聞記事を読む――史料に書いてあることをどの程度疑うか 4 御成敗式目を読む――史料の書き手と歴史家の距離 第三章 論文はどのように組み立てられているか(1)―― 政治史の論文の例 1 歴史学の論文と歴史研究の諸分野 2 政治史の叙述――高橋秀直「征韓論政変の政治過程」 3 政治史叙述の条件 第四章 論文はどのように組み立てられているか(2)――経済史の論文の例 1 マルクス主義的経済史 2 経済史の叙述――石井寛治「座繰製糸業の発展過程」 第五章 論文はどのように組み立てられているか(3) ―― 社会史の論文の例 1 社会史のなかの運動史 2 社会史の叙述―― 鶴巻孝雄「民衆運動の社会的願望」 第六章 上からの近代・下からの近代 ―― 「歴史についての考え方」の一例 1 歴史についての考え方と時代区分 2 「近代」、このやっかいなもの 3 歴史研究との向き合い方
歴史学者はどう考えて論文を書いているか。いくつかの事例を挙げながらかなり深く掘り下げていると感じたが、自分がそこまで深く考えて書いているのかという反省も。
学生時代卒業論文やレポートを書いた時、本書で解説されている様な考えで書けていたかどうか心配になって来た…折よく実家で当時のレポートの下書きが出てきたので、今度読んで見よう。 本書は学部一年生は勿論、出来たら大学で歴史を学びたい高校生にも読んで欲しい。そしてこんな考えをベースに学んで行く学問が自分に...続きを読むとってふさわしいか否かを判断して欲しい。覚悟と軌道修正を気付かせてくれる一冊だと思う。 江崎書店BiVI店にて購入。
一般の人でも分かるように、歴史学研究の方法論が丁寧かつ平易に述べられている。歴史家が史料をどのように扱い、解釈し、論文を書いているかがよくわかる。三氏の論文を例示して、問いの立て方や史料解釈の示し方などを解説している。史学科学生は早い段階で本書を読み、自身の研究の手引書とすべきであろう。 ただし、著...続きを読む者が日本近代史専攻ということで、例示している三氏の論文は近代史のものであるため、史料の扱い方や論の組み立て方については他時代専攻だと少しアレンジして取り入れる必要があると思う。
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