中谷宇吉郎のレビュー一覧
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中谷宇吉郎さんは、日本における気候学者(雪博士)の先駆けで、気象現象における低音分野を手掛けた偉人です。
自然発生する雪の解明から、そのメカニズムを解明した方で、雪の結晶から上空での気温、水分量の寡多を計測するという、観測から法則を生み出した天才。
歴史上の偉人たち、例えばファラデーやオイラー、コペルニクスといった、観測による自然科学の解明を試みた人たちが、自然現象の再現性に苦しんだのに対し、中谷宇吉郎は自ら発生装置を作って観測を簡易化し、気温差で生まれる結晶の変化の法則性を発見。これによって、現代では全球全天で発生する降雪率と降雪量の予報がほぼ100パーセント予測できることとなった。
そ -
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科学の方法
著:中谷 宇吉郎
岩波新書 青313 (G-50)
本書が目指すものは、科学の方法論を説くのではなく、現代の自然科学の本質はどういうものであり、それがどういう方法を用いて、現在の姿に生長してきたかという点について考えて見ようとある。
帯に、松岡正剛氏推薦に絶対名著とある。
科学万能の思想から離れ、科学には限界があること、ひいては、現代ですら、分からないことだらけであることを語ってくれる
気になったのは、以下です
・科学について、何かを論じようとする場合に、まず取り上げるべき問題は、科学の限界の問題である
・このまま、科学が進歩を続けていくと、近い将来、人間のあらゆる問題 -
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<方法を語る本ではなく、方法について語る本>
タイトル通りこの本の内容は「科学における方法」である。だがそれは決して方法論ではない。喩えば、この本には「このように科学を行えば万事うまく行く」だとか、「科学者として成功するにはこういうことをやれ」などそういういわゆるHow-toの類いの話はない。この本には、科学とはいかなる方法を用いてどのような問題を解決していく学問であるか。そこでは何が出来て何が出来ないのか。単純な方法論よりも本質的な論の展開がされている。したがってその中で、なんでもできる万能な科学でもない、危険な可能性しか生み出さない科学でもない、より本来的な科学というものに触れることができ -
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雪は天からの手紙である・・・という有名な言葉が載っている本。
昭和初年。雪と言えばまだせいぜい美的興味かはたまた生活の障害物でしかなかった時代に、筆者・中谷宇吉郎氏は雪の結晶を撮影し、分類・体系化し、さらには種々の条件下で人工の結晶を作って空の大気状態を類推するところまで研究を進め、世界的な評価を得た。その経緯…そもそもの関心の所在や、研究のあらましを伝える本である。
もっともこの本は、一般読者への啓蒙が主眼という通り、学問的なものではない。結晶の撮影のために十勝岳の白銀荘を借り、雪が降らない時には仕方がないから山スキーでもしようとか、北大の低温施設で満州の哨兵のような恰好で実験を進めたと -
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目次
・自然の恵み―少国民のための新しい雪の話
・雪の話
・雪の十勝―雪の研究の生活
・雪を作る話
・雪後記
・大雪山二題
・天地創造の話
・立春の卵
・線香花火
・琵琶湖の水
・茶碗の曲線―茶道精進のある友人に
・イグアノドンの唄―大人のための童話
・簪を挿した蛇
雪の研究で有名な研究者、中谷宇吉郎の随筆。
師の寺田寅彦も文章家としても有名だが、中谷宇吉郎の文章もなかなか。
余計な修飾などない簡潔な文章なのに、柔らかな温かみのある文章。
雪の結晶が持つ美しさに魅せられて、十勝の山小屋に住み込んで、毎日何時間も雪の写真を撮り続けるのである。
防寒もほとんど意味のないような厳寒の北海道の冬。 -
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日本の物理学者であり、夏目漱石の薫陶を受けた文筆家でもあった、寺田寅彦の追想記。
著者は、中谷宇吉郎。雪の結晶に関する研究では世界的に知られた物理学者であり、寺田寅彦の教え子にあたる方らしい。
22歳年上の師匠を、筆者中谷は、生き生きと温かく描写している。直弟子の脳裏に焼き付けられた寺田寅彦像は、鮮明に精彩を放ちながら現在の我々に強い印象を与える。
寺田寅彦の時々飛ばす機智に富んだジョークやブラックユーモア、教養深い箴言警句の数々、科学や文芸への哲学観、すべて面白く、興味深く、読み手をニヤリとさせるものがあった。
同じ研究室で共に働く研究員たちとの思いで噺も興味深かった。
夏場は真っ裸に白 -
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文章が美しい本。
とりあえず本論に入る前の第1章「雪と人生」。主張のひとつは「雪の降らぬ地に生活しているものに向かって、雪の災害を説き知らせることは至難のこと」というもの(初めに引用する『北越雪譜』という本の主旨らしい)。
そしてもうひとつは、「日本において雪の研究をもっと真剣にしなければならぬ」ということで、こちらがメイン。
但し力ずくで説き伏せるのではなく、むしろ雪(国)に対する人々の生きざま・苦しみざまを丁寧に描写することで、いいたいことを自然に繰り返す構成は、説得力に満ち、心地よくさえある。
もっとも、主張への共感を求めるためにしたたかにそうしたというよりは、そもそも著者中谷自身が研 -
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理科離れというものがある。
実態は詳しく知らないが、うぃきによると
理科離れ(りかばなれ)とは、理科に対する生徒・児童の興味・関心が低くなったり、授業における理解力が低下したり、日常生活において重要と思われる基礎的な科学的知識を持たない人々が増えていたりすると言われる一連の議論である。科学的思考力や計算力の低下により、特に高等教育において授業の内容を理解できない生徒が増え、専門的知識・技能を有する人材の育成が難しくなることが問題として指摘されている。
一般的に科学技術が発展している国ほど市民の科学的思考力が低下しているとの指摘もある。これは科学技術が高度になり複雑化するにつれてブラックボック