中谷宇吉郎のレビュー一覧

  • 雪

    今週おすすめする一冊は、中谷宇吉郎の『雪』です。中谷博士は雪
    の研究の第一人者で、1936年に世界で初めて人工雪の実験に成功。
    本書は、博士が雪の研究に着手してから人工雪の実験に成功するま
    での過程を描いた本で、初版は1938年。70年前の、博士38歳の時の
    作品ですが、今だに読み継がれている科学書...続きを読む
  • 科学の方法
    科学は再現できることが重要だという。
    しかし、ビッグバンや、将来起こることの予測は、再現できるとは限らない。

    1度しかおきない可能性のあることも、事前に予測し、それがおきれば、
    そのための道具として有用だと思う。

    道具として数学を使うあたりが、科学の肝ではないか。
    抽象的にまとめること...続きを読む
  • 雪

    中谷さんは、1900年生まれの物理学者。世界に先駆けて人工雪を作ってしまった人。
    この、岩波文庫の名著『雪』では雪の被害に始まり、生成条件を解き明かし、雪の正体をつかまえるために人工雪を作る過程が描かれています。

    科学のお話なので、一般人にわかりやすく書かれたものではあるけれど、わたしには少々難し...続きを読む
  • 科学の方法
    科学がどのようにして進むのか,人間の頭の中で考えられた数学がどうして自然の研究に有効であるのか…。物理学ベースですが,平易な言葉で悠々と書かれています。しばしば「古い」ということを理由に批判する人がいますが,数学も古いわけで…。まともな科学者なら「古いから」なんていう理由はあり得ません。古さ・新しさ...続きを読む
  • 科学の方法
    科学には方法論としての限界がある、ということを教えてくれる。言われてみれば当たり前のことだが、しばしば科学至上主義に陥りがちな文系出身者としては、心に留めておきたいメッセージだ。
  • 科学の方法
    「科学には限界がある」それを知ることの重要性について書かれている。1958年に書かれたとはとても思えない。理系だけでなく、すべての大学生が読むべき本だと思う。
  • 科学の方法
    科学分野が、現在までに、どのようなことを積み上げてきたのかを考察した新書。科学的な思考法を振り返り、基礎的なところを説明をしている。私には難しいものも含まれているが、平易な文章で読みやすかった。
  • 雪

    怒涛の1930年代に史上初の人工雪を作る科学者が日本にいたのは感慨深い。電子書籍で無料だったので読んだが、雪の形状の説明と写真や図がリンクしなかったのは残念。やはりこの手の本は紙で読むに限る
  • 科学の方法
    【星:4.5】
    科学とはそもそも何なのか?文系人間の私がそんな疑問をもって手に取った。そして、その疑問にしっかりと答えてくれた1冊であった。

    科学とは何か?・再現可能性・科学の限界・定量的と定性的・科学と数学の関係、などなど色々なトピックスを分かりやすく説明している。

    なかなかの名著だと思う。
  • 寺田寅彦 わが師の追想
    寺田の漱石先生からの流れで読む。
    寺田が書く漱石、そしてその寺田を書く中谷という知の流れを時間軸で辿るのも面白かったが、何よりその文学的、哲学的な科学という思想を垣間見ることができたのが非常に面白かった。

    自分などは足元にも及ばないが、彼ら先達の「思想の方向」には非常に共感できる。

  • 科学の方法
    科学の限界や、数学、経済的な背景との関わり等々の、科学とそれを取り巻く環境のかかわりについて深い考察がまとめられた一冊。とはいえ、この本から学ぶことはあまりない。「物心一如」のみがこころに残った。これだけみれば、科学の本と思えないが仕方ない。
  • 科学の方法
    科学の限界と本質ついて良く書かれている。
    単位の精度を決めるところが面白い。

    ちり紙の話しなど今ならブラウン運動で解けないのだろうか。

    科学が苦手な方向にも科学が手を伸ばしているのがいまの実感だ。

  • 中谷宇吉郎 雪を作る話
    面白かった。
    まず、文章が平易で朗らかだ。そして話題が豊富。
    本業の雪についての話は、科学的で実際的。
    とても興味深かった。
    一方で、立春の卵や琵琶湖の水の話など、一見他愛の無いことに注目し、理知的な観点から警告を発する手腕は流石。感心した。
    先読の寺田寅彦に岡潔の姿も垣間見え、その関係性を想像する...続きを読む
  • 中谷宇吉郎 雪を作る話
    折しもノーベル賞を受賞した大隈先生が会見で基礎科学の大切さを説かれたところですが、科学へのまなざしの在り方について半世紀以上前に同じように丁寧に語った中谷先生。
    栞のラスコーの壁画についての言及は目を丸くして驚いてしまった。まさに科学と自然に対するあるべき姿勢を体験させてもらったと思う。
  • 中谷宇吉郎 雪を作る話
    中谷宇吉郎先生は、小林秀雄の『考えるヒント』の冒頭、常識で、小林秀雄の質問に科学者として答えている方。
    雪が仕事かもしれないが、後半、雪以外の文章が特に面白い。
    ○天地創造の話、◎立春の卵、○線香花火、○琵琶湖の水、茶碗の曲線、イグアノドンの唄。
  • 科学の方法
    6桁が限界(200年)
    クラベリナー
    数学の使える部分で科学を記述

    科学のおもしろさ、などと言う人たちの、「考えるな、感じろ!」といった押し付け方に、科学を知らない人はついていけていない。そして科学の荘厳さを万能さにすり替えた理解で、過信と不信を同時に招いているように思う。
    本書では科学の方法と限...続きを読む
  • 科学以前の心
    雪の研究で著名な中谷先生の随筆を福岡先生がチョイスしたアンソロジー。科学の心を平易な言葉で伝えようとしたもので、主観をできるだけ廃したかに見える文章が、実は雄弁であることに気づきます。いい本でした。
  • 雪

    実際は学問的な難しいところもありながらも,うつくしく,誰でもわかるように説明する能力はすばらしいものである.この本は実際の研究のほんの一部であるだろう.さらに,あたかも簡単なように書いてあるが,さまざまな工夫や困難のもとになしえた結果であることは少し考えれば想像できる.ともかく,研究をこのような形で...続きを読む
  • 科学の方法
    数学について以下のようなことが書いてあります。
    「数学は人間が考えたものだから人間が全然知らなかったことは出てこない。それでも数学はいわば人類の頭脳が作ったものであるため個人の限界を離れてこの頭脳で問題を考えることができる。」
    科学は人間が考えやすいように自然を捕らえた姿で、科学に用いられる数学も考...続きを読む
  • 科学の方法
    中谷宇吉郎と言えば『雪』が有名だけど、もしかしたらそれ以上に面白いと思える科学論入門書。中谷さんは科学を人間と自然との共同作業だと考えており、自然科学といえども自然の全てを知るべき学問ではないとその限界をきちんと見定めた上で、解ける問題をいかに観測し、理論化していくかについて話を進めていく。中でも数...続きを読む