中谷宇吉郎のレビュー一覧

  • 科学以前の心

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    積読解消。前半は雪の結晶を天皇陛下がご覧になるという行幸について。戦争の前中後で中谷博士の周りで起きたことなどを肩肘張らずに書いている。どうして雪の研究をするにいたったか,旧制高校からの遍歴も興味深い。完全なエリート的人生でないところにも人間味を感じやすいのか。いわゆる神秘的なことに対する考えも興味深かった。科学者であるけれど,不可知として切り捨てるのではなく,その不可知な部分にある神秘を面白がっているように思える。科学の言葉を持たなかった時代も「行」として科学的概念や方法を生み出していたことも面白い。

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    2025年05月28日
  • 雪と人生

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     雪の研究で有名な著者はまた、恩師寺田寅彦と同じく随筆の書き手としても名高い。

     自分の生まれ故郷での想い出を語った、子供時代に上がることを許されて垣間見た「御殿の生活」や、同じく懐かしさに溢れた「真夏の日本海」。
     雪の人工結晶を作る工夫や苦労、楽しさを語る「雪を作る話」、「雪雑記」、静養先の伊豆海岸であがる雑魚を油絵で描き、その色や光の具合いを精密に捉えた「雑魚図譜」。

     戦前の樺太への旅を書いた「ツンドラへの旅」では、カラフトにおいて、岩波新書をモデルにした樺太叢書というものが刊行されていたことを知った。
     また、「天地創造の話」は、昭和19年夏の昭和新山隆起の観測記録である。

     

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    2022年03月29日
  • 科学と人生

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     角川ソフィア文庫では、『雪と人生』に続く、中谷宇吉郎2冊目の著作。
     標題作の「科学と人生」。敗戦後、科学による国家の再建ということが良く言われたが、それが皮相的なものとならないよう、大事なことは科学的なものの見方、考え方であるとして、具体的な例に拠りながらその大切さを説いていく。

     そのほか、戦前、天皇の行幸時に、人口雪の結晶を天覧に供したことや、戦後御進講をしたことなどの思い出「雪今昔物語」、師である寺田寅彦への敬愛の念がまざまざと感じられる「寺田研究室の思い出」、幸田露伴が科学に大変な興味関心を持っていたことを記した「露伴先生と科学」など、エピソードとしても興味深い。

     終戦の年、

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    2022年03月14日
  • 雪

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    中谷宇吉郎(1900~1962年)は、東京帝大理学部卒、理化学研究所勤務(寺田寅彦に師事)、英キングス・カレッジ・ロンドン留学等を経て、北大理学部教授を務めた物理学者、随筆家。世界で初めて人工雪を作ることに成功した。位階は正三位。勲等は勲一等。
    本書は、1938年に岩波新書が創刊されたときの(20冊のうちの)1冊として出版された後、新字体、新かな遣いに改められて、1994年に岩波文庫から再刊されたものである。
    本書の主な内容は、著者の北大における雪・人工雪の研究の過程や成果であるが、成果に関しては、言うまでもなく、刊行から80年を経た今、最新の知識を得る方法はいくらでもあり、本書をわざわざ読む

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    2022年01月28日
  • 雪

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    雪の結晶の形成と、人工雪作成の実験についての著者自身の研究成果をわかりやすく解説している科学エッセイです。

    1938年に刊行された岩波新書を文庫化したもので、著者の実験の方法などは現在の読者にとは素朴なやりかたに見えますが、著者の師である寺田寅彦と同様に、エッセイの名手と評される滋味のきいた文章は、時代を越えて読者を惹きつける力をもっているように思います。

    鈴木牧之の『北越雪譜』の文章を引用し、豪雪地帯の人びとがどのように雪とかかわっているのかということを紹介することからはじめて、科学のまなざしで身近な対象をあらためて見なおすことで、常識とはちがう世界が開かれてくることを説いており、科学の

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    2021年07月15日
  • 科学の方法

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    科学者でありエッセイの名手として知られる著者が、自然科学がどのような方法にもとついて進められているのか、またその限界はどこにあるのかといった問題について、わかりやすく解説している本です。

    われわれの常識にもなっている科学的世界像には、一般に知られていないさまざまな問題が含まれており、自然のなかにはわれわれ人間に知られていない多くのことがあるということを、測定や統計にまつわる具体的な例をあげて解説がなされています。

    著者は現在の科学の発展を「菌糸のような発達のしかた」というたとえで説明しています。「非常にうねうねしながら、無数に枝分れして、ずいぶん広い範囲にわたって伸びていっている。それであ

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    2021年05月06日
  • 雪

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    専門用語が多く、読み難いところもある。しかし、旧き良き時代の学者の著書の、なんとも言えない良い雰囲気があるように感じられた。

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    2021年01月04日
  • 科学以前の心

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    雪の研究者中谷宇吉郎氏のエッセイ。

    とても柔軟な心を持った人だなあと思った。

    「本来の科学というものは、自然に対する純真な驚異の念から出発すべきものである。」(簪を挿した蛇)
    科学教育というものは難しいね。

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    2020年06月20日
  • 雪

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    雪の結晶の分類など細かいところまで入り込んでいくと、まさにミクロの話しでちょっとついていけなくなる(じっさいかなり斜め読みしてしまった)。それよりも著者も述べているように、自然科学の研究とはこういう風にして進めていくのだ、ということがわかればよい、というスタンスで読んでいくとおもしろい。自分が好きだと思える者の研究に心から打ち込め、それでご飯が食べられるというのは何ともうらやましいことだ。もちろんそこに行くまでにはいろんな苦労があるわけだが。その苦労や失敗をあえて書いていないという指摘が読書会では出たな。

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    2018年10月15日
  • 科学以前の心

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    雪の研究者である中谷宇吉郎氏の科学にまつわるエッセイ。雪今昔物語の雪の結晶を天皇に見せる話。雪の結晶をスタッフと徹夜で準備して、身体の不調もなんとかやりきる。終わって、伊東に養生しにいく。ちょうど大雪予報の東京から、出張で伊東へ。こんな偶然あるだろうか。
    昔ながらの生活、伝統は計算して、あるロジックで導き出される科学的な解釈ではない。筆者は、それを科学以前として、撲滅するのではなく、優しい眼差しでもって整理しておく。つまりは、すぐ否定せずとも淘汰されていくと考えている。すごいのは、これが昭和16年に書かれたものであることだ。科学を盲信し、戦争、テロ、無差別殺人、環境汚染、原子力。こうした負の部

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    2018年02月02日
  • 雪

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    高野文子の「どみとりーともきんす」を読んで。
    雪の研究者による雪のエッセイ。柔らかい文章の中にも、科学の眼差しがしっかりあるのはやはり学者らしい。

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    2017年08月18日
  • 科学以前の心

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    雪博士、中谷宇吉郎の随筆集。

    某大学の課題図書にあったので読んでみた次第なのだけど、この随筆集を読んでから様々な方面で中谷宇吉郎の名を見ることになるのだから、不思議なものだ。

    長いものになると行き詰まってしまうので、短い話が良かった。
    私の好きな数学者や科学者は、心というものを疎かにしない。むしろ、心というものが学問に組み込まれた考え方をする。
    だから、こうした随筆が素敵に彩られる。

    心は文学だけのものではない。
    だから、面白い。

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    2013年08月15日
  • 雪

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    自然が織りなす美の不思議に惹かれて雪の研究にすすみ、1936年世界で初めて人工雪を作り出すことに成功した「雪博士」こと中谷宇吉郎博士の自然科学書。

    北国の雪害に関する話にはじまって、雪が空から地上に降ってくるまでの生成過程を雪の形状から解きあかし、研究の進め方と実験結果をグラフと図表をまじえて解説していく、とてもシンプルな内容の本。 
     しかし、読み終わったあと、静かな感動に包まれること間違いなし

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    2011年09月18日