オノレ・ド・バルザックのレビュー一覧

  • ゴリオ爺さん

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     すごい小説というものは、確かに時代を超えて残る。例えば、『デイヴィッド・コパフィールド』『エマ』『ファウスト』『カラマーゾフの兄弟』。それらと同様の圧倒される感じを味わった。
     「人間喜劇」の構想を得て、最初にスターシステムを導入して描いた作品だという。これが初の試みだったとは、どれだけの緻密なプロットを用意して臨んだのかと驚く。主人公ゴリオの悲劇の性格ももちろん深いのだが、それ以上に、その後の作品にも繰り返し登場することになる主役級スター二人、ラスティニャックとヴォートランのキャラクターが素晴らしい。上昇志向、端麗な容姿、強い意志と感覚の鋭さという、魅力的なラスティニャックの視点で物語ると

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    2017年06月13日
  • ゴリオ爺さん

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    ドラマは俗っぽいけど、確かな描写が感情をゆさぶるのはさすが。ヴォートランの逮捕の下りの描写がとても良かった。
    そしてラストもかっこよい。

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    2016年02月13日
  • ゴリオ爺さん

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    世間と言う真因はそのようなきらびやかな世界がどんなに偽善と妥協と搾取によって支えられているかを悟り、恐ろしくなる。ゴリオの爺さんもある種搾取される側の人生を堪能し、自らの幸福を他人に求めることで幸せを享受していたのだと思う。社交の場に乗り上げた途端、父親を恥ずかしく思うという娘たちの心情と、その成果を呪うという醜悪な非業の死もうまく描きあげられている。社交の場にありがちな心象風景を見事に描ききっている。何を持って生き甲斐とするか、人生をどう生きるべきなのか、世間とどう向き合うのか、色々と考えさせられる作品だ。

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    2015年11月22日
  • ゴリオ爺さん

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    ネタバレ

    俺は登りつめる!と意気込んだ若者が若さゆえの暴走で
    失敗する…あるある、あるよね、と思ってしまう
    うっかり言っちゃうのやっちゃう、若さゆえ

    青年ラスティニャック目線で物語は進んでいくけど
    最後にはゴリオ爺さんの強烈な人生の終焉で終わる

    面白かった、満足。人間喜劇は読み続けたい。

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    2015年05月18日
  • 谷間の百合

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    ネタバレ

    「人生の門出」が読み進めるのに苦労したので
    どうかと思ったけど「谷間の百合」はとても読みやすかった。
    文体が(とてもとてもとても長い)手紙だったからだろう。

    話の筋は単純だけど(ごめんねバルザック…自伝的要素もあるのに)
    流麗華麗綺麗な文章がこれでもかと畳みかける。

    でも「ああなんて重い愛情…」と思いつつ最後に
    「…ですよねー。」とうなずいてしまった。
    女性からするとナタリー嬢による主人公への手紙のお返事は至極当然。
    こんな手紙を書いてあげるなんてナタリーはとても優しい。

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    2015年03月01日
  • グランド・ブルテーシュ奇譚

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    ネタバレ

    バルザックはやっぱり面白い!
    谷間の百合、ゴリオ爺さんの次に読んだこの短編集。
    表題作の浮気する妻への夫の復讐の話と、お金の話、ファチーノ・カーネが好き。
    素直に読み終わって違和感を覚えたマダム・フィルミアーニはフィルミアーニ夫人は死亡確認書や遺言など、必ず手に入ると信じていたからこその行動なんじゃないかと邪推。それに見事に騙される男達、と見たら面白いんですが…。
    是非人間喜劇全てを文庫化してほしい。

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    2013年04月20日
  • グランド・ブルテーシュ奇譚

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    「人間喜劇」から4編を選んで編まれた短編集。訳はラブレーの宮下さん。
    とにかく表題作が良いんだけど、どれを読んでもバルザックはやっぱりいいなとしみじみと感じていた。バルザックの皮肉はよい。

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    2012年10月16日
  • 谷間の百合

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    ネタバレ

    モルソフ夫人が死んだ後、マドレーヌに対して話すときの自己憐憫がしつこくてちょっと苛々しました。
    文章は全体的に綺麗な比喩が多くてとても綺麗な文章で、描写のこういう濃さとても好みです。

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    2012年04月17日
  • ゴリオ爺さん

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    ネタバレ

    人の名前に混乱してなかなか読み込むことが難しかった。
    ゴリオ爺さんの子供への愛情の向け方が間違う事でこんな悲劇に繋がってしまったのだと思う。

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    2025年06月21日
  • ゴリオ爺さん

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    田舎の貧しい貴族で学生のラスティニャックが、成功への足掛かりに欲望渦巻く社交会へ入って行こうとする話。並行して、娘たちに身を削ってお金を与え続けるゴリオと、お金を搾り取るだけ搾り取ったら親に興味がない娘たちという親子関係が書かれる。ひどいことが書かれてあるようで、人の世はいつでもこうなのだな。テレビドラマのような筋立てで飽きずに読むことができた。

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    2024年05月10日
  • ゴリオ爺さん

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    こんなに父性ゴリゴリの物語、どうしても娘の立場で読んでしまう。自分の父とも重ねるけど、やはり15歳くらいのときの娘でいて欲しいのだな〜こちらは歳を重ねるごとに現実でサバイブできるようにトランスフォームし尽くさなきゃいけないのに。彼女たちはお金以外のなにかをわかろうとしたほうがよかったけれど、有り余る父性を先にお金に換金してしまったのは紛れもなくゴリオだったのだ。

    ラスティニャック青年の出世欲と誠実さのバランスが愛おしい。飽きない展開に目が離せず、世界の十大小説と言われるのも納得。おもしろかった。

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    2024年03月02日
  • ゴリオ爺さん

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    なんという悲劇、いや喜劇か。こんな日常にはとても我慢できないだろうな。金、金、金の生む人間喜劇というか、パリという国が生み出したものなのか…いや、こんなことは世界のどこにだってあるよな。日本で言えば、始まったばかりの大河の時代なんかその最たるものなんだろうな。
    まぁでも、ゴリオ爺さんの奥さんはいつどこでいなくなったんだろう…

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    2024年01月23日
  • 谷間の百合

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    ネタバレ

    主人公フェリックスは人妻モルソフ夫人に恋をしてしまう。ただ、相手は夫にも家庭にも何も不満を持っていない素晴らしい女性。いくらフェリックスが愛の言葉を伝えようとも、常に年上の人妻女性として彼と対応し、彼の母親であるかのように接してくる。というかフェリックスに恋しないように自分に言い聞かせているようである。

    フェリックスの一途な恋はすごいが、それを毎回ひらりとかわさなければならない夫人の苦労を考えると、ただ自分の本能に従って人妻に言い寄るフェリックスにイライラさえしてくる。

    最後の夫人の手紙が非常に良い。正直、読者なら気づいていたであろう夫人の本当の気持ちが美しい文体で表現されている。

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    2023年09月10日
  • 浮かれ女盛衰記(上)

    購入済み

    これぞフランス文学!

    野望のためには何でもする、這いつくばって生きる人々がかっこいい。嘘で固めた世界でバレるかバレないかハラハラしながら読むことが出来る最高な小説。

    #ダーク #カッコいい #ドキドキハラハラ

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    2023年04月12日
  • ゴリオ爺さん

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    バルザックの一連の作品は「人間喜劇」として有名らしいが、正しく喜劇というか、喜びも憎しみも感じさせる作品。
    小説なのに、テレビドラマを観ているような、どこで読むのを中断すればいいのか、本当にわからなかった。久しぶりにしっかりした長編を読みした。
    ドラマティックな展開を期待する方にぜひ。

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    2023年02月01日
  • ゴリオ爺さん

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    面白かったが、キャラクターの描かれ方が単純で、現実的でないような気がしたため、感情を没入させることはできなかった。でも「野心」とか「虚栄心」とか小説によく出てくるテーマについて色々と考察の深まるお話で、読み切ってよかったと思う。

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    2022年12月22日
  • ゴリオ爺さん

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    無償の愛の見返りが、文字通り無償に終わるゴリオ爺さんの話を軸に、表向きは華やかなパリの社交の場へ進出を目指す青年ラスティニャックや、青年に反抗哲学を植え付けようと唆すヴォートランらヴォケー館の住民たちの話が展開される

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    2022年03月20日
  • ゴリオ爺さん

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    寝不足を招く一冊。要は親バカ過ぎるゴリオ爺さんと、親不孝な娘二人の話だか、実際の主人公はその娘一人と結ばれるはずの学生のように思える。
    途切れが少なく、一つのシーンでの話が延々と続くので、やめ時がない。寝る前に読み始めると眠れない。
    描写が繊細な訳ではないが、なぜかシーンが鮮明に頭に浮かんでくる。きっと設定が想像できる範囲内だからだろう。ドラマっぽく、結構チャキチャキと展開する割には、ついていけない感じはしない。
    ただ、登場人物はもちろんカタカナの名前で、姓と名が混在しまくってるので、はじめの頃は登場人物がなかなか把握できなかった。これは日本語しかできない自分のせいだろうけど。
    回収されない伏

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    2022年03月16日
  • 谷間の百合

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    ネタバレ

     ナタリーというこの作品では登場しない人間喜劇の人物に向けてフェリックスという男性が自分の半生を綴る物語。
     前3分の2のフェリックスが恋した人妻アンリエットとの仲良くなる過程は冗長に感じられたものの風景描写や感情の揺れ動きが丁寧に描かれ綺麗でそれを楽しむ作家かと勘違いしていた。後ろ3分の1になってようやく主人公のクズさが分かり恋敵のダドレー夫人が登場し物語が動いた時になって、この作者の会話の巧妙さを知った。ダドレー夫人との一件以降はアンリエットに対して言い訳ばかりする主人公がおり、そのことや後に続く死に対してのことを見るに、結局この主人公は寄宿舎時代やアンリエットに不意にキスしたときから根本

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    2022年01月03日
  • ゴリオ爺さん

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    父性愛の極地。レアリスム小説のはしり。ここから20世紀小説は「本当らしさ」からの脱却を求め始める。映画もあるらしいから観てみたい。

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    2025年03月31日